国際証券市場とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- 国際証券市場とは、各国の株式市場・債券市場と、国境を越えて証券が発行・売買される市場の総称です。
- 債券市場では、発行体・発行市場・通貨の組合せによって外国債(サムライ債など)とユーロ債が区別されます。株式では、海外市場への上場や預託証券(ADRなど)が国際的な売買を支えています。
- 国際投資では、市場の規模・流動性・取引制度・税制・決済の違いが、コストやリスクに影響します。
この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「国際証券市場の仕組み」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (6) 国際証券投資と為替管理、資産配分 |
| 協会の学習ポイント | 国際証券市場(国際株式市場・国際債券市場)の仕組みと概要について理解する。 |
国際証券市場とは
国際分散投資を行うには、投資先となる海外の市場がどのような仕組みで動いているかを理解しておく必要があります。国際証券市場は大きく国際株式市場と国際債券市場に分けられます。
国際株式市場
世界の株式市場は、米国が時価総額の大きな割合を占め、欧州、日本、その他の先進国、新興国が続く構造になっています。各国の取引所は、売買の仕組み(オークション方式か、マーケット・メイカー方式かなど)、取引時間、値幅制限、決済までの期間、外国人投資家への規制などがそれぞれ異なります。また近年は、取引所以外の私設取引システムなど、売買の場も多様化しています。
企業が自国以外で資金調達したり、海外投資家に株式を持ってもらったりする方法には、海外の取引所への重複上場や、自国の株式を裏付けに海外で発行される預託証券があります。米国で発行されるものはADR(米国預託証券)、複数の市場で発行されるものはGDRと呼ばれ、投資家は自国の通貨・取引時間・決済制度で外国企業に投資できます。
国際債券市場
国際的な債券は、誰が、どこの市場で、どの通貨で発行するかによって分類されます。
- 外国債:非居住者(外国の発行体)が、ある国の国内市場で、その国の通貨建てで発行する債券です。日本で発行される円建て外債はサムライ債、日本で発行される外貨建て外債はショーグン債と呼ばれます。
- ユーロ債:発行市場の国の通貨とは異なる通貨建てで、主に国際的な引受シンジケートを通じて発行される債券です。「ユーロ」は欧州の通貨ではなく「通貨の本国の外」という意味で、たとえば日本国外で発行される円建て債券はユーロ円債と呼ばれます。一般に発行国の規制を受けにくく、柔軟な条件で発行しやすいのが特徴です。
このほか、各国の国債市場は、その国の金利の基準となる流動性の高い市場です。先進国の国債市場の多くは規模が大きく、国際的な債券インデックスでも大きな比重を占めています。
国際投資を行う際の注意点
海外の証券に投資する際には、為替変動に加えて、配当・利子に対する源泉徴収税(租税条約による軽減の有無)、売買手数料や保管費用などのコスト、情報開示や会計基準の違い、決済の時差や制度の違い、資本規制などを考慮する必要があります。
整理しておきたいポイント
| 区分 | 発行市場と通貨 | 例 |
|---|---|---|
| 国内債 | 居住者が国内市場で自国通貨建てで発行 | 日本企業の円建て社債 |
| 外国債 | 非居住者が発行国の国内市場で発行 | サムライ債(円建て)、ショーグン債(外貨建て) |
| ユーロ債 | 通貨の本国以外の市場で国際的に発行 | ユーロ円債、ユーロドル債 |
| 預託証券 | 外国株式を裏付けに現地で発行・売買 | ADR、GDR |
具体例で確認
ある欧州の企業が資金調達を検討しているとします。
- 日本の投資家から円で資金を集めたい場合、日本国内で円建ての債券を発行すればサムライ債になります。
- 同じ円建てでも、ロンドンなど日本国外の市場で国際的な引受団を通じて発行すればユーロ円債になります。
- 米国の投資家に株式を持ってもらいたい場合は、自国の株式を裏付けにADRを発行し、米国市場でドル建てで売買できるようにする方法があります。
日本の投資家から見ると、サムライ債やユーロ円債は円建てなので為替リスクはありませんが、発行体は外国企業なので、その信用リスクや発行国の法制度の違いを考慮する必要があります。
試験で問われやすいポイント
- 外国債とユーロ債の区別(発行体の居住性・発行市場・通貨の組合せ)と、サムライ債・ショーグン債・ユーロ円債の定義。
- 「ユーロ債」は欧州通貨建ての債券という意味ではないこと。
- 預託証券(ADR・GDR)の仕組みと投資家にとっての利点。
- 国際投資に伴うコストや制度上のリスク(源泉徴収税、決済、規制、情報の非対称性)。
- 2次の記述式では、国際投資を行う際に考慮すべき市場の違いや注意点を説明させる形が考えられます。
要点まとめ
- 国際証券市場は、各国の株式・債券市場と国境を越えた発行・売買の市場からなる。
- 外国債は発行国の国内市場で発行、ユーロ債は通貨の本国以外で発行される。
- 重複上場や預託証券が、株式の国際的な売買を支えている。
- 国際投資では、為替に加え、税・コスト・制度・規制の違いに注意する。
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
