ひとことで言うと

  • 資本市場での予測は、資産配分・銘柄評価・リスク管理などの投資判断の前提を作る役割を持っています。
  • 市場価格にはすでにコンセンサス(市場の平均的な予想)が織り込まれているため、投資で価値を生むのは「コンセンサスとの差」とその根拠です。
  • 予測は、目的の明確化→現状把握→モデルと判断→シナリオと確率→事後検証、というフレームワークで組み立てます。

この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「予測の役割とフレームワーク」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 市場と経済の分析/経済
大分類 (10) 市場の分析・予測と経済的要因
協会の学習ポイント 資本市場における予測の役割とフレームワークについて説明できる。

経済予測のフレームワークとは

株式や債券の価値は、将来のキャッシュフローとその割引率で決まります。つまり、投資判断はすべて何らかの「将来の予測」にもとづいています。景気・金利・為替・インフレなどのマクロ予測は、企業業績の予想、資産クラスの期待リターン、ストレス時の損失の想定など、資本市場のあらゆる判断の土台になります。

コンセンサスとの差が大切

市場が十分に効率的なら、多くの投資家が共有する予想はすでに価格に反映されています。したがって、「来年は景気が回復する」と予測するだけでは超過リターンは生まれません。大切なのは、自分の予測がコンセンサスとどう違い、その根拠は何かという点です。予測が当たったかどうかだけでなく、市場の予想に対してどちらに外れたかが価格を動かします。

予測を組み立てる手順

一般的なフレームワークは次のとおりです。①予測の目的と期間を決める(短期の戦術的判断か、長期の資産配分か)、②経済指標などで現状を把握する、③計量モデルや経験則で予測を作り、専門家の判断で補正する、④単一の数値ではなく複数のシナリオと発生確率を用意する、⑤実績と比べて事後検証し、モデルや前提を修正する、という流れです。

予測の形と評価

予測には、一つの値を示す点予測、幅を示す区間予測、条件ごとのシナリオ予測があります。予測の良し悪しは、誤差の大きさ(RMSEなど)、一方向への偏り(バイアス)、方向の的中率などで評価します。予測者は、過去の成功にとらわれる、情報を都合よく解釈するといった行動バイアスにも注意が必要です。

押さえておきたい公式

シナリオ加重の予測値 = Σ(各シナリオの確率 × 各シナリオの予測値)シナリオ分析の期待値
平均誤差(バイアス) = Σ(実績 − 予測) ÷ n0から離れているほど一方向に偏った予測
RMSE = √[ Σ(実績 − 予測)2 ÷ n ]平均二乗誤差の平方根:大きな外れを重く評価する

具体例で確認

例1:シナリオ加重の予測

来年の実質成長率について、標準シナリオ1.0%(確率60%)、上振れシナリオ2.5%(20%)、下振れシナリオ−1.5%(20%)を想定します。

  1. 0.6 × 1.0 = 0.6
  2. 0.2 × 2.5 = 0.5
  3. 0.2 × (−1.5) = −0.3
  4. シナリオ加重の予測値:0.6 + 0.5 − 0.3 = 0.8%

コンセンサスが1.2%なら、この予測はコンセンサスより慎重です。その差が、たとえば景気敏感株の比率を下げる、といった判断の根拠になります。

例2:予測の評価

4年間の予測誤差(実績−予測)が +0.5、−1.0、+0.3、−0.2(%ポイント)だったとします。平均誤差は (0.5 − 1.0 + 0.3 − 0.2) ÷ 4 = −0.1で偏りは小さいものの、RMSEは √[(0.25 + 1.00 + 0.09 + 0.04) ÷ 4] ≒ 0.59で、平均してこの程度の外れがあることがわかります。

試験で問われやすいポイント

  • 資本市場で予測が果たす役割を、資産配分・証券評価・リスク管理と結びつけて説明させる記述に備えましょう。
  • 価格にはコンセンサスが織り込まれているので、コンセンサスとの差が投資判断で重要になる、という論点が問われやすいです。
  • 点予測・区間予測・シナリオ予測の違いと、シナリオ加重の期待値の計算を押さえましょう。
  • 予測の評価指標(バイアス、RMSE、方向の的中率)の意味と計算、特にバイアスが小さくても誤差が大きいことがある点に注意しましょう。
  • 予測者の行動バイアスや、前提が崩れたときに予測を見直す仕組みの重要性も記述の論点になります。

要点まとめ

  • 予測は資産配分・証券評価・リスク管理など投資判断の前提になる
  • 価値を生むのはコンセンサスとの差と、その根拠
  • 目的設定→現状把握→モデルと判断→シナリオと確率→事後検証の流れで組み立てる
  • 予測はバイアスやRMSEで評価し、継続的に修正する

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。