ひとことで言うと

  • 景気が悪化して生産が減ると企業は雇用を減らすため、失業率は景気と逆方向に動きます。
  • GDPの変動と失業率の変動の関係を経験的に示したものがオークンの法則です。
  • 失業は摩擦的失業・構造的失業・需要不足失業(循環的失業)に分けられ、景気循環で増減するのは主に需要不足失業です。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「景気循環と失業率」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (4) 景気循環と経済成長とその要因
協会の学習ポイント 景気循環が失業率に与える影響について説明できる。

景気循環と失業率とは

失業率は、労働力人口(働く意思と能力があり、就業している人と求職中の人の合計)に占める失業者の割合です。景気の後退期には、需要の減少に合わせて企業が生産を減らし、採用抑制や人員削減を行うため、失業率が上がります。景気の拡張期にはその逆で、失業率が下がります。

失業の3つの種類

摩擦的失業は、転職や新規就職の際に仕事を探している間の一時的な失業です。構造的失業は、求人と求職者の間で必要な技能・年齢・地域などが合わないこと(ミスマッチ)による失業です。需要不足失業(循環的失業)は、景気の悪化で労働需要そのものが不足して生じる失業です。摩擦的失業と構造的失業は景気が良くてもなくならず、これらだけが残る状態の失業率を自然失業率(構造的・摩擦的失業率)と呼びます。

オークンの法則

アメリカの経済学者オークンは、実際のGDPが潜在GDPを下回るほど、失業率が自然失業率を上回るという経験的な関係を示しました。成長率が潜在成長率を下回ると失業率が上昇する、という形で表すこともあります。係数の大きさは国や時期によって異なり、日本では雇用調整が労働時間などで行われやすいため、失業率の反応が比較的小さいといわれます。

失業率は遅れて動く

企業は景気が悪化してもすぐには解雇せず、まず残業や採用を減らします。景気が回復しても、まず既存の従業員の労働時間を増やしてから採用を増やします。このため失業率は景気に遅れて動く傾向があり、景気動向指数では完全失業率が遅行系列に採用されています。一方、有効求人倍率は一致系列です。

押さえておきたい公式

失業率 = 失業者数 ÷ 労働力人口 × 100労働力人口 = 就業者 + 完全失業者
GDPギャップ(%) = -β × (u - un)オークンの法則の一つの表し方(β>0はオークン係数)

具体例で確認

労働力人口が6,900万人、完全失業者が180万人のとき、失業率 = 180 ÷ 6,900 × 100 ≒ 2.6%です。

次に、オークン係数β=2、自然失業率un=3%とします。景気後退で失業率が4%に上がると、GDPギャップ = -2 × (4 - 3) = -2%となり、実際のGDPが潜在GDPを2%下回っている計算になります。この1%ポイント分の失業率の上昇は、需要不足失業の増加と考えられます。

試験で問われやすいポイント

  • 失業率の定義で、分母が労働力人口(人口全体ではない)である点が狙われやすいです。
  • 摩擦的・構造的・需要不足失業の違いと、自然失業率に含まれる失業の種類が問われやすいです。
  • オークンの法則の内容(GDPギャップと失業率の負の関係)と簡単な計算に慣れておきましょう。
  • 完全失業率は景気動向指数の遅行系列、有効求人倍率は一致系列という分類に注意しましょう。
  • 景気対策(総需要の拡大)で減らせるのは主に需要不足失業で、構造的失業には職業訓練などの対策が必要な点も押さえましょう。

要点まとめ

  • 失業率は景気と逆方向に、やや遅れて動く
  • 失業は摩擦的・構造的・需要不足(循環的)に分かれる
  • 自然失業率=摩擦的失業と構造的失業だけの状態の失業率
  • オークンの法則:GDPギャップが大きいほど失業率は自然失業率を上回る

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。