財政の3つの機能とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 財政には資源配分機能・所得再分配機能・経済安定化機能の3つの役割があります。
- 市場だけでは十分に供給されない公共財を提供し、所得格差を和らげ、景気の波を小さくするのが目的です。
- 経済安定化には、制度に組み込まれたビルトイン・スタビライザーと、政策判断で行う裁量的財政政策があります。
この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「財政政策の役割と目的」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析 |
|---|---|
| 大分類 | (6) 金融政策と財政政策 |
| 協会の学習ポイント | 財政政策の役割・目的について説明できる。 |
財政の3つの機能とは
政府は税や国債で資金を集め、公共サービスや社会保障、公共投資などに支出しています。この政府の経済活動を財政といい、その役割は、経済学者マスグレイブの整理にならって資源配分・所得再分配・経済安定化の3つに分けて説明されるのが一般的です。
① 資源配分機能
市場は多くの場面で資源を効率的に配分しますが、国防・警察・一般道路のような公共財は、対価を払わない人を排除できず(非排除性)、多くの人が同時に利用できる(非競合性)ため、民間企業に任せると十分に供給されません。また、公害のような負の外部性があると過剰生産になります。こうした市場の失敗を補うため、政府が公共財を供給したり、課税や補助金で資源の使われ方を調整したりするのが資源配分機能です。
② 所得再分配機能
市場で決まる所得の分配は、公平の観点から望ましいとは限りません。所得が高い人ほど税率が高くなる累進課税や、相続税、生活保護・年金などの社会保障給付を通じて、所得の格差を縮小させるのが所得再分配機能です。
③ 経済安定化機能
景気の変動を小さくし、雇用や物価を安定させる役割です。ひとつはビルトイン・スタビライザー(自動安定化装置)で、景気が悪くなると累進課税のもとで税収が自動的に大きく減り、失業給付が増えるため、政府が特に判断しなくても需要の落ち込みが和らぎます。景気過熱時には逆に働きます。もうひとつは裁量的財政政策(フィスカル・ポリシー)で、景気後退時に公共投資の追加や減税を行い、過熱時には支出削減や増税をします。
整理しておきたいポイント
| 機能 | 目的 | 主な手段・例 |
|---|---|---|
| 資源配分 | 市場の失敗の是正(効率性) | 公共財の供給、外部性への課税・補助金 |
| 所得再分配 | 所得格差の是正(公平性) | 累進所得税、相続税、社会保障給付 |
| 経済安定化 | 景気・雇用・物価の安定 | ビルトイン・スタビライザー、裁量的な公共投資・減税 |
具体例で確認
ある年、世界的な需要減少で国内景気が急速に悪化したとします。企業の利益や家計の所得が減ると、法人税・所得税の税収は自動的に減り、雇用保険の失業給付は増えます。家計や企業の手元に残るお金の減り方が小さくなるため、消費の落ち込みが和らぎます。これがビルトイン・スタビライザーです。
それでも景気の悪化が深刻な場合、政府は補正予算を組んで公共投資を追加したり減税を実施したりします。これが裁量的財政政策です。一方、同じ補正予算に含まれる低所得世帯への給付金は、景気対策であると同時に所得再分配の性格も持っています。このように1つの政策が複数の機能を兼ねることもあります。
試験で問われやすいポイント
- 3つの機能の名称と具体例の組み合わせ(公共財の供給→資源配分、累進課税→所得再分配など)が問われやすいです。
- 公共財の性質である非排除性と非競合性の意味を取り違えないようにしましょう。
- ビルトイン・スタビライザーは政策判断を必要とせず自動的に働く点で、裁量的財政政策と区別されます。
- 累進課税は所得再分配とビルトイン・スタビライザーの両方に関わる点がひっかけになりやすいです。
要点まとめ
- 財政の機能は資源配分・所得再分配・経済安定化の3つ
- 資源配分は市場の失敗(公共財・外部性)を補う役割
- 所得再分配は累進課税と社会保障で格差を和らげる役割
- 経済安定化は自動安定化装置と裁量的財政政策で景気の波を小さくする役割
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
