景気動向指数と経済の先行き予測とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 景気動向指数は、生産・雇用・消費などの指標を組み合わせて景気の動きをとらえる統計で、先行・一致・遅行の3系列があります。
- 景気の強さ(量感)は主にCI、景気の波及の広がりはDIで見ます。
- 先行き予測では、前年の四半期の動きが翌年の年平均成長率に持ち越されるゲタ(発射台)の計算が基本になります。
この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「経済統計と先行き予測」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/経済 |
|---|---|
| 大分類 | (6) 金融政策と財政政策 |
| 協会の学習ポイント | 経済統計について説明できる。また、経済の先行き予測の計算ができる。 |
景気動向指数と経済の先行き予測とは
経済の先行きを考えるには、「いま景気がどこにいて、どちらへ向かっているのか」をデータで確認することが出発点になります。そのために使われる代表的な統計が、内閣府が公表する景気動向指数です。生産、雇用、消費、在庫、金融などの個別指標を組み合わせ、景気全体の動きを1つの指数にまとめています。
先行・一致・遅行の3系列
採用される指標は、景気の動きに対するタイミングによって3つに分けられます。景気より先に動く先行系列(新規求人数、在庫の動き、株価など)、景気とほぼ同時に動く一致系列(生産指数、出荷、有効求人倍率など)、景気に遅れて動く遅行系列(失業率、法人税収、家計消費など)です。先行系列は先行きの見通し、一致系列は現状判断、遅行系列は景気局面の事後確認に使います。なお、採用系列は景気の実態に合わせて見直されることがあります。
CIとDIの違い
CI(コンポジット・インデックス)は、構成指標の変化率を合成したもので、景気のテンポや量感(強さ)を表します。内閣府は現在CIを中心に公表しており、一致指数の動きから景気の基調判断を示しています。一方DI(ディフュージョン・インデックス)は、構成指標のうち改善(3か月前と比べて上昇)した指標の割合で、景気の動きが経済の各部門へどれだけ広がっているかを表します。一致DIが50%を上回れば景気は拡張方向、下回れば後退方向と判断するのが基本で、景気の山・谷の判定にはDIの考え方(ヒストリカルDI)が使われます。
先行き予測の考え方
GDPの年間成長率を予測するときに欠かせないのがゲタ(発射台、統計上の持ち越し効果)です。年平均の成長率は、各四半期の水準を平均した値どうしで比べるため、前年の後半に水準が大きく上がっていると、翌年に四半期ごとの成長がゼロでも年平均では成長率がプラスになります。予測では「ゲタ+今年の四半期ごとの伸びの効果」として年間成長率を組み立てます。
押さえておきたい公式
具体例で確認
例1:DIの計算
一致系列が10系列あり、3か月前と比べて改善7系列、横ばい1系列、悪化2系列だったとします。DI=(7 + 1 × 0.5)÷ 10 × 100 = 75%です。50%を上回っているので、景気拡張の動きが幅広い部門に広がっていると読み取れます。
例2:ゲタと翌年の成長率予測
ある年の実質GDP(季節調整済み)が、四半期ごとに100、101、102、103だったとします。
- 前年の年平均:(100 + 101 + 102 + 103)÷ 4 = 101.5
- ゲタ:103 ÷ 101.5 − 1 ≒ 1.48%(翌年、四半期ごとの成長がゼロでも年間成長率は約1.5%)
- 翌年は毎四半期0.5%ずつ成長すると予測すると、水準は約103.52、104.03、104.55、105.08で、平均は約104.29
- 翌年の年間成長率:104.29 ÷ 101.5 − 1 ≒ 2.75%
このうち約1.48%は前年からの持ち越しで、残りが翌年の四半期ごとの成長によるものです。ゲタを知らないと、年間成長率の高さを「今年の景気の強さ」と誤解してしまいます。
試験で問われやすいポイント
- 先行・一致・遅行の各系列にどんな指標が入るか、それぞれ何の判断に使うかが問われやすいです。
- CIは量感、DIは波及度という違いと、DIの50%ラインの意味を説明できるようにしましょう。
- DIの計算で横ばいを0.5とカウントする点は計算ミスが出やすいところです。
- ゲタ(発射台)の計算と、年間成長率を「ゲタ+今年の伸びの効果」に分けて考える手順は、記述式で計算過程を示させる形でも問われます。
- 統計の速報値は改定されうることや、先行指標にも予測の誤差がある点を説明させる問題にも備えましょう。
要点まとめ
- 景気動向指数は先行・一致・遅行の3系列で構成される
- CIは景気の強さ(量感)、DIは景気の広がり(波及度)を表す
- DI=(改善+横ばい×0.5)÷系列数で、50%が拡張・後退の目安
- 年間成長率の予測はゲタ(前年10〜12月期÷前年平均−1)を起点に組み立てる
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
