単回帰分析とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 単回帰分析は、1つの説明変数Xで被説明変数Yを説明する関係を、Y = a + bX + 誤差という直線で表す分析です。
- 傾きbは「Xが1単位増えたときにYが平均的にどれだけ変わるか」、切片aは「X=0のときのYの平均的な値」を表します。
- 株式のリターンを市場リターンで回帰するマーケット・モデルでは、傾きがベータに当たります。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「単回帰分析と結果の解釈」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (7) 回帰分析(単回帰) |
| 協会の学習ポイント | 単回帰分析について理解し、回帰結果を解釈できる。 |
単回帰分析とは
相関係数は2つの変数の関係の強さを表しますが、「Xが動くとYがどれだけ動くか」までは教えてくれません。そこで、Yを被説明変数(従属変数)、Xを説明変数(独立変数)として、Yの動きをXの1次式で説明しようとするのが単回帰分析です。説明変数が2つ以上になると重回帰分析と呼びます。
回帰式Y = a + bX + εのεは誤差項で、Xでは説明しきれないYの変動を表します。実際のデータからは、最小二乗法などでaとbの推定値を求め、推定された回帰直線Ŷ = â + b̂Xを使って分析します。
回帰係数の読み方
傾きbは、Xが1単位増えたときのYの平均的な変化量です。符号がプラスならXが増えるとYも増え、マイナスなら減る関係です。傾きの符号は相関係数の符号と必ず一致します。切片aはX=0のときのYの予測値ですが、X=0がデータの範囲から大きく外れている場合は、実務的な意味を持たないこともあります。
解釈するときの注意
回帰分析で係数が得られても、それが因果関係を示すとは限りません。また、推定に使ったデータの範囲を大きく超えるXで予測する外挿は、関係が直線のまま続くとは限らないため注意が必要です。係数が偶然の産物でないかは、t検定や決定係数などで確認します。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| a、b | 切片、傾き(回帰係数) |
| ε | 誤差項(Xで説明できない部分) |
| r | XとYの相関係数 |
| sx、sy | X、Yの標準偏差 |
具体例で確認
ある銘柄の月次リターン(%)を市場リターン(%)で回帰したところ、次の結果が得られました(マーケット・モデル)。
- 傾き1.3(ベータ):市場リターンが1%ポイント上がると、この銘柄のリターンは平均的に1.3%ポイント上がる。市場より値動きが大きい銘柄と読み取れます。
- 切片0.2:市場リターンが0%の月の、この銘柄の平均的なリターンは0.2%。
- 市場リターンが2%の月の予測値:0.2 + 1.3 × 2 = 2.8%
- 市場リターンが−3%の月の予測値:0.2 + 1.3 × (−3) = −3.7%
また、相関係数が0.6、銘柄の標準偏差が6.5%、市場の標準偏差が3%なら、傾きは0.6 × 6.5 ÷ 3 = 1.3と、相関係数と標準偏差からも求められます。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「単回帰分析・最小二乗法・信頼区間と予測区間を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 傾き=Xが1単位増えたときのYの平均的な変化という解釈と、切片の意味が問われやすいです。
- 回帰式に値を代入して予測値を求める計算は基本問題として押さえておきましょう。
- 傾きはSxy÷Sxx、または相関係数×(sy÷sx)で求められ、符号は相関係数と一致します。
- 回帰直線は平均の点(x̄, ȳ)を通ることを使って切片を求める問題が考えられます。
- 回帰の結果は因果関係を保証しない、外挿には注意といった解釈上の注意点も狙われやすいです。
要点まとめ
- 単回帰はY=a+bX+εでYをXの1次式で説明する
- 傾きbはXが1単位増えたときのYの平均的な変化、切片aはX=0のときの値
- b̂=Sxy÷Sxx、â=ȳ−b̂x̄、直線は平均の点を通る
- マーケット・モデルでは傾きがベータに当たる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
