ひとことで言うと

  • 外生的ショックとは、技術革新、人口の変化、貯蓄率の変化、災害など、モデルの外から経済に加わる変化のことです。
  • ソロー=スワンモデルでは、ショックが定常状態そのものを動かすのか定常状態からの一時的な乖離を生むだけなのかを区別して考えます。
  • 多くのショックは所得の水準を変えるだけで、長期の1人当たり成長率を持続的に変えるのは技術進歩率の変化です。

この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「外生的ショックと経済成長」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 市場と経済の分析/経済
大分類 (4) 景気循環と経済成長とその要因
協会の学習ポイント 外生的ショックと経済成長について説明できる。

外生的ショックと経済成長とは

ソロー=スワンモデルでは、定常状態は貯蓄率s、人口成長率n、資本減耗率δ、技術水準(TFP)によって決まります。これらのパラメータがモデルの外から変化することを外生的ショックと呼び、ショックの後に経済が新しい定常状態へどのように移っていくか(移行過程)を分析します。

定常状態を動かすショック

貯蓄率の上昇、人口成長率の低下、TFP水準の一度きりの上昇などは、資本蓄積の方程式 s・f(k) = (n+δ)k の条件を変えるため、定常状態そのものが移動します。たとえば貯蓄率が上がると、定常状態の1人当たり資本・所得は高くなり、そこへ向かう移行期間には成長率が一時的に高まります。新しい定常状態に到達すれば、1人当たり成長率は元の水準(技術進歩率)に戻ります。このように、所得の水準は変えるが長期の成長率は変えない効果を水準効果と呼びます。

定常状態は動かさないショック

大規模な災害や戦争で資本ストックの一部が失われても、s・n・δや技術が変わらなければ、定常状態の位置は変わりません。資本が定常状態より少なくなった分、資本の限界生産力が高くなるため、復興期には投資の収益性が高く、成長率が一時的に高まり、やがて元の定常状態に戻ると考えられます。戦後の高成長を説明する際にも、この考え方が使われます。

成長率そのものを変えるショック

技術進歩率そのものが上がる場合は、定常状態における1人当たり所得の成長率が高まります(成長率効果)。ただし、ソロー=スワンモデルでは技術進歩率は外生的なので、なぜそれが変わるのかは説明できません。研究開発や人的資本によって成長率が内生的に決まるモデルでは、政策や制度の変化が長期の成長率にも影響しうると考えます。

整理しておきたいポイント

ショック 定常状態の1人当たり所得 長期の1人当たり成長率
貯蓄率の上昇 上昇(移行期は一時的に高成長) 変わらない
人口成長率の上昇 低下 変わらない
資本減耗率の上昇 低下 変わらない
TFP水準の一度きりの上昇 上昇 変わらない
災害による資本の破壊 変わらない(回復期は高成長) 変わらない
技術進歩率の上昇 成長経路が上向く 上昇

具体例で確認

1人当たり生産関数 y = k0.5、貯蓄率20%、n+δ=5%の経済は、定常状態で k = 16、y = 4 にあります(0.2 × 4 = 0.05 × 16)。

  1. 人口成長率が上がり、n+δが5%→8%になった場合:k0.5 = 0.2 ÷ 0.08 = 2.5 より k = 6.25、y = 2.5。定常状態の1人当たり所得は4から2.5に下がります。
  2. 災害で資本が半分(k=8)になった場合:投資 0.2 × 80.5 ≒ 0.566 が維持に必要な額 0.05 × 8 = 0.4 を上回るため、kは再び増え、やがて元の k = 16 に戻ります。
  3. TFPが1.2倍になった場合(y = 1.2k0.5):k0.5 = 0.2 × 1.2 ÷ 0.05 = 4.8 より k ≒ 23.0、y = 1.2 × 4.8 = 5.76 と、所得の水準が上がります。

試験で問われやすいポイント

  • ショックが定常状態を動かすのか一時的な乖離にとどまるのかを判断させる問題に注意しましょう。
  • 水準効果と成長率効果の区別(貯蓄率の上昇は水準効果)が記述式で問われやすいです。
  • 人口成長率や減耗率の上昇で定常状態の1人当たり所得が下がるという方向を押さえましょう。
  • 災害などで資本が失われた後は、資本の限界生産力が高いため一時的に成長率が高まる理由を説明できるようにしましょう。
  • パラメータ変更後の定常状態を計算させる問題では、条件式 s・f(k)=(n+δ)k から計算過程を示せるようにしておきましょう。

要点まとめ

  • 外生的ショックは定常状態を動かすものと、一時的な乖離を生むものに分けて考える
  • 貯蓄率・人口成長率・TFP水準の変化は所得の水準を変える(水準効果)
  • 資本の破壊は定常状態を変えず、回復期に高成長をもたらす
  • 長期の1人当たり成長率を変えるのは技術進歩率の変化

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。