ひとことで言うと

  • 散布図は、2つの変数の組(X, Y)を平面上の点として描き、両者の関係を目で見て確かめるグラフです。
  • 点が右上がりなら正の相関、右下がりなら負の相関、特定の傾向がなければ無相関と読み取ります。
  • 相関係数や回帰分析を行う前に、外れ値や非線形の関係がないかを確認する役割があります。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「散布図による分析」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (7) 回帰分析(単回帰)
協会の学習ポイント 散布図による標本の分析について理解する。

散布図とは

散布図は、横軸に一方の変数X、縦軸にもう一方の変数Yをとり、観測された組を1つずつ点で描いたものです。たとえば、横軸に市場全体(TOPIXなど)の月次リターン、縦軸にある銘柄の月次リターンをとれば、「市場が上がった月にその銘柄も上がりやすいか」が一目でわかります。

散布図から読み取れること

第一に、関係の向きです。点の集まりが右上がりなら正の関係、右下がりなら負の関係です。第二に、関係の強さです。点が直線の周りに細長く集まっているほど関係は強く、丸く広がっているほど弱くなります。第三に、関係の形です。点が曲線状に並んでいる場合、直線的な関係を前提とする相関係数や単回帰では関係をうまく捉えられません。

数字だけでは見落とすもの

相関係数は直線的な関係の強さを1つの数字にまとめたものなので、外れ値1つで値が大きく変わったり、U字型のようにはっきりした関係があっても0に近くなったりします。平均・分散・相関係数がほぼ同じでも、散布図を描くとまったく違う形をしているデータもあります。そのため、分析の最初に散布図を描いて、データの様子を確かめることが大切です。

また、散布図で強い関係が見えても、それが因果関係を意味するとは限りません。両方に影響する別の要因が隠れている可能性もあります。

整理しておきたいポイント

散布図の形 読み取れること 相関係数の目安
右上がりの細長い帯 強い正の相関 +1に近い
右下がりの細長い帯 強い負の相関 −1に近い
丸く散らばる 直線的な関係はほぼない 0に近い
曲線状(U字など) 非線形の関係がある 0に近いこともある
一部の点だけ大きく離れる 外れ値の存在 外れ値に引っ張られる

具体例で確認

ある銘柄の過去60か月のリターンを縦軸、市場リターンを横軸にとって散布図を描いたところ、点は全体として右上がりに並び、傾きはおおむね1より急でした。ただし、1か月だけ、市場がほぼ横ばいなのに銘柄が大きく下落した点(個別の不祥事が起きた月)が離れた位置にありました。

この散布図からは、「市場との間に正の関係があり、市場より値動きが大きい傾向(ベータが1より大きい可能性)」が読み取れます。一方、離れた1点は相関係数や回帰直線の傾きを大きく動かす可能性があるため、その月を含めた場合と除いた場合で結果を比べる、といった検討が必要になります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「散布図による標本の分析と標本の相関係数を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 散布図の形と相関の向き・強さの対応(右上がり=正、右下がり=負)が問われやすいです。
  • 相関係数は直線的な関係しか測れず、曲線的な関係があっても0に近くなりうる点が狙われやすいです。
  • 外れ値が相関係数や回帰直線に大きな影響を与えることを押さえましょう。
  • 相関があっても因果関係があるとは限らないという選択肢の正誤に注意しましょう。

要点まとめ

  • 散布図は2変数の組を点で描き、関係の向き・強さ・形を確認する
  • 右上がりは正の相関、右下がりは負の相関
  • 外れ値や非線形の関係は、数字より散布図で見つけやすい
  • 相関は因果関係を意味しない

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。