「証券アナリスト(CMA)を取ると、実際に何が変わるの?」――受験を迷っている方から、いちばん多くいただく質問です。この記事では、仕事・キャリア・自分の資産運用の3つの面から、証券アナリストを取得するメリットを整理します。あわせて、取る前に知っておきたい注意点もまとめました。

そもそも証券アナリスト(CMA)とは

証券アナリストは、日本証券アナリスト協会が認定する資格です。正式名称は「日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA:Chartered Member of the Securities Analysts Association of Japan)」。株式・債券・デリバティブ・ポートフォリオ・財務分析・経済・数量分析・職業倫理を、実務に使える形で体系的に学ぶ資格です。

運営 公益社団法人 日本証券アナリスト協会
取得までの流れ 第1次レベル講座を受講 → 1次試験(3科目)に合格 → 第2次レベル講座を受講 → 2次試験に合格
CMAを名乗るには 2次試験に合格し、証券分析業務等の実務経験が3年以上あれば「検定会員」として入会できます(3年未満の方は「検定会員補」に登録)
資格保有者数 26,981名(2021年3月末時点・協会公表)

試験の詳しい内容は、1次試験の概要2次試験の概要の記事にまとめています。

証券アナリストを取得する7つのメリット

まずは全体像です。メリットは大きく7つに整理できます。

メリット ひとことで言うと
① 金融の共通言語が身につく 株式・債券・財務・経済を1つの枠組みで理解できる
② 社内での評価・異動の材料になる 知識を客観的に証明でき、希望部署への異動や昇格の後押しになる
③ 転職の選択肢が広がる 運用・リサーチ・IR・財務など専門職への入口になる
④ 事業会社でも活きる 企業価値・投資判断・IRの考え方がそのまま使える
⑤ 自分の資産運用に活きる 分散投資・リスク・企業分析を理論から理解できる
⑥ CFA®へのステップになる 世界で通用する国際資格に挑戦する土台になる
⑦ 学び続ける仲間ができる 協会のセミナーや勉強会、受験仲間とのつながり

メリット① 金融の「共通言語」が体系的に身につく

証券アナリストの学習範囲は、株式・債券・デリバティブ・ポートフォリオ理論から、財務分析・コーポレート・ファイナンス、ミクロ・マクロ経済、統計、職業倫理まで広がっています。

実務では「株は株」「債券は債券」と担当ごとに知識が分かれがちです。証券アナリストの学習では、それらを「リスクとリターン」「将来キャッシュフローの現在価値」という共通の物差しでつなげて理解します。担当外の話が出てきても、会議や資料についていける――これがいちばん実感しやすいメリットです。

メリット② 社内での評価・異動の材料になる

証券アナリストは、銀行・証券・信託銀行・保険・運用会社など、金融機関で広く受験されている資格です。2026年春の1次試験では、合格者の業態は銀行が最も多く、証券会社、投資運用・投資助言が続いています。

順位 企業名 合格者数
1 みずほ銀行 141名
2 大和証券 107名
3 三菱UFJ信託銀行 90名
4 野村證券 89名
5 三井住友銀行 85名
6 三菱UFJ銀行 84名
7 三井住友信託銀行 83名
8 SMBC日興証券 66名
9 みずほ証券 60名
10 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 48名

出所:日本証券アナリスト協会「CMA1次レベル試験データ」(2026年春試験・合格者の企業別上位10社)

これだけ多くの人が受けているということは、社内で「持っていて当然」「持っていると話が早い」資格になっている職場も多いということです。運用・リサーチ・市場部門などの専門部署への異動を希望するときに、知識と意欲を客観的に示す材料になります。

メリット③ 転職・キャリアの選択肢が広がる

証券アナリストの知識が直接活きる職種は、金融の中でも専門性の高いポジションです。

職種 活きる知識
ファンドマネージャー・運用 ポートフォリオ理論、資産配分、パフォーマンス評価
証券アナリスト(リサーチ) 企業分析、財務分析、株式価値評価
債券・市場部門 金利・債券分析、デリバティブ、マクロ経済
法人営業・リテール営業 商品の仕組みとリスクを顧客に説明する力
IR・経営企画・財務 投資家の視点、企業価値、資本コスト
M&A・コンサルティング 企業価値評価、コーポレート・ファイナンス

求人票で「証券アナリスト資格保有者歓迎」と書かれることも多く、書類選考の段階で専門知識の土台があることを伝えられます。

メリット④ 事業会社でも活きる

協会によると、資格保有者のうち証券会社に勤めている人は約2割にとどまり、さまざまな金融機関や事業会社で活躍しています。

事業会社では、投資案件の採算評価、資本コストを意識した経営計画、投資家との対話(IR)など、証券アナリストの知識がそのまま使える場面が増えています。「投資家は自社をどう見ているか」を理解できることは、財務・IR・経営企画の仕事で大きな強みになります。

メリット⑤ 自分の資産運用に活きる

NISAやiDeCoで投資を始める人が増えるなか、「なぜ分散投資が大切なのか」「リスクとリターンの関係はどうなっているのか」を理論から理解できるのは大きな価値です。

企業の決算書を読んで割安・割高を考える力、金利や景気の変化が株価や債券価格にどう効くかを考える力は、そのまま自分のお金を守り、育てる力になります。

メリット⑥ 世界で通用するCFA®へのステップになる

証券アナリストで学ぶ内容は、世界的な投資プロフェッショナルの資格であるCFA®(米国証券アナリスト)と重なる部分が多くあります。株式・債券・デリバティブ・ポートフォリオ・財務分析・経済・倫理という骨格はほぼ共通で、証券アナリストで身につけた知識は、そのままCFA®の土台になります。

CFA®は世界約160の市場で約20万人が保有する資格で、海外の運用会社や外資系金融機関、海外駐在などグローバルな場面で強い信頼を得られます。日本語で投資理論の基礎を固めた今こそ、次は英語でその知識を世界に通用する形にする――証券アナリストに合格した方には、ぜひCFA®へのチャレンジも視野に入れてほしいと考えています。

メリット⑦ 学び続ける仲間ができる

検定会員になると、協会のセミナーや継続学習の機会を活用できます。受験期間中も、同じ試験を目指す仲間の存在は大きな支えになります。職場以外の金融パーソンとつながれるのも、この資格ならではの魅力です。

取る前に知っておきたい注意点

メリットだけでなく、気をつけておきたい点もあります。

注意点 内容
独占業務はない 弁護士や公認会計士のように、資格がないとできない業務があるわけではありません。価値は「知識の証明」と「使える力」にあります
講座の受講が必須 独学で試験だけ受けることはできず、1次・2次それぞれ協会の講座を受講する必要があります
時間がかかる 1次は年2回、2次は年1回。1次から2次まで、最短でも1年以上かかります
名乗るには実務経験 2次に合格しても、検定会員(CMA)として入会するには3年以上の実務経験が必要です
資格だけで年収は上がらない 資格そのものより、学んだ知識を仕事でどう使うかで評価が決まります

逆に言えば、「仕事の幅を広げたい」「数字で説明できる人になりたい」と考えている方にとっては、時間をかける価値のある資格です。

よくある質問

Q. 金融機関で働いていなくても取る意味はありますか?

あります。資格保有者の多くは証券会社以外で働いており、事業会社の財務・IR・経営企画でも知識が活きます。自分の資産運用に役立てたい方にもおすすめです。

Q. 1次試験に合格するだけでもメリットはありますか?

あります。1次試験の範囲だけでも、株式・債券・財務分析・経済・統計の基礎が一通り身につきます。社内の評価や転職の場面でも「1次合格」は学習の成果として伝えられます。

Q. 証券アナリストとCFA®はどちらを先に取るべきですか?

英語に不安がある方、まず日本語で体系的に学びたい方は、証券アナリストから始めるのがおすすめです。学習範囲が重なるため、証券アナリストで身につけた知識はCFA®の学習にそのまま活きます。証券アナリストの次の目標として、ぜひCFA®にも挑戦してみてください(CFA®とは?)。

一緒に合格を目指しませんか

証券アナリストアカデミーでは、1次・2次の受験生が集まるコミュニティを運営しています。YouTube(@cma-fa-academy)では、協会の「学習ポイント」に沿って論点を1つずつ解説しています。

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※記載の情報は2026年9月時点で日本証券アナリスト協会が公表している内容にもとづきます。最新情報は協会の公式サイトでご確認ください。