ひとことで言うと

  • 通貨スワップは、2つの異なる通貨の元本と金利を交換する取引です。
  • 外貨建ての借入れや社債を、実質的に自国通貨建ての債務に変えるといった形で、為替リスクを管理できます。
  • 金利スワップと違い、原則として期初と満期に元本を交換する点が大きな特徴です。

この記事では、証券アナリスト2次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「通貨スワップによる管理」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/デリバティブ分析
大分類 (4) 金利・通貨を対象としたデリバティブ
協会の学習ポイント 通貨スワップを利用した債務やキャッシュフローの管理方法について理解する。

通貨スワップとは

通貨スワップは、たとえば「円」と「米ドル」のように異なる2つの通貨について、あらかじめ決めた条件で元本と金利を交換する取引です。典型的な流れは、①期初に当日の為替レートで元本を交換し、②期中はそれぞれが受け取った通貨の金利を相手に支払い、③満期には期初と同じ為替レートで元本を交換し直す、というものです。

満期の元本交換レートが期初に固定されているため、将来の為替レートがどう動いても、元本の受け払いを自国通貨ベースで確定させられます。ここが、為替リスク管理の道具として使われる理由です。

債務の管理に使う

日本企業が米ドル建ての社債を発行した場合、利払いと償還はドルで行う必要があり、円高・円安によって円換算の負担が変わってしまいます。そこで、ドルを受け取り円を支払う通貨スワップを組むと、ドルの利息と元本はスワップ相手から受け取ったドルで支払え、企業に残るのは円の金利と円の元本の支払いだけになります。結果として、ドル建て債務を実質的に円建て債務に変換できます。

企業が海外市場で有利な条件で資金を調達できる場合、調達そのものは外貨で行い、通貨スワップで自国通貨に変えることで、自国市場で直接調達するより低いコストを実現できることがあります。

資産やキャッシュフローの管理に使う

投資家が外貨建て債券を保有する場合も、通貨スワップで外貨の利息と元本を円に交換すれば、為替リスクを抑えた円ベースの運用として扱えます。また、海外子会社から将来受け取る外貨の配当やロイヤリティを円に固定するなど、事業上のキャッシュフロー管理にも応用されます。

金利の組合せには、固定と固定、固定と変動、変動と変動(ベーシス・スワップ)などがあり、通貨の交換と同時に金利の種類を変えることもできます。

整理しておきたいポイント

項目 金利スワップ 通貨スワップ
交換する通貨 同一通貨 異なる2通貨
元本の交換 しない(想定元本のみ) 原則として期初と満期に交換する
交換する金利 固定と変動など 各通貨の金利(固定・変動の組合せは自由)
主なリスク管理の対象 金利リスク 為替リスク(+金利リスク)
信用リスクの大きさ 金利差額のみのため比較的小さい 元本交換があるため相対的に大きい

具体例で確認

日本企業A社が、期間5年、利率年4.5%(固定)、発行額1億ドルの米ドル建て社債を発行し、同時に銀行と次の通貨スワップを結んだとします(為替レートは1ドル=150円、スワップの円金利は年1.2%固定)。

  1. 期初:A社は社債の手取り1億ドルを銀行に渡し、150億円を受け取る。
  2. 期中(毎年):A社は銀行から1億ドル × 4.5% = 450万ドルを受け取り、社債の利払いに充てる。代わりに銀行へ150億円 × 1.2% = 1.8億円を支払う。
  3. 満期:A社は銀行から1億ドルを受け取り社債を償還し、銀行へ150億円を支払う。

ドルの受け払いはすべて相殺され、A社に残るのは「150億円を借り、毎年1.8億円を払い、5年後に150億円を返す」という円建て固定金利の債務だけです。満期時に為替が1ドル=120円でも180円でも、A社の円での支払額は変わりません。

試験で問われやすいポイント

  • 通貨スワップの3段階のキャッシュフロー(期初の元本交換・期中の金利交換・満期の元本再交換)を図や文章で説明させる問題が考えられます。
  • 外貨建て債務を自国通貨建てに変える場合、外貨を受け取り自国通貨を支払うスワップを組む、という向きを取り違えないようにしましょう。
  • 金利スワップとの違い、特に元本交換の有無と、それに伴う信用リスクの大きさの違いが問われやすいです。
  • 記述式では、スワップを組んだ後のネットのキャッシュフローを示し、為替リスクが消えることを説明できるようにしておきましょう。
  • 満期の元本交換レートが期初のレートで固定されている点が、為替ヘッジ効果の源泉であることを押さえましょう。

要点まとめ

  • 通貨スワップ=異なる通貨の元本と金利を交換する取引
  • 期初と満期に同じ為替レートで元本を交換するため、為替リスクを固定できる
  • 外貨建て債務を実質的に自国通貨建て債務へ変換できる
  • 金利スワップと違い元本交換があるため、信用リスクは相対的に大きい

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