ひとことで言うと

  • 付加価値とは、企業が外部から買い入れた価値に、自ら新たに付け加えた価値のことです。
  • 計算方法は、売上高から外部購入価値を差し引く控除法と、人件費・金融費用・利益などを足し上げる加算法の2つがあります。
  • 減価償却費を含めたものを粗付加価値、含めないものを純付加価値といいます。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅱ「財務分析」の学習ポイントのひとつ「付加価値の概念と計算」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (10) 財務分析の基礎
協会の学習ポイント 付加価値の概念と計算方法を理解する。

付加価値とは

企業は、原材料や部品、外注サービスなどを外部から購入し、それに労働や設備を使って加工・販売することで売上を上げます。売上高のうち、外部から購入したものの価値(外部購入価値)は他社が生み出した価値なので、それを差し引いた残りが、その企業が自ら生み出した価値=付加価値になります。国全体で付加価値を合計したものがGDPにあたる、というイメージを持つと分かりやすいでしょう。

控除法と加算法

控除法は、売上高(生産高)から、材料費・買入部品費・外注加工費・購入した電力やサービスなど外部購入価値を差し引いて求めます。付加価値を「作り出す側」から捉える方法です。

加算法は、生み出された付加価値が誰に分配されたかという「分配される側」から捉える方法で、従業員への人件費、債権者への支払利息などの金融費用、土地や建物の貸し手への賃借料、国・地方への租税公課、そして企業・株主に残る利益を足し合わせます。理論上、両方法の結果は一致します。

粗付加価値と純付加価値

減価償却費は、過去に購入した設備の価値を費用化したものです。これを外部購入価値とみなして差し引くと純付加価値、差し引かずに付加価値に含めると粗付加価値になります。どの項目を含めるかは統計や分析の方式によって異なるため、比較するときは同じ定義を使っているかを確認することが大切です。

押さえておきたい公式

付加価値(控除法) = 売上高 − 外部購入価値外部購入価値:材料費、買入部品費、外注加工費、購入電力・サービスなど
付加価値(加算法) = 人件費 + 賃借料 + 金融費用 + 租税公課 + 利益(+ 減価償却費)減価償却費を加えたものが粗付加価値。利益の範囲(経常利益など)は方式により異なる

具体例で確認

ある製造業の1年間の数値(単位:百万円)です。

  • 売上高 10,000、外部購入価値(材料費・外注費など)6,000
  • 人件費 2,200、賃借料 300、支払利息 100、租税公課 100、減価償却費 500、経常利益 800

控除法:10,000 − 6,000 = 4,000(減価償却費を差し引いていないので粗付加価値)

加算法:2,200 + 300 + 100 + 100 + 500 + 800 = 4,000

両方法の結果は一致します。減価償却費500を除いた純付加価値は3,500です。売上高に対する付加価値の割合(付加価値率)は 4,000 ÷ 10,000 = 40% となります。一般に、外部に多くを依存する商社や組立型の企業は付加価値率が低く、自社で多くの工程を担う企業ほど高くなる傾向があります。

試験で問われやすいポイント

  • 控除法(売上高 − 外部購入価値)と加算法(分配項目の合計)の考え方の違いと、両者が一致すること。
  • 加算法に含める項目(人件費・賃借料・金融費用・租税公課・利益・減価償却費)の判別。原材料費や外注費は含めません。
  • 粗付加価値と純付加価値の違いは、減価償却費を含めるかどうか。
  • 付加価値率(付加価値 ÷ 売上高)の意味と、業種による違いも確認しておきましょう。

要点まとめ

  • 付加価値は、企業が外部購入価値に新たに付け加えた価値。
  • 控除法は「生み出す側」、加算法は「分配される側」から計算し、結果は一致する。
  • 減価償却費を含めれば粗付加価値、含めなければ純付加価値。
  • 付加価値は生産性分析や分配分析の基礎になる。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。