支配獲得時の連結と持分変動とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・財務分析
ひとことで言うと
- 支配を獲得したときは、子会社の資産・負債を時価で評価し直し、取得の対価との差額をのれん、親会社以外の株主の持分を非支配株主持分として計上します。
- 支配を獲得した後に持分を追加取得したり一部売却したりしても、支配が続いている限りは資本取引として扱い、差額は損益ではなく資本剰余金で処理します(日本基準)。
この記事では、証券アナリスト2次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「支配獲得時とその後の持分変動」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 コーポレート・ファイナンスと企業分析/財務分析 |
|---|---|
| 大分類 | (8) 企業結合会計 |
| 協会の学習ポイント | 企業結合時(支配獲得時)およびその後の持分の変動による影響を理解する。 |
支配獲得時とその後の持分変動とは
ある会社が他の会社の議決権の過半数を取得するなどして支配を獲得すると、その会社は子会社となり、連結財務諸表に含まれます。連結では、親会社の投資勘定と子会社の資本を相殺消去しますが、このときに生じる差額がのれんです。
支配獲得時の処理
日本基準では、支配獲得日に子会社の資産・負債をすべて時価で評価します(全面時価評価法)。時価と帳簿価額の差額は評価差額として子会社の資本に含めます。そのうえで、親会社の投資額と、時価評価後の子会社純資産のうち親会社持分との差額をのれんとし、残りの持分は非支配株主持分として純資産の部に計上します。日本基準ののれんは20年以内の効果の及ぶ期間で規則的に償却します。
支配獲得までに段階的に株式を取得していた場合(段階取得)は、連結上、支配獲得日の時価で既存の持分を評価し直し、差額を段階取得に係る損益として処理します。
支配獲得後の持分変動
支配を獲得した後の追加取得や、支配を失わない範囲での一部売却は、親会社株主と非支配株主の間の取引と考えます。そのため、日本基準では、追加取得した持分(または売却した持分)と対価との差額を資本剰余金として処理し、のれんを追加計上したり、売却損益を連結損益計算書に計上したりしません。一方、売却によって支配を失った場合は、連結から除外し、売却損益を認識します。
押さえておきたい公式
具体例で確認
P社がS社株式の80%を1,000で取得し、支配を獲得しました。S社の純資産は帳簿価額900、土地の含み益100を加えた時価純資産は1,000です(税効果は考えません)。
- のれん:1,000 − 1,000×80% = 200
- 非支配株主持分:1,000×20% = 200
翌期、S社は当期純利益100を計上し(配当なし)、非支配株主持分は200+100×20%=220になりました。ここでP社が追加で10%を130で取得したとします。
- 減少する非支配株主持分:220 × 10%/20% = 110
- 対価との差額:110 − 130 = −20 → 資本剰余金を20減少させます
追加取得によってのれんは増えず、損益にも影響しません。親会社の株主資本(資本剰余金)が減るため、ROEや自己資本比率の分析では、この処理が効いていることに気づけるようにしておきましょう。
試験で問われやすいポイント
- のれん・非支配株主持分の計算は頻出の計算手順です。子会社の純資産を時価で評価し直してから計算する点を忘れないようにしましょう。
- 支配継続中の追加取得・一部売却は資本取引で、差額は資本剰余金。「のれんを追加計上する」「売却益を計上する」は日本基準では誤りです。
- 支配を喪失する売却と、支配が継続する一部売却の処理の違いが問われやすいです。
- 段階取得では既存持分を支配獲得日の時価で評価し直し、差額を損益に計上する点も押さえましょう。
- 記述式では、計算過程を示しながら、持分変動が純資産や利益にどう影響するかを説明させる形が考えられます。
要点まとめ
- 支配獲得時は子会社の資産・負債を全面時価評価し、のれんと非支配株主持分を計上する。
- 日本基準ののれんは親会社持分のみ(部分のれん)で、20年以内で規則的に償却。
- 支配継続中の持分変動は資本取引として資本剰余金で処理し、損益は生じない。
- 支配を失う売却では連結除外し、売却損益を認識する。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
