ひとことで言うと

  • ソロー=スワンモデルは、貯蓄→投資→資本蓄積というしくみで長期の成長を説明する新古典派の成長モデルです。
  • 資本の限界生産力が逓減するため、1人当たり資本はやがて定常状態に落ち着き、貯蓄率を上げても成長率は永続的には高まりません。
  • 1人当たり所得が持続的に伸びる源泉は、モデルの外から与えられる技術進歩(TFPの伸び)だけです。

この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「ソロー=スワンモデル」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 市場と経済の分析/経済
大分類 (4) 景気循環と経済成長とその要因
協会の学習ポイント ソロー=スワンモデルについて説明できる。

ソロー=スワンモデルとは

ソロー=スワンモデルは、コブ=ダグラス型のような生産関数を土台に、経済全体の資本がどのように積み上がり、1人当たり所得がどこに向かうかを説明するモデルです。家計は所得の一定割合sを貯蓄し、それがそのまま投資されて資本が増えます。一方で、資本は毎年一定率δで減耗し、人口(労働力)が率nで増えると、1人当たりの資本は薄まっていきます。

資本蓄積の基本方程式と定常状態

1人当たり資本kの変化は、「1人当たり投資 s・f(k)」から「資本装備率を維持するのに必要な投資 (n+δ)k」を引いたもので決まります。kが小さいうちは資本の限界生産力が高いため、投資が必要額を上回ってkが増えていきます。しかしkが増えるほど追加の生産(と貯蓄)の伸びは鈍くなり、やがて s・f(k) = (n+δ)k となる点で増加が止まります。この点が定常状態です。定常状態では1人当たり資本・1人当たり所得は一定となり、経済全体のGDPは人口成長率nと同じ率で成長します。

貯蓄率・人口成長率の効果

貯蓄率sが上がると、定常状態の1人当たり資本と所得の水準は高くなり、移行期間中は成長率も一時的に上がります。ただし新しい定常状態に到達すれば1人当たり成長率はゼロに戻るため、貯蓄率の上昇は成長率を永続的には高めないという点が重要です。逆に人口成長率nや減耗率δが高いと、定常状態の1人当たり所得は低くなります。

技術進歩と収束仮説

1人当たり所得が長期にわたって伸び続けるには、TFPの上昇、つまり技術進歩が必要です。ソロー=スワンモデルでは技術進歩率はモデルの外で決まる(外生的)ため、「なぜ技術が進歩するか」は説明されません。この点を内生化したのが内生的成長モデルです。また、資本が少ない国ほど資本の限界生産力が高く成長が速いため、条件が同じ国どうしでは1人当たり所得が近づいていくという条件付き収束の考え方も導かれます。

黄金律

定常状態の1人当たり消費を最大にする資本水準を黄金律水準といいます。条件は「資本の限界生産力 = n+δ」で、コブ=ダグラス型では貯蓄率sが資本分配率αに等しいときに実現します。貯蓄率が高すぎても低すぎても、長期の消費は最大になりません。

押さえておきたい公式

Δk = s・f(k) − (n + δ)k資本蓄積の基本方程式(1人当たり、技術進歩なし)
定常状態:s・f(k*) = (n + δ)k*f(k)=kαなら k* = [s ÷ (n + δ)]1/(1−α)
黄金律:f′(k) = n + δコブ=ダグラス型では s = α のとき1人当たり消費が最大
記号 意味
k、f(k) 1人当たり資本、1人当たり生産
s 貯蓄率
n、δ 人口成長率、資本減耗率
k* 定常状態の1人当たり資本

具体例で確認

1人当たり生産関数 y = k0.5、貯蓄率s=20%、n+δ=5%の経済を考えます。

  1. 定常状態の条件:0.2 × k0.5 = 0.05 × k → k0.5 = 0.2 ÷ 0.05 = 4
  2. 定常状態の1人当たり資本:k* = 4216
  3. 1人当たり生産:y* = 160.54、1人当たり消費:(1 − 0.2) × 4 = 3.2

貯蓄率を25%に上げると、k0.5 = 0.25 ÷ 0.05 = 5 より k* = 25、y* = 5、消費は0.75 × 5 = 3.75 に増えます。水準は上がりますが、新しい定常状態に着いたあとの1人当たり成長率はゼロに戻ります。なお、この例ではα=0.5なので、黄金律の貯蓄率は50%(k=100、y=10、消費5)です。

試験で問われやすいポイント

  • 定常状態の条件式と、そこから1人当たり資本・所得を求める計算が問われやすいです。計算過程を示せるようにしましょう。
  • 貯蓄率の上昇は定常状態の水準を上げるが、長期の成長率は変えない、という区別が記述式で狙われやすいです。
  • 人口成長率や資本減耗率が上がると定常状態の1人当たり所得は下がるという方向を押さえましょう。
  • 持続的な1人当たり成長の源泉は外生的な技術進歩であり、モデルはその理由を説明しない点(限界)を説明できるようにしておきましょう。
  • 黄金律(MPK=n+δ、コブ=ダグラスならs=α)や条件付き収束の意味も問われやすい論点です。

要点まとめ

  • 資本の限界生産力逓減により、経済は定常状態に向かう
  • 定常状態は s・f(k)=(n+δ)k で決まる
  • 貯蓄率の上昇は所得水準を上げるが、長期の成長率は変えない
  • 持続的な1人当たり成長には外生的な技術進歩が必要
  • 黄金律は1人当たり消費を最大にする資本水準

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。