ひとことで言うと

  • アセットスワップは、固定利付債金利スワップ(固定払い・変動受け)を組み合わせて、変動利付債と同じようなキャッシュフローを作る方法です。
  • 債券から受け取る固定クーポンをスワップで支払い、代わりに変動金利 + スプレッドを受け取ります。
  • 金利リスクはほぼ消え、発行体の信用リスクだけが残る「合成変動利付債」になります。

この記事では、証券アナリスト2次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「アセットスワップによる合成債券」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/デリバティブ分析
大分類 (6) デリバティブを用いた投資戦略
協会の学習ポイント アセットスワップによる合成債券の組成方法について理解する。

アセットスワップとは

アセットスワップは、保有する資産(アセット)のキャッシュフローをスワップで別の形に変える取引です。代表的なのは、固定利付債を買い、同時に金利スワップで固定金利を支払って変動金利を受け取る組合せです。債券から受け取った固定クーポンをそのままスワップの支払いに充てるので、投資家の手元には「変動金利 + 一定のスプレッド」が残り、変動利付債を持っているのと同じようなキャッシュフローになります。

なぜ使うのか

  • 変動金利の資産がほしい投資家(変動金利で資金調達している銀行など)が、市場に変動利付債が少なくても、固定利付債から同様の資産を作れます。
  • 金利変動による価格リスクをスワップで打ち消し、発行体の信用リスクへの投資に絞れます。
  • 固定利付債が割安なときに、変動利付債に比べて高いスプレッドを得られる場合があります。

アセットスワップ・スプレッド

投資家が受け取る「変動金利に上乗せされる部分」をアセットスワップ・スプレッドといいます。債券価格が額面ちょうどなら、おおよそ「債券のクーポン − 同じ年限のスワップレート」になります。これは、その発行体の信用リスクに対して市場が求める上乗せ金利の目安としても使われ、CDSスプレッドと比較されることもあります。

注意点

債券の発行体がデフォルトしても、金利スワップの契約は続きます。投資家は債券からのクーポンを失ったうえで、スワップの固定金利を払い続ける(またはその時点の時価で解約する)必要があるため、信用リスクは投資家に残ることを理解しておきましょう。また、債券価格が額面と異なる場合は、その差額をスプレッドに織り込んで調整します(額面で購入したとみなす「パー・パー」型など)。

押さえておきたい公式

合成債券のキャッシュフロー = 債券のクーポン(固定)− スワップの支払い(固定)+ スワップの受取り(変動 + スプレッド)固定部分が相殺され、「変動金利 + スプレッド」が残る
アセットスワップ・スプレッド ≒ 債券のクーポン − スワップレート債券を額面(100円)で購入する場合の概算

具体例で確認

額面100円、クーポン年2.5%、残存5年の社債を額面価格で購入し、同時に5年の金利スワップ(固定2.5%払い・変動金利+スプレッド受け)を組むとします。5年のスワップレートは2.0%です。

  1. 市場のスワップレート(2.0%)より多い2.5%の固定金利を払うため、その分が変動側に上乗せされます。上乗せは2.5% − 2.0% = 0.5%(50bp)です。
  2. 投資家のキャッシュフロー:社債から2.5%受取り、スワップで2.5%支払い、スワップで「変動金利 + 0.5%」受取り。
  3. 差し引きすると、変動金利 + 0.5%を受け取る5年の変動利付債と同じ形になります。

変動金利がその後上がっても下がっても受取りは変動金利に連動するため、社債の価格変動のうち金利による部分はほぼ打ち消されます。一方、社債の発行体の信用力が悪化すれば、合成債券の価値も下がります。

試験で問われやすいポイント

  • 合成変動利付債の組成は「固定利付債の買い + 固定払い・変動受けのスワップ」。スワップの向きを逆にしないよう注意しましょう。
  • アセットスワップ・スプレッドの計算(額面購入なら、クーポン − スワップレート)。
  • 金利リスクは消えるが、発行体の信用リスクは投資家に残ること。
  • 債券価格が額面と異なる場合、その差をスプレッドで調整する考え方。
  • 記述式では、合成債券のキャッシュフローを図や式で示させたり、アセットスワップを使う目的とリスクを説明させる形が考えられます。

要点まとめ

  • アセットスワップは、固定利付債と固定払い・変動受けのスワップで合成変動利付債を作る。
  • 投資家は「変動金利 + アセットスワップ・スプレッド」を受け取る。
  • スプレッドは額面購入ならおおよそ「クーポン − スワップレート」。
  • 金利リスクは打ち消されるが、信用リスクは残る。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。