ひとことで言うと

  • 世界金融危機は、米国の住宅バブル崩壊とサブプライムローン関連の証券化商品の損失をきっかけに、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻で世界に広がった金融危機です。
  • ユーロ圏危機は、2009年秋のギリシャの財政赤字問題を発端に、南欧諸国などの国債利回りが急上昇し、銀行危機と財政危機が連鎖した危機です。
  • どちらも、過大なレバレッジと、危機が金融システムを通じて広がる仕組みがポイントです。

この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「世界金融危機とユーロ圏危機」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 市場と経済の分析/経済
大分類 (8) 国際資本移動と外国為替市場
協会の学習ポイント 世界金融危機やユーロ圏危機について説明できる。

世界金融危機とユーロ圏危機とは

世界金融危機(2007〜09年)

2000年代半ばの米国では、低金利と住宅価格の上昇を背景に、信用力の低い借り手向けの住宅ローン(サブプライムローン)が急増しました。ローンは証券化されてMBS(住宅ローン担保証券)となり、さらにそれを組み合わせたCDO(債務担保証券)などとして世界の金融機関に販売されました。貸し手がローンを売却してリスクを手放せる「組成・販売型」のビジネスは、審査の甘さを招いたといわれます。

住宅価格が下落に転じると延滞が急増し、証券化商品の価格が大きく下がりました。どの金融機関がどれだけ損失を抱えているのかわからないため、銀行間の資金取引が細り、短期の資金調達に頼っていた投資銀行や「影の銀行(シャドーバンキング)」が行き詰まりました。2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻で信用収縮は一気に深刻化し、ドル資金の不足、株価の急落、世界貿易の縮小を通じて各国の実体経済が大きく落ち込みました。

政策面では、各国中央銀行の大幅利下げと量的緩和などの非伝統的金融政策、金融機関への公的資本注入、大規模な財政出動、G20による国際協調などが行われました。

ユーロ圏危機(2010年前後〜)

2009年秋にギリシャで財政赤字が大幅に過少報告されていたことが明らかになり、国債の信用が急低下しました。不安はアイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアなどに広がり、国債利回りが急上昇しました。ユーロ圏の国は自国で金融政策を運営できず、為替レートの切り下げで競争力を回復することもできません。また、国債を大量に保有する銀行の経営が悪化し、その銀行を政府が支えるとさらに財政が悪化するという銀行と国家の負の連鎖が生じました。

対応として、EUとIMFによる金融支援、欧州安定メカニズム(ESM)の創設、欧州中央銀行(ECB)による国債購入の枠組み(OMT)の公表、銀行同盟(単一の銀行監督など)の整備などが進められました。

整理しておきたいポイント

項目 世界金融危機 ユーロ圏危機
発端 米国の住宅バブル崩壊とサブプライムローン問題 ギリシャの財政赤字問題の発覚
中心となったリスク 民間金融機関のレバレッジ、証券化商品、短期資金への依存 国債の信用リスク、銀行と国家の負の連鎖
構造的背景 監督の及ばない影の銀行、情報の不透明さ 通貨統合はあるが財政統合がない、域内の競争力格差・経常収支の不均衡
主な政策対応 利下げ・量的緩和、資本注入、財政出動、国際協調 EU・IMFの支援、ESM、ECBのOMT、銀行同盟

具体例で確認

危機の波及経路を、ある欧州の銀行の視点でたどってみます。

  • この銀行は、ドルを短期で調達して米国の証券化商品に投資していました。2008年に証券化商品の価格が急落し、評価損が発生します。
  • 銀行間市場でドル資金が調達できなくなり、資産の投げ売りを迫られて、さらに価格が下がります(流動性と価格下落の悪循環)。
  • 政府が資本注入で銀行を救済すると、政府債務が膨らみます。その国の国債利回りが上がると、国債を多く保有する銀行の損失がさらに拡大します。
  • このように、民間の金融危機が国家の財政危機に転化し、再び銀行に跳ね返るのが、世界金融危機からユーロ圏危機へとつながった流れの一面です。

試験で問われやすいポイント

  • サブプライムローン、証券化(MBS・CDO)、組成・販売型モデル、影の銀行、レバレッジなど、危機の原因となったキーワードの意味。
  • リーマン・ブラザーズ破綻後の信用収縮が、どのような経路(銀行間市場、ドル資金不足、資産価格、貿易)で世界に波及したか。
  • ユーロ圏では金融政策・為替政策を各国が独自に使えないため、調整が財政や賃金に偏るという構造問題。
  • 銀行と国家の負の連鎖と、それを断ち切るための銀行同盟・ESMなどの対応。
  • 記述式では、危機の原因と波及経路、政策対応の効果と副作用(モラルハザード、財政悪化など)を筋道立てて説明させる形が考えられます。

要点まとめ

  • 世界金融危機は、米国住宅バブル崩壊と証券化商品の損失が、リーマン破綻を機に世界的な信用収縮となったもの。
  • 影の銀行や短期資金への依存が、危機の波及を大きくした。
  • ユーロ圏危機は、ギリシャを発端とする国債の信用不安と銀行と国家の負の連鎖が特徴。
  • 通貨統合のもとで財政統合がないという構造問題が、対応を難しくした。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。