ひとことで言うと

  • 主成分分析では、各主成分の分散=分散共分散行列(または相関行列)の固有値になります。
  • 寄与率=その主成分の固有値 ÷ 固有値の合計で、データ全体の変動のうち何割をその主成分で説明できるかを表します。
  • 寄与率を大きい順に足したものが累積寄与率で、主成分をいくつ採用するかの判断材料になります。

この記事では、証券アナリスト2次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「固有値と寄与率」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 市場と経済の分析/数量分析と確率・統計
大分類 (12) 多変量解析
協会の学習ポイント 主成分分析における固有値と寄与率の関係について理解する。

主成分分析の固有値と寄与率とは

主成分分析では、分散共分散行列Σの固有値を大きい順に λ1 ≧ λ2 ≧ … ≧ λp と並べると、第k主成分の分散はちょうど λk になります。これは、主成分が「重みの2乗和を1とした合成変数の分散を最大化する」ことから導かれる性質です(固有ベクトルaについて a’Σa = λa’a = λ)。

また、固有値の合計は行列の対角成分の合計(トレース)に等しいので、固有値の合計=元の変数の分散の合計です。主成分は互いに無相関なので、元のデータがもつ全変動を、各主成分がそれぞれの固有値の分だけ分け合っていると見ることができます。そこで、全変動に占める割合として寄与率を定義します。

相関行列を使う場合

変数を標準化して相関行列で分析すると、各変数の分散は1なので、固有値の合計は変数の数pになります。このとき「固有値が1より大きい主成分は、元の変数1個分以上の情報をもつ」と解釈でき、固有値1以上の主成分を採用する目安(カイザー基準)が使われます。

主成分をいくつ採用するか

主成分の数を決める目安としては、①累積寄与率が一定水準(たとえば70〜80%程度)に達するまで採用する、②固有値1以上(相関行列の場合)、③固有値を順に並べたグラフ(スクリー・プロット)で急に落ち込みが緩やかになる手前まで、などがあります。いずれも絶対的なルールではなく、解釈のしやすさも合わせて判断します。

押さえておきたい公式

第k主成分の寄与率 = λk ÷ (λ1 + λ2 + … + λp分母は元の変数の分散の合計(相関行列なら変数の数p)
第m主成分までの累積寄与率 = (λ1 + … + λm) ÷ Σλk
主成分負荷量 = √λk × ajk標準化データの場合、第k主成分と変数xjの相関係数(ajk:固有ベクトルの第j成分)

具体例で確認

4つの標準化された変数の相関行列から、固有値が 2.4、0.9、0.5、0.2 と求まったとします(合計は変数の数と同じ4)。

主成分 固有値 寄与率 累積寄与率
第1 2.4 60.0% 60.0%
第2 0.9 22.5% 82.5%
第3 0.5 12.5% 95.0%
第4 0.2 5.0% 100.0%
  • 固有値1以上の基準なら、採用するのは第1主成分のみです。
  • 累積寄与率80%を目安にするなら、第2主成分まで(82.5%)を採用します。
  • このように、基準によって採用数が変わることがある点に注意しましょう。

試験で問われやすいポイント

  • 主成分の分散=固有値、固有値の合計=元の分散の合計(トレース)という関係。
  • 寄与率・累積寄与率の計算。相関行列なら分母が変数の数になる点。
  • 固有値1以上(カイザー基準)と累積寄与率基準の違い、およびそれぞれで採用数が変わりうること。
  • 主成分負荷量(主成分と元の変数の相関)の計算と、各主成分の意味づけ(解釈)。
  • 記述式では、固有値の表から寄与率を計算し、何個の主成分を採用すべきかを理由とともに述べさせる形に備えましょう。

要点まとめ

  • 各主成分の分散は対応する固有値に等しくなります。
  • 寄与率=固有値÷固有値の合計で、その主成分の説明力を表します。
  • 累積寄与率や固有値1以上などの基準で、採用する主成分の数を決めます。
  • 相関行列を使うと固有値の合計は変数の数になります。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。