変動利付債(FRN)とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・債券分析
ひとことで言うと
- 変動利付債(FRN:Floating Rate Note)は、クーポンが基準金利+クオーテッド・マージン(固定のスプレッド)で定期的に見直される債券です。
- 金利が変わってもクーポンが追随するため、固定利付債に比べて金利リスク(デュレーション)が非常に小さいのが特徴です。
- 一方で、発行体の信用力が変化して要求されるスプレッドが動くと価格が変わるため、信用スプレッドのリスクは残ります。
この記事では、証券アナリスト2次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「変動利付債の仕組みと評価」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (2) 金利と債券価格評価 |
| 協会の学習ポイント | 変動利付債の仕組みと価格評価手法、リスク・リターンの特性を理解する。 |
変動利付債(FRN)とは
変動利付債は、利払いごとにクーポンが見直される債券です。クーポンは「基準金利(リファレンス・レート)+クオーテッド・マージン」で決まります。基準金利には短期金利の指標(TIBOR、TONAやSOFRなどのリスク・フリー・レートを基にした金利など)が使われ、クオーテッド・マージンは発行時に決めた固定の上乗せ幅で、発行体の信用力を反映しています。
なぜ価格がパー近辺にとどまるのか
クーポンが市場金利に合わせて見直されるため、発行体の信用力が発行時と変わらなければ(市場が求める上乗せ幅=クオーテッド・マージンなら)、利払い日(金利更改日)には価格が額面(パー)に戻ります。次の更改日までのクーポンはすでに決まっているので、金利リスクはその期間分だけです。そのため、変動利付債の金利デュレーションはおおむね次の金利更改日までの期間と考えられます。
残るリスク:ディスカウント・マージンの変化
市場が要求する上乗せ幅をディスカウント・マージン(DM、要求マージン)といいます。発行体の信用力が悪化してDMがクオーテッド・マージンより大きくなると、クーポンが見劣りするため価格はパーを下回ります。逆に信用力が改善すればパーを上回ります。この信用スプレッドへの感応度(スプレッド・デュレーション)は、固定利付債と同様に残存期間に応じて大きくなります。
リスク・リターンの特性
金利上昇局面ではクーポンが増えるため、固定利付債よりも有利になりやすい一方、金利低下局面では受け取る利息が減り、値上がり益もほとんど期待できません。キャップやフロアが付いている場合はオプションの評価が必要になり、金利ツリーなどで評価します。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| I | 基準金利(年率) |
| QM | クオーテッド・マージン(発行時に決まった上乗せ幅) |
| DM | ディスカウント・マージン(市場が現在要求する上乗せ幅) |
| m, N, F | 年間の利払い回数、利払いの総回数、額面 |
具体例で確認
残存3年、年1回利払い、クーポン=基準金利+0.5%の変動利付債(額面100)を考えます。基準金利は2.0%で今後も変わらないと仮定します。
- 発行体の信用力が変わらずDM=0.5%なら、クーポン2.5%を2.5%で割り引くので価格は100(パー)です。
- 信用力が悪化してDMが1.0%に拡大したとします。クーポンは2.5%のまま、割引率は3.0%になります。
- 価格=2.5÷1.03 + 2.5÷1.032 + 102.5÷1.033 ≒ 98.59
基準金利が動いても価格はほとんど変わりませんが、DMが0.5%広がるだけで約1.4%値下がりします。変動利付債でも信用スプレッドのリスクは残ることがわかります。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「変動利付債・インフレ連動債の仕組みと価格評価、リスク・リターン特性を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 更改日にはクーポンが市場金利に合わせて見直されるため、DM=QMなら価格はパーに戻る理由を説明できるようにしましょう。
- 変動利付債の金利デュレーションは次の更改日までの期間程度で小さいが、スプレッド・デュレーションは残存期間に応じて大きいという区別が狙われやすいです。
- DMとQMの大小関係から、価格がパーより上か下かを判断させる問題に注意しましょう(DM>QMならパー割れ)。
- 記述式では、固定利付債との金利上昇・低下局面でのリスク・リターンの違いを文章で説明させる形が考えられます。
- 計算問題では、基準金利+QMでクーポンを求め、基準金利+DMで割り引くという2つのマージンの使い分けを過程として示せるようにしておきましょう。
要点まとめ
- クーポン=基準金利+クオーテッド・マージンで定期的に見直される
- 金利デュレーションは小さい(更改日までの期間程度)
- DMがQMより拡大すると価格はパーを下回る(信用スプレッドのリスクは残る)
- 金利上昇局面に強く、金利低下局面では利息が減る
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
