ひとことで言うと

  • アクティブ運用の基本法則は、情報比(IR)が予測の精度(IC)× 独立した判断の回数(BR)の平方根でおおむね決まるという考え方です。
  • 予測が少しうまいだけでも、独立した判断を数多く行えば高い情報比を得られます。
  • アクティブ運用の付加価値は、アクティブ・リターンとトラッキング・エラー、情報比で測ります。

この記事では、証券アナリスト2次「株式分析」の学習ポイントのひとつ「アクティブ運用の基本法則」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/株式分析
大分類 (5) 株式リターンの分析と株式ポートフォリオによる投資戦略
協会の学習ポイント アクティブ運用の基本法則とアクティブ運用の付加価値の測定方法について理解する。

アクティブ運用の基本法則とは

アクティブ運用の目的は、取ったアクティブ・リスク(トラッキング・エラー)に対して、できるだけ大きなアクティブ・リターンを得ることです。その効率を表すのが情報比(IR)です。グリノルドとカーンが示したアクティブ運用の基本法則は、この情報比がどのような要素で決まるかを簡潔に表したものです。

IC(情報係数):予測の上手さ

IC(Information Coefficient)は、マネジャーの予測と実際の結果との相関係数で、予測のスキルを表します。ICが0なら予測に価値はなく、1なら完全な予測です。実務では、0.05〜0.1程度でも十分に優秀とされるほど、小さな値になるのが普通です。

BR(ブレドス):独立した判断の回数

BR(Breadth)は、1年間に行う互いに独立した投資判断の数です。銘柄数が多くても、同じ理由で似た銘柄を買っているなら独立した判断とはいえず、BRは小さくなります。

TC(移転係数):予測をどれだけ反映できたか

現実には、空売り禁止やウェイト上限などの制約により、予測をそのままポートフォリオに反映できません。その度合いを表すのが移転係数(TC)で、制約が厳しいほど1より小さくなり、情報比を押し下げます。

押さえておきたい公式

IR = IC × √BRアクティブ運用の基本法則
IR = TC × IC × √BR制約を考慮した拡張版(TCは移転係数、0〜1)
IR = α ÷ ω ⇔ α = IR × ωα:期待アクティブ・リターン、ω:トラッキング・エラー
記号 意味
IR 情報比(アクティブ・リスク1単位あたりのアクティブ・リターン)
IC 情報係数(予測と実績の相関)
BR 年間の独立した投資判断の数
TC 移転係数(予測がポートフォリオに反映される度合い)

具体例で確認

マネジャー IC・BR・TC 情報比
A(多数銘柄のクオンツ型) IC 0.05、BR 400、TC 1 0.05 × √400 = 0.05 × 20 = 1.0
B(少数銘柄の集中型) IC 0.10、BR 25、TC 1 0.10 × √25 = 0.10 × 5 = 0.5
A(制約あり) IC 0.05、BR 400、TC 0.3 0.3 × 0.05 × 20 = 0.3

Bの方が予測の精度は2倍高いものの、独立した判断の数が少ないため、情報比はAの半分にとどまります。また、Aが目標トラッキング・エラーを4%に設定すると、期待アクティブ・リターンは1.0 × 4% = 4%ですが、厳しい制約でTCが0.3に下がると0.3 × 4% = 1.2%まで低下します。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「アクティブ運用の基本法則と主要戦略を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • IR=IC×√BRの意味と、ICとBRのどちらが大きくても情報比を高められるという関係が問われやすいです。
  • BRは単なる銘柄数ではなく独立した判断の数である点がひっかけになりやすいです。
  • BRは平方根で効くため、BRを4倍にしてもIRは2倍にしかならないことに注意しましょう。
  • 移転係数(TC)と制約の関係、期待アクティブ・リターン=IR×トラッキング・エラーの計算過程を示せるようにしておきましょう。
  • 記述式では、基本法則の限界(ICが一定という仮定、判断の独立性の確保が難しいことなど)を説明させる問題が考えられます。

要点まとめ

  • 基本法則:IR=IC×√BR(制約を考えるとTCを掛ける)
  • ICは予測の精度、BRは独立した判断の数
  • 期待アクティブ・リターン=IR×トラッキング・エラー
  • 付加価値はアクティブ・リターンとリスクの両面から情報比で評価する

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。