KKT条件(制約付き非線形最適化)とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 不等式制約を含む非線形最適化で、最適点が満たすべき条件がKKT条件(カルーシュ・クーン・タッカー条件)です。
- ラグランジュの未定乗数法を不等式に広げたもので、乗数はλ≧0、さらに相補性条件λ×(制約の余り)=0が加わります。
- 制約が効いていれば(等号で成立)λ≧0、効いていなければλ=0となります。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「制約付き非線形最適化の条件」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (9) 最適化手法 |
| 協会の学習ポイント | 制約条件付き非線形最適化問題の最適性条件について理解する。 |
KKT条件(制約付き非線形最適化)とは
現実の最適化問題には、「投資比率はマイナスにできない(空売り禁止)」「1銘柄の比率は30%以下」のような不等式制約がよく登場します。等式制約ならラグランジュの未定乗数法で解けますが、不等式制約では「最適点でその制約が効いているかどうか」が事前にわかりません。この状況を扱うのがKKT条件です。
有効制約と非有効制約
最適点で不等式がちょうど等号で成り立っている制約を有効制約(効いている制約)、余裕をもって満たされている制約を非有効制約といいます。非有効制約は、最適点の近くでは存在しないのと同じなので、無視しても答えは変わりません。有効制約は、等式制約と同じように扱います。
KKT条件の中身
最大化問題「f(x)を最大化、制約gi(x)≦bi」を考えます。KKT条件は、①停留条件:∇f(x)=Σλi∇gi(x)、②実行可能性:gi(x)≦bi、③乗数の非負性:λi≧0、④相補性条件:λi{bi-gi(x)}=0、の4つです。相補性条件は「制約に余りがあるならλi=0、λi>0ならその制約は等号で効いている」ことを表します。λiはラグランジュ乗数と同じく、制約をゆるめたときの最適値の改善幅(シャドウプライス)と解釈でき、使い切っていない資源の価値は0になるという直感とも合います。
必要条件と十分条件
KKT条件は、一定の正則性の条件のもとで最適点が満たす必要条件です。目的関数が凹(最大化の場合)で実行可能領域が凸であるような凸計画問題では、KKT条件を満たす点は大域的な最適解になり、十分条件にもなります。
押さえておきたい公式
| 最適点での制約の状態 | 乗数λi |
|---|---|
| 等号で成立(有効制約) | λi≧0(通常は正) |
| 余裕がある(非有効制約) | λi=0 |
具体例で確認
f(x)=-(x-3)2を最大化する問題を、制約を変えて比べます。
ケース1:制約 x ≦ 2
- 制約がなければx=3が最大だが、x≦2に反する。
- 制約が効いている(x=2)と考えると、停留条件 f′(x) = -2(x-3) = λ×1 より、λ = -2(2-3) = 2
- λ=2≧0、相補性条件 2×(2-2)=0 もすべて満たすので、x=2が最適解(最大値-1)。
ケース2:制約 x ≦ 5
x=3は制約を余裕で満たすので、制約は効いておらずλ=0です。停留条件は f′(x)=0 となり、x=3が最適解です。制約なしの問題と同じ答えになります。
ポートフォリオでは、空売り禁止(wi≧0)の制約が効いて比率が0になる資産と、制約が効かずに正の比率をとる資産がKKT条件によって自動的に振り分けられます。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「制約条件付き非線形最適化問題の最適性条件について理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- KKT条件は、ラグランジュの未定乗数法を不等式制約に拡張したもの、という位置づけが問われやすいです。
- 相補性条件λi×(制約の余り)=0の意味(余りがあればλ=0)を説明できるようにしましょう。
- 不等式制約の乗数はλ≧0という符号条件がつく点(等式制約の乗数には符号の制限がない)に注意しましょう。
- 有効制約・非有効制約の区別と、非有効制約は最適解に影響しない点がよく使われます。
- KKT条件は一般には必要条件で、凸計画問題なら十分条件にもなる点を押さえましょう。
要点まとめ
- KKT条件=不等式制約付き最適化の最適性条件
- 停留条件・実行可能性・λ≧0・相補性条件の4つ
- 制約が効いていなければλ=0、効いていればλ≧0
- 凸計画問題ではKKT条件を満たす点が大域的最適解
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
