ひとことで言うと

  • 標本抽出とは、母集団から分析に使う標本を取り出すことで、無作為抽出が基本です。
  • 標本誤差は、全体ではなく一部だけを調べたことで生じる、統計量と母数とのズレです。
  • 標本平均の標本誤差の大きさは標準誤差σ ÷ √nで表され、標本数を増やすほど小さくなります。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「標本抽出と標本誤差」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (6) 推定と検定
協会の学習ポイント 標本抽出の方法や標本誤差について理解する。

標本抽出と標本誤差とは

推計統計では、標本から母集団を推し量ります。そのため、標本が母集団をうまく代表していなければ、どれほど丁寧に計算しても結論は歪んでしまいます。そこで重要になるのが標本抽出(サンプリング)の方法です。

代表的な標本抽出の方法

  • 単純無作為抽出:母集団のどの要素も等しい確率で選ばれるように抽出する方法です。推計統計の理論の多くはこれを前提にしています。
  • 層化抽出法(層別抽出法):母集団をいくつかのグループ(層)に分け、各層から無作為に抽出する方法です。たとえば株式を業種や規模で分けてから選ぶと、偏りを抑えられます。
  • 系統抽出法:通し番号をつけ、最初の1つを無作為に選んだあと一定間隔で抽出する方法です。
  • クラスター(集落)抽出法:母集団を集団に分け、集団ごと無作為に選んでその中を調べる方法です。

標本誤差と非標本誤差

標本誤差は、母集団の一部しか観測していないために、偶然に生じる統計量と母数のズレです。無作為抽出であれば、その大きさを確率的に評価でき、標本数を増やすことで小さくできます。

これに対し、非標本誤差は測定ミスや回答の偏り、抽出方法の偏りなど、標本の大きさとは関係なく生じる誤差です。代表的なものにサンプル・セレクション・バイアス(データの選び方の偏り)や、倒産・上場廃止した企業が抜け落ちるサバイバーシップ・バイアス、将来の情報を使ってしまうルックアヘッド・バイアスがあります。これらは標本を増やしても解消しません。

押さえておきたい公式

標準誤差 = σ ÷ √n標本平均x̄の標準偏差(σは母標準偏差、未知なら標本標準偏差sで代用)
記号 意味
σ 母集団の標準偏差
n 標本の大きさ(標本数)

具体例で確認

ある株式の月次収益率の標準偏差が6%だとします。標本平均の標準誤差は次のようになります。

  1. n = 36カ月:6 ÷ √36 = 1.0%
  2. n = 144カ月:6 ÷ √144 = 0.5%

標本数を4倍にしても、標準誤差は半分にしかなりません。精度は√nに比例して改善する点がポイントです。一方で、分析対象を「現在上場している企業」だけに限ると、どれだけ期間を延ばしても過去に消えた企業の成績が反映されず、平均収益率が高めに出るサバイバーシップ・バイアスが残ります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「標本抽出・標本誤差とデータの分類基準(時系列・クロスセクション)を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 単純無作為抽出・層化抽出など抽出方法の特徴の区別が問われやすいです。
  • 標本誤差は標本数を増やせば小さくなるが、非標本誤差(バイアス)は減らないという違いが狙われやすいです。
  • 標準誤差σ ÷ √nの計算と、「nを4倍にすると標準誤差は1/2」という関係を押さえましょう。
  • サバイバーシップ・バイアスやルックアヘッド・バイアスなど、データの偏りの具体例が問われます。

要点まとめ

  • 推計統計では無作為抽出が基本
  • 層化抽出は層ごとに無作為抽出して偏りを抑える方法
  • 標本誤差は偶然のズレで、標準誤差σ ÷ √nで表される
  • 非標本誤差(各種バイアス)は標本数を増やしても消えない

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。