ひとことで言うと

  • 和・差・定数倍はそれぞれ微分して足し引きすればよく、は(fg)′=f′g+fg′、は(f/g)′=(f′g-fg′)/g2です。
  • 関数の中に関数がある合成関数は、「外側の微分×内側の微分」で求めます(チェーンルール)。
  • 債券価格を利回りで微分してデュレーションを求める場面などで使います。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「微分の演算法則」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (8) 微分の基礎
協会の学習ポイント 微分の演算法則(関数の和、積、商や合成関数)を理解し計算できる。

微分の演算法則(積・商・合成関数)とは

代表的な関数の微分形を覚えたら、次はそれらを組み合わせた関数を微分するためのルール(演算法則)を身につけます。実際の問題に出てくる関数の多くは、べき関数・指数関数・対数関数の和、積、商、あるいは「関数の中に関数が入った」合成関数の形をしています。

和・差・定数倍

{f(x)+g(x)}′=f′(x)+g′(x)、{c f(x)}′=c f′(x)のように、項ごとに微分して足し合わせ、定数倍はそのまま前に残します。多項式の微分はこのルールと(xn)′=nxn-1の組み合わせです。

積と商

積の微分は「片方ずつ微分して足す」形で、(fg)′=f′g+fg′です。f′g′としてしまうのは典型的な誤りです。商の微分は(f/g)′=(f′g-fg′)/g2で、分子の引き算の順番(先にf′g)に注意します。

合成関数(チェーンルール)

y=f(u)、u=g(x)のように、xからuを作り、uからyを作る関数を合成関数といいます。このとき dy/dx = (dy/du)×(du/dx) が成り立ちます。「外側を微分して、内側の微分を掛ける」と覚えましょう。たとえば(1+y)-nをyで微分すると、外側のu-nの微分-nu-n-1に、内側(1+y)の微分1を掛けて、-n(1+y)-n-1になります。

押さえておきたい公式

{f + g}′ = f′ + g′  {c f}′ = c f′和・差・定数倍
(f g)′ = f′ g + f g′積の微分
(f ÷ g)′ = (f′ g - f g′) ÷ g2商の微分(g≠0)
dy/dx = (dy/du) × (du/dx)合成関数の微分(チェーンルール)
微分の結果
x2ex(積) 2xex + x2ex
x ÷ (1+x)(商) 1 ÷ (1+x)2
(2x+1)3(合成) 3(2x+1)2×2 = 6(2x+1)2
log(1+r)(合成) 1 ÷ (1+r)

具体例で確認

額面100円、残存5年の割引債(ゼロクーポン債)の価格は、年1回複利の利回りyを使ってP(y)=100÷(1+y)5=100(1+y)-5と表せます。y=4%のときの価格の感応度を求めます。

  1. 価格:P = 100 ÷ 1.045 ≒ 82.19円
  2. チェーンルールで微分:P′(y) = 100 × (-5)(1+y)-6 = -500 ÷ (1+y)6
  3. y=0.04を代入:P′ = -500 ÷ 1.046 ≒ -395.16
  4. 修正デュレーション:-P′ ÷ P = 5 ÷ 1.04 ≒ 4.81

利回りが1%ポイント(0.01)上がると、価格はおよそ395.16×0.01≒3.95円、率にして約4.81%下がると見積もれます。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「代表的な関数の微分形について理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 積の微分(fg)′=f′g+fg′を、f′g′と誤る選択肢がひっかけとして出やすいです。
  • 商の微分は分子の引き算の順番(f′g-fg′)と分母のg2を正確に覚えましょう。
  • 合成関数の微分で、内側の微分を掛け忘れるミスが狙われやすいです。
  • 債券価格を利回りで微分してデュレーションを求めるなど、ファイナンスの式への応用が問われやすいです。
  • 負の指数(1+y)-nの形に書き直してから微分すると計算ミスが減ります。

要点まとめ

  • 和・差・定数倍は項ごとに微分する
  • 積は f′g+fg′、商は (f′g-fg′)/g2
  • 合成関数は「外側の微分×内側の微分」
  • 債券価格の利回り感応度(デュレーション)の計算に直結する

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。