時系列データとクロスセクションデータとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 時系列データは、1つの対象を時間を追って観測したデータです(例:A社株の月次収益率の推移)。
- クロスセクションデータは、同じ時点で複数の対象を観測したデータです(例:ある日の全上場企業のPER)。
- 両方を組み合わせ、複数の対象を複数の時点で観測したものをパネルデータといいます。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「時系列とクロスセクション」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (6) 推定と検定 |
| 協会の学習ポイント | データの分類基準(時系列、クロスセクション)について理解する。 |
時系列データとクロスセクションデータとは
統計分析を始める前に、手元のデータがどのような構造をしているかを確認することが大切です。データの分類基準として代表的なのが、時系列とクロスセクション(横断面)の区別です。
時系列データ
時系列データは、ある1つの対象について、日次・月次・年次など一定の時間間隔で観測した値を並べたものです。株価指数の日次終値、GDP成長率の四半期推移、ある企業の10年間の売上高などが該当します。時系列データでは観測値の順序に意味があり、前の値が次の値に影響する(自己相関がある)ことや、トレンドや季節性があることに注意が必要です。
クロスセクションデータ
クロスセクションデータは、ある時点において、複数の対象を観測したデータです。ある期末日における全上場企業のROE、ある月の各業種の株価収益率などが該当します。観測値の並び順には通常意味がなく、企業規模や業種の違いによってばらつきの大きさが異なることに注意が必要です。
パネルデータ
複数の企業を複数年にわたって観測したデータのように、時系列とクロスセクションの両方の次元をもつデータをパネルデータといいます。企業ごとの違いと時間を通じた変化の両方を分析できるのが利点です。
整理しておきたいポイント
| 区分 | 観測の仕方 | 具体例 |
|---|---|---|
| 時系列データ | 1つの対象を複数の時点で観測 | 日経平均の過去10年分の月次収益率 |
| クロスセクションデータ | 複数の対象を1つの時点で観測 | 2025年度末時点の全上場企業のPBR |
| パネルデータ | 複数の対象を複数の時点で観測 | 100社の過去5年分のROE |
具体例で確認
アナリストが次の2つの分析を考えているとします。
- 分析1:「A社の株価収益率は、過去5年の月次データで見て市場全体とどのくらい連動しているか」を調べる。→ A社という1つの対象を時間を追って見るので時系列データの分析です。個別株のベータ推定などが代表例です。
- 分析2:「ある月末時点で、PBRが低い企業ほど翌月の収益率が高いか」を多数の企業で調べる。→ 同じ時点で複数企業を比べるのでクロスセクションデータの分析です。
分析2を毎月繰り返し、多数の企業×多数の月のデータとして扱うと、パネルデータの分析になります。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「標本抽出・標本誤差とデータの分類基準(時系列・クロスセクション)を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 与えられた具体例が時系列かクロスセクションかを判別させる問題が典型です。
- 「同じ時点・複数の対象」=クロスセクション、「同じ対象・複数の時点」=時系列という定義の向きを取り違えないようにしましょう。
- 両方を合わせたパネルデータの意味も押さえておきましょう。
- 時系列データでは観測の順序に意味があり、自己相関やトレンドに注意が必要な点が問われることがあります。
要点まとめ
- 時系列データ=1つの対象を時間を追って観測したデータ
- クロスセクションデータ=同一時点で複数の対象を観測したデータ
- 両方の次元をもつのがパネルデータ
- 分析の前にデータの構造を確認することが大切
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
