母平均の区間推定とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 区間推定は、母平均μを「○から△の間にある」と幅をもたせて推定する方法です。
- 母分散が既知なら標準正規分布、未知で標本標準偏差を使うならt分布を使います。
- 95%信頼区間は「x̄ ± 1.96 × σ ÷ √n」(σ既知の場合)が基本形です。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「母平均の区間推定」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (6) 推定と検定 |
| 協会の学習ポイント | 母平均の区間推定について理解し、標本分布の統計量から標準正規分布やt分布を用いて母平均の区間推定ができる。 |
母平均の区間推定とは
標本平均x̄で母平均μを点推定しても、その値がどれだけ正確なのかはわかりません。そこで、標本平均の標本分布を使い、「μは95%の信頼度でこの範囲にある」という形で幅をもたせて示すのが区間推定です。この範囲を信頼区間、95%や99%を信頼係数(信頼水準)といいます。
母分散が既知の場合(標準正規分布)
正規母集団(またはnが十分大きい場合)では、標本平均x̄は平均μ、標準偏差σ ÷ √nの正規分布に従います。標準化したZ = (x̄ − μ) ÷ (σ ÷ √n)は標準正規分布に従い、−1.96から1.96の間に入る確率が95%です。この式をμについて解くと、95%信頼区間x̄ ± 1.96 × σ ÷ √nが得られます。
母分散が未知の場合(t分布)
実際には母標準偏差σはわからないことがほとんどです。σの代わりに標本標準偏差s(n − 1で割ったもの)を使うと、t = (x̄ − μ) ÷ (s ÷ √n)は自由度n − 1のt分布に従います。t分布は標準正規分布に似た左右対称の分布ですが、裾が厚く、同じ信頼係数でも境界の値が大きくなるため、信頼区間は広くなります。自由度が大きくなるほど標準正規分布に近づきます。
信頼区間の幅を決める要因
信頼区間の幅は、信頼係数を上げると広がり、標準偏差が大きいほど広がり、標本数nが大きいほど狭くなります。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| x̄ | 標本平均 |
| σ、s | 母標準偏差、標本標準偏差 |
| n | 標本の大きさ |
| zα/2、tα/2(n − 1) | 標準正規分布、自由度n − 1のt分布の上側α/2点 |
具体例で確認
ある投資戦略の年間超過収益率について、25年分のデータから標本平均6%を得ました。
例1:母標準偏差σ = 10%が既知の場合(95%信頼区間)
- 標準誤差:10 ÷ √25 = 2%
- 6 ± 1.96 × 2 = 6 ± 3.92 → 2.08%〜9.92%
例2:σが未知で、標本標準偏差s = 10%の場合(95%信頼区間)
- 自由度24のt分布の上側2.5%点:約2.064
- 6 ± 2.064 × 2 = 6 ± 4.13 → 約1.87%〜10.13%
t分布を使う例2のほうが、区間が少し広くなっています。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「統計的推定の基本と母平均の区間推定(標準正規分布・t分布)を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 母分散既知なら標準正規分布、未知ならt分布(自由度n − 1)という使い分けが最も問われやすいです。
- 信頼区間は両側で考えるため、95%なら1.96(片側の1.645ではない)を使う点に注意しましょう。
- 信頼係数を上げる・標準偏差が大きい→区間は広がる、nが大きい→区間は狭まるという方向が問われます。
- t分布は標準正規分布より裾が厚く、自由度が大きいほど標準正規分布に近づきます。
- 「95%信頼区間」は、同じ方法で何度も区間をつくると約95%の区間が真の母平均を含むという意味である点を押さえましょう。
要点まとめ
- 区間推定は母平均を幅をもたせて推定する方法
- 母分散既知:x̄ ± z × σ ÷ √n(95%ならz = 1.96)
- 母分散未知:x̄ ± t(n − 1) × s ÷ √n(t分布を使う)
- 信頼係数↑・標準偏差↑で広がり、n↑で狭まる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
