ひとことで言うと

  • 推計統計とは、一部のデータ(標本)から、全体(母集団)の性質を推し量る統計の考え方です。
  • 母集団の平均や分散などを母数(パラメータ)、標本から計算する値を統計量といいます。
  • 主な手法は、母数の値を見積もる推定と、母数についての仮説を判断する検定です。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「推計統計の基本概念」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (6) 推定と検定
協会の学習ポイント 推計統計について基本的な概念について理解する。

推計統計(推測統計)とは

統計には大きく2つの考え方があります。手元のデータを平均や標準偏差、グラフなどで整理・要約する記述統計と、手元のデータを手がかりにその背後にある全体の性質を推測する推計統計(推測統計)です。

たとえば「日本の全上場企業の平均ROE」を知りたいとき、全社を調べられれば記述統計で済みます。しかし、将来も含めた「株式収益率の真の平均」のように、全体を観測できない対象は多くあります。このようなとき、手元のデータを母集団から抽出された標本とみなし、確率の考え方を使って母集団の性質を推し量るのが推計統計です。

母集団と標本、母数と統計量

調べたい対象の全体を母集団、そこから実際に取り出して観測した一部を標本といいます。母集団の平均(母平均μ)や分散(母分散σ2)といった、母集団の性質を表す値が母数です。母数は通常未知です。一方、標本平均や標本分散のように標本から計算する値を統計量といいます。

統計量は、どの標本が選ばれるかによって値が変わるので確率変数です。統計量が従う確率分布を標本分布といい、推定や検定はこの標本分布に基づいて行います。

推定と検定

推定は母数の値を見積もる方法で、1つの値で示す点推定と、幅をもたせて示す区間推定があります。検定(仮説検定)は「母平均は0である」といった仮説を立て、標本のデータがその仮説と矛盾するかどうかを確率的に判断する方法です。

整理しておきたいポイント

用語 母集団の側 標本の側
対象 母集団(全体) 標本(抽出された一部)
平均 母平均μ(通常未知) 標本平均x̄(計算できる)
分散 母分散σ2 標本分散s2
呼び方 母数(パラメータ) 統計量(確率変数)
記述統計 推計統計
手元のデータそのものを要約する 標本から母集団の性質を推し量る
平均・分散・グラフなどで整理 推定(点推定・区間推定)と検定

具体例で確認

あるアナリストが「A社株の月次収益率の真の平均はプラスなのか」を知りたいとします。過去5年分(60カ月)の月次収益率を集めたところ、平均は0.8%でした。

  • 母集団:A社株の月次収益率を生み出す仕組み全体(真の分布)
  • 母数:真の平均収益率μ(未知)
  • 標本と統計量:60カ月分のデータと、その標本平均0.8%
  • 推定:μは0.8%程度と見積もる(点推定)、または一定の信頼度で「○%〜○%」と幅で示す(区間推定)
  • 検定:「μ=0」という仮説のもとで0.8%という平均が偶然出る確率を調べ、仮説を棄却するか判断する

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「推計統計の基本概念を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 母集団と標本、母数と統計量の対応関係と用語の意味が問われやすいです。
  • 母数は一定だが未知の値、統計量は標本ごとに変わる確率変数であるという違いを押さえましょう。
  • 記述統計と推計統計の違いを問う選択肢に注意しましょう。
  • 推定には点推定と区間推定があり、検定とは目的が異なる点が問われます。
  • 統計量が従う分布を標本分布と呼ぶことも確認しておきましょう。

要点まとめ

  • 推計統計は標本から母集団の性質を推し量る考え方
  • 母集団の性質を表す値が母数、標本から計算する値が統計量
  • 統計量は確率変数で、その分布が標本分布
  • 主な手法は推定(点・区間)と検定

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。