ベイズの定理とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- ベイズの定理は、新しい情報(データ)を得たときに、もともとの見込み(事前確率)を更新した確率(事後確率)を計算する公式です。
- 「原因→結果」の条件付き確率から、「結果→原因」の条件付き確率を逆算するのが特徴です。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「ベイズの定理」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 確率変数 |
| 協会の学習ポイント | ベイズの定理について理解し、簡単な事例で事前確率から事後確率の計算ができる。 |
ベイズの定理とは
ある企業が倒産するかどうか(原因)と、信用悪化を示すシグナルが出るかどうか(結果)を考えます。過去のデータからは「倒産した企業のうちシグナルが出ていた割合」のような、原因から結果への条件付き確率P(シグナル|倒産)がわかることが多いです。しかし投資家が知りたいのは、「シグナルが出た企業が倒産する確率」P(倒産|シグナル)という逆向きの確率です。この逆算を行うのがベイズの定理です。
事前確率と事後確率
情報を得る前の見込みP(B)を事前確率、情報Aを得たあとの見込みP(B|A)を事後確率といいます。また、原因Bのもとで情報Aが観測される確率P(A|B)を尤度(ゆうど)と呼びます。ベイズの定理は、事前確率×尤度を、情報Aが観測される全体の確率P(A)で割ることで事後確率を求めます。
分母は全確率の定理で求める
分母のP(A)は、原因がBの場合とBでない場合に分けて、全確率の定理で計算します。つまり「BかつA」と「Bでないかつ A」の確率の合計です。ベイズの定理は、乗法定理・全確率の定理・条件付き確率の定義を組み合わせたものといえます。
ベイズの定理から得られる重要な教訓は、事前確率が小さい事象は、精度の高いシグナルが出ても事後確率がそれほど高くならないことです。直感的には高く見積もりがちなので、試験でも計算させて確かめる形がよく使われます。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| P(B) | 事前確率(情報を得る前の見込み) |
| P(A | B) | 尤度(原因Bのもとで情報Aが出る確率) |
| P(B | A) | 事後確率(情報Aを得たあとの見込み) |
具体例で確認
ある企業群で、1年以内に倒産する確率(事前確率)は2%とします。倒産する企業の90%で警戒シグナルが出ますが、倒産しない企業でも10%で誤ってシグナルが出ます。
- 倒産かつシグナル:0.02×0.9=0.018
- 倒産しないかつシグナル:0.98×0.1=0.098
- シグナルが出る確率:P(A)=0.018+0.098=0.116
- シグナルが出た企業が倒産する確率(事後確率):0.018÷0.116≒15.5%
シグナルの精度が90%でも、事後確率は約15.5%にとどまります。もともとの倒産確率が2%と低く、誤ったシグナルの件数(0.098)が正しいシグナルの件数(0.018)を上回るためです。一方で、事前確率の2%から約8倍に高まっており、情報によって見込みが更新されたことがわかります。なお、シグナルが出なかった企業の倒産確率は0.002÷(0.002+0.882)≒0.23%に下がります。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「ベイズの定理を理解し、事前確率・事後確率を簡単な事例で計算できる」)。
試験で問われやすいポイント
- 事前確率・尤度・事後確率の用語と、公式への当てはめ方。
- 分母P(A)を全確率の定理で求める手順(「Bでない場合」の項を忘れない)。
- P(A|B)とP(B|A)の取り違え。与えられた確率がどちら向きかを確認すること。
- 事前確率が小さいと、精度の高い情報でも事後確率は思ったほど高くならないこと。
要点まとめ
- ベイズの定理は情報を使って事前確率を事後確率に更新する公式。
- P(B|A)=P(A|B)P(B)÷P(A)。
- 分母P(A)は全確率の定理で計算する。
- 計算は「かつ」の確率を並べて表にすると整理しやすい。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
