生産関数とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 生産関数は、経済全体の生産量(実質GDP)が資本・労働・技術(全要素生産性)の組み合わせで決まることを表す式です。
- 長期のマクロモデルでは、需要ではなく供給側(生産能力)がGDPの水準を決めると考えます。
- 代表例のコブ=ダグラス型では、規模に関して収穫一定、各要素の限界生産力は逓減、指数が所得の分配率になる、という性質を持ちます。
この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「長期のマクロモデル(生産関数)」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/経済 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 景気循環と経済成長とその要因 |
| 協会の学習ポイント | 長期のマクロ経済モデル(生産関数)について説明できる。 |
生産関数とは
短期の景気変動を考えるときは、IS-LMモデルやAD-ASモデルのように需要側の動きが中心になります。一方、10年・20年といった長期では、物価や賃金が十分に調整されるため、経済がどれだけのモノやサービスを生み出せるかという供給能力がGDPの水準を決めると考えます。この供給能力を表すのが生産関数です。
生産関数の基本形
マクロの生産関数は、一般に Y = A・F(K, L) と書きます。Yは実質GDP、Kは資本ストック(工場・機械など)、Lは労働投入(就業者数×労働時間)、Aは技術水準や効率性を表す全要素生産性(TFP)です。同じ資本と労働でも、技術や組織の効率が高ければ、より多く生産できるという意味を持ちます。
コブ=ダグラス型の3つの性質
試験で最もよく使われるのが、Y = A・Kα・L1−α(0<α<1)というコブ=ダグラス型の生産関数です。第一に、KとLを同時に2倍にするとYもちょうど2倍になる規模に関して収穫一定の性質を持ちます。第二に、労働を一定にして資本だけを増やしていくと、追加1単位の資本が生む生産量(資本の限界生産力)は小さくなっていく限界生産力逓減の性質を持ちます。第三に、市場が競争的で各要素が限界生産力に等しい報酬を受け取るなら、αが資本分配率、1−αが労働分配率に一致します。
1人当たりで見る生産関数
収穫一定の性質を使うと、両辺をLで割って y = A・kα(y=Y/L:1人当たり生産、k=K/L:資本装備率)と書き直せます。1人当たり所得を高めるには、資本装備率を高めるか、TFPを高めるかのどちらかが必要になります。この形は、次に学ぶソロー=スワンモデルや成長会計の出発点になります。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| Y | 実質GDP(生産量) |
| A | 全要素生産性(TFP) |
| K、L | 資本ストック、労働投入 |
| α | 資本分配率(生産の資本弾力性) |
具体例で確認
A=1、α=1/3、資本K=64、労働L=27の経済を考えます。
- 生産量:Y = 641/3 × 272/3 = 4 × 9 = 36
- KとLを2倍(128、54)にすると:Y = 72 となり、生産もちょうど2倍(規模に関して収穫一定)
- 資本の限界生産力:MPK = (1/3) × 36 ÷ 64 = 0.1875
- 労働の限界生産力:MPL = (2/3) × 36 ÷ 27 ≒ 0.889
- 資本への支払総額:0.1875 × 64 = 12 → 12 ÷ 36 = 1/3 がαと一致(資本分配率)
資本だけを2倍にした場合は Y = 1281/3 × 9 ≒ 45.4 にとどまり、2倍(72)には届きません。これが限界生産力逓減のイメージです。
試験で問われやすいポイント
- コブ=ダグラス型の3つの性質(規模に関して収穫一定、限界生産力逓減、指数=分配率)を説明させる問題に注意しましょう。
- 「資本だけを2倍にすると生産は2倍になるか」のように、規模に関する収穫と1要素の限界生産力を混同させるひっかけがあります。
- MPK=αY/Kなど、限界生産力や分配率を計算させる問題では、計算過程を示せるようにしておきましょう。
- TFP(A)は資本や労働では説明できない生産性全体を表し、技術だけでなく制度や効率性も含む点が記述式で問われやすいです。
- 長期のGDPは供給側で決まり、短期の需要側モデルとの違いを説明できるようにしておきましょう。
要点まとめ
- 生産関数は、資本・労働・TFPから経済全体の生産量が決まる関係
- コブ=ダグラス型 Y=AKαL1−α は規模に関して収穫一定
- 1要素だけを増やすと限界生産力は逓減する
- αは資本分配率、1−αは労働分配率に一致する
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
