成長会計とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 成長会計は、実質GDP成長率を資本の寄与・労働の寄与・全要素生産性(TFP)の伸びに分解する手法です。
- TFPの伸びは直接観測できないため、成長率から資本と労働の寄与を差し引いた残差(ソロー残差)として求めます。
- 成長の源泉を数字で把握でき、潜在成長率の推計や将来の成長見通しに使われます。
この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「成長会計」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/経済 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 景気循環と経済成長とその要因 |
| 協会の学習ポイント | 成長会計について説明できる。 |
成長会計とは
「この国のGDPが年2%伸びたのは、設備投資が増えたからなのか、働く人が増えたからなのか、それとも生産性が上がったからなのか」を数字で答えるのが成長会計です。生産関数 Y = A・Kα・L1−α の両辺を成長率の形に直すと、GDP成長率は各要素の伸び率に分配率をウエイトとして掛けた和と、TFPの伸びに分けられます。
ウエイトに分配率を使う理由
資本が1%増えたとき生産が何%増えるか(生産の資本弾力性)は、競争的な市場では資本分配率αに一致します。そのため、資本の伸び率にはα、労働の伸び率には労働分配率(1−α)を掛けます。分配率は国民経済計算の所得データから推計できるため、実際のデータで分解が可能になります。
TFPは「残差」
TFPそのものは観測できないので、GDP成長率から資本と労働の寄与を差し引いた残りをTFPの伸びとみなします。これをソロー残差と呼びます。残差には、技術進歩だけでなく、経営効率の改善、資源配分の効率化、規制改革の効果なども含まれます。また、資本や労働の測定誤差や、景気循環による稼働率の変動も残差に混ざるため、短期の値は景気に左右されやすい点に注意が必要です。
労働の分解と成長戦略
労働投入は「就業者数×労働時間」で測るほか、学歴や経験を反映した労働の質を分けて扱うこともあります。成長会計によって「資本蓄積頼みの成長」なのか「生産性主導の成長」なのかがわかると、ソロー=スワンモデルの示すとおり資本蓄積だけではいずれ成長が鈍ることから、その国の成長の持続性を評価できます。人口減少が進む経済では、労働の寄与がマイナスになりやすく、TFPの伸びがより重要になります。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| ΔY/Y | 実質GDP成長率 |
| ΔA/A | TFP上昇率 |
| ΔK/K、ΔL/L | 資本、労働投入の伸び率 |
| α、1−α | 資本分配率、労働分配率 |
具体例で確認
ある国の実質GDP成長率が2.0%、資本ストックの伸び率が3.0%、労働投入の伸び率が0.5%、資本分配率α=0.35とします。
- 資本の寄与:0.35 × 3.0% = 1.05%
- 労働の寄与:(1 − 0.35) × 0.5% = 0.325%
- TFP上昇率(残差):2.0 − 1.05 − 0.325 = 0.625%
成長率2.0%のうち約半分(1.05%)が資本蓄積、約3割(0.625%)が生産性によるものとわかります。仮に今後、労働投入が年0.5%減少に転じ、ほかの条件が同じなら、労働の寄与は −0.325%となり、成長率は1.35%程度まで下がる計算になります。
試験で問われやすいポイント
- 成長会計の基本式を使って、資本・労働の寄与とTFP上昇率を求める計算が問われやすいです。計算過程を示せるようにしましょう。
- ウエイトは分配率であり、資本にα、労働に1−αを掛けるという対応を取り違えないよう注意しましょう。
- TFPは直接測れず残差として求めるため、技術進歩以外の要因や測定誤差も含まれる点が記述式で問われやすいです。
- 1人当たりで見た場合、労働生産性の伸びはTFP+資本深化(α×資本装備率の伸び)に分解される点も押さえましょう。
- 人口減少や設備投資の変化が潜在成長率にどう影響するかを説明させる問題にも備えましょう。
要点まとめ
- 成長会計はGDP成長率を資本・労働・TFPの寄与に分解する
- 各要素の伸び率に分配率をウエイトとして掛ける
- TFP上昇率はソロー残差として求め、技術以外の要因や誤差も含む
- 潜在成長率の推計や成長の持続性の評価に使われる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
