株式の種類(普通株・優先株・種類株)とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・株式分析
ひとことで言うと
- 普通株は、配当・議決権・残余財産の分配について標準的な権利を持つ、もっとも一般的な株式です。
- 優先株は配当や残余財産を普通株より先に受け取れる代わりに、議決権が制限されることが多い株式です。
- 種類株は、権利の内容を普通株と変えた株式の総称で、優先株もその一つです。
この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅰ「株式分析」の学習ポイントのひとつ「株式の種類と特徴」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/株式分析 |
|---|---|
| 大分類 | (1) 資本市場の仕組みと株式投資 |
| 協会の学習ポイント | 株式の種類(普通株、優先株、種類株等)とその特徴(持ち分、配当、議決権、株式の財産請求権等)について理解する。 |
株式の種類(普通株・優先株・種類株)とは
株式は会社の「持ち分」であり、株主はその持ち分に応じてさまざまな権利を持ちます。会社法では、内容の異なる複数の種類の株式を発行することが認められており、会社は資金調達の目的や投資家のニーズに合わせて株式を設計できます。
株主の権利:自益権と共益権
株主の権利は大きく2つに分けられます。自益権は、株主自身が経済的な利益を受ける権利で、剰余金の配当を受ける権利(配当請求権)や、会社が解散したときに残った財産の分配を受ける権利(残余財産分配請求権)が代表例です。共益権は、会社の経営に参加する権利で、株主総会での議決権が中心です。
普通株の株主は、原則として持ち株数に応じてこれらの権利を平等に持ちます(株主平等の原則)。ただし、残余財産の分配は債権者への弁済がすべて終わった後になります。
優先株と劣後株
優先株は、配当や残余財産の分配を普通株より優先して受けられる株式です。一般に、あらかじめ決められた優先配当が支払われ、その代わりに議決権がない(または制限される)設計が多く見られます。配当が安定しやすい点で、債券に近い性格を持つともいえます。反対に、配当などの順位が普通株より後回しになる株式は劣後株(後配株)と呼ばれます。
優先株の配当には、次のような設計の違いがあります。
- 累積型/非累積型:ある年に優先配当が予定額に届かなかったとき、不足分を翌年以降に持ち越して支払うのが累積型、持ち越さないのが非累積型です。
- 参加型/非参加型:優先配当を受けた後、残りの利益からの配当にも普通株と一緒に参加できるのが参加型、優先配当だけで終わるのが非参加型です。
その他の種類株
会社法では、優先・劣後以外にも、議決権の範囲を制限した議決権制限株式、譲渡に会社の承認が必要な譲渡制限株式、株主が会社に取得を請求できる取得請求権付株式、一定の事由が生じたら会社が取得できる取得条項付株式、特定の決議に拒否権を持つ拒否権付株式(いわゆる黄金株)などを定めることができます。
整理しておきたいポイント
| 種類 | 配当・残余財産 | 議決権などの特徴 |
|---|---|---|
| 普通株 | 標準的な権利。配当は業績次第 | 議決権あり。もっとも一般的な株式 |
| 優先株 | 普通株より優先して受け取れる | 議決権がない・制限される設計が多い |
| 劣後株(後配株) | 普通株より後回し | 既存の普通株主への配当を損なわずに資金を集めたい場合などに使われる |
| 議決権制限株式 | 内容は設計次第 | 議決権を行使できる事項が制限される |
具体例で確認
ある会社が、優先株10万株(1株あたり年50円の優先配当、非参加型)と普通株100万株を発行しているとします。
- 配当に回せる額が1,000万円の年:まず優先株に10万株×50円=500万円を支払い、残る500万円を普通株に配当すると、普通株1株あたり5円になります。
- 配当に回せる額が300万円の年:全額が優先株に回り(1株あたり30円)、普通株は無配です。優先配当は予定より200万円不足しています。
- 翌年、配当に回せる額が1,000万円になった場合:
- 累積型なら、前年の不足分200万円+当年分500万円=700万円を先に優先株へ支払い、普通株には残り300万円(1株あたり3円)。
- 非累積型なら、優先株には当年分500万円だけを支払い、普通株には500万円(1株あたり5円)。
累積型のほうが優先株主にとって有利で、普通株主にとっては不利になることがわかります。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「株式の種類(普通株・優先株・種類株等)とその特徴(持ち分・配当・議決権・株式の財産請求権等)を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 自益権(配当請求権・残余財産分配請求権など)と共益権(議決権など)の区別が問われやすいです。
- 優先株は「配当・残余財産が優先」だが「議決権がない・制限されることが多い」。何が優先されるのかを混同しやすいです。
- 優先株であっても債権者より先に弁済されるわけではない点。順位は「債権者 → 優先株 → 普通株」が基本です。
- 累積型/非累積型、参加型/非参加型の意味の取り違えが狙われやすいです。
- 種類株は優先株だけでなく、議決権制限株式や譲渡制限株式なども含む総称である点。
要点まとめ
- 株主の権利は、経済的利益を受ける自益権と経営に参加する共益権に分かれる。
- 普通株は標準的な株式、優先株は配当・残余財産が優先される株式。
- 優先株は議決権が制限されることが多く、債券に近い性格を持つ。
- 会社法により、議決権制限・譲渡制限などさまざまな種類株を発行できる。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
