競争政策(独占禁止法)とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 独占や寡占の企業は、価格を限界費用より高く設定できるため、取引量が減って死荷重が生じます。
- 競争政策は、市場の競争を守ることで効率的な資源配分と消費者の利益を確保する政策で、日本では独占禁止法を公正取引委員会が運用しています。
- 市場の集中度はHHI(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)、価格支配力はラーナー指数で測ります。
この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「市場競争と競争政策」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/経済 |
|---|---|
| 大分類 | (9) 産業政策と市場規制 |
| 協会の学習ポイント | 市場競争と競争政策について説明できる。 |
競争政策(独占禁止法)とは
完全競争では価格が限界費用と等しくなり、総余剰が最大になります。これに対して独占企業は、限界収入と限界費用が等しくなる量を選ぶため、生産量を減らして価格を引き上げます。消費者余剰の一部が独占企業の利潤に移るだけでなく、取引されなくなった分の余剰が失われ、社会全体で死荷重が発生します。また、競争圧力がないとコスト削減や技術革新の意欲が弱まる(X非効率)ことも問題とされます。
ただし、規模の経済が大きい産業では1社で供給するほうが費用が低い自然独占が生じることもあり、その場合は参入規制と料金規制を組み合わせた公益事業規制が用いられます。また、市場のシェアが高くても、新規参入が容易であれば既存企業は高い価格を維持できないというコンテスタブル・マーケットの考え方もあります。
独占禁止法の主な規制
独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進することを目的とする法律で、主に下の表(公式の後)のような行為を規制しています。違反行為に対しては、公正取引委員会による排除措置命令や課徴金納付命令などが行われます。カルテルなどを自主的に申告した企業の課徴金を減免する課徴金減免制度(リーニエンシー)もあります。
押さえておきたい公式
| 規制の類型 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 私的独占 | 他の事業者を排除・支配して競争を実質的に制限する | 競争者の取引先を奪う排除行為 |
| 不当な取引制限 | 事業者どうしが共同して価格や数量を決める | 価格カルテル、入札談合 |
| 企業結合規制 | 競争を実質的に制限することとなる合併・株式取得などを禁止 | 市場シェアの大きい企業どうしの合併審査 |
| 不公正な取引方法 | 公正な競争を阻害するおそれのある取引行為 | 不当廉売、優越的地位の濫用 |
具体例で確認
ある市場に4社があり、シェアがA社40%、B社30%、C社20%、D社10%だとします。
- 合併前のHHI:402 + 302 + 202 + 102 = 1,600 + 900 + 400 + 100 = 3,000。
- C社とD社が合併した場合:402 + 302 + 302 = 3,400。増加分は400で、これは 2 × 20 × 10 = 400(2 × 合併する2社のシェアの積)と一致します。
- 企業結合審査では、結合後のHHIとその増加分がどの程度かを目安に、競争への影響を詳しく検討すべきかどうかを判断します。
また、需要の価格弾力性が2の市場で、限界費用50の独占企業が利潤を最大化すると、L = 1 ÷ 2 = 0.5 となり、(P − 50) ÷ P = 0.5 より価格は P = 100 です。弾力性が小さい(代替品が少ない)ほど、価格の上乗せ幅は大きくなります。
試験で問われやすいポイント
- 独占の均衡は「限界収入 = 限界費用」で決まり、完全競争より量が少なく価格が高く、死荷重が生じること。
- HHIの計算(シェアを%で2乗して合計)と、合併による増加分が 2 × s1 × s2 になること。
- ラーナー指数と需要の価格弾力性の関係(L = 1 ÷ |弾力性|)。
- 独占禁止法の規制類型(私的独占、不当な取引制限、企業結合規制、不公正な取引方法)と具体例の対応。
- 記述式では、合併の是非を市場集中度や効率性の向上(規模の経済)と比較して論じさせる形も考えられます。
要点まとめ
- 独占・寡占は価格を引き上げ、取引量を減らして死荷重を生む。
- 競争政策は市場の競争を守る政策で、日本では独占禁止法を公正取引委員会が運用する。
- HHIは市場集中度、ラーナー指数は価格支配力の指標。
- 自然独占やコンテスタブル・マーケットなど、シェアだけでは判断できない論点もある。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
