ひとことで言うと

  • トップダウン分析は、経済全体(マクロ)→産業→個別企業の順に、上から絞り込んでいく分析方法です。
  • ボトムアップ分析は、個別企業の分析から出発し、有望な銘柄を1つずつ積み上げていく分析方法です。
  • どちらが正しいというものではなく、出発点と重視する情報が違う2つのアプローチです。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅰ「株式分析」の学習ポイントのひとつ「トップダウンとボトムアップ」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/株式分析
大分類 (2) 株式投資と企業のファンダメンタル分析
協会の学習ポイント トップダウン分析とボトムアップ分析について理解する。

トップダウン分析とボトムアップ分析とは

数千社ある上場企業の中から投資先を選ぶとき、どこから手をつけるかには大きく2つの考え方があります。それがトップダウン分析ボトムアップ分析です。

トップダウン分析:上から絞り込む

トップダウン分析では、まず景気、金利、為替、物価といったマクロ経済の見通しを立てます。次に、その環境の中で追い風を受けやすい産業(セクター)を選び、最後にその産業の中から有望な個別企業を選びます。「景気が回復するなら、景気に敏感な産業が伸びやすい。その中で競争力の高い企業はどこか」という流れで考えるイメージです。国別や業種別の資産配分(アセット・アロケーション)を先に決める運用とも相性がよい方法です。

ボトムアップ分析:個別企業から積み上げる

ボトムアップ分析では、個々の企業の事業内容、競争力、財務内容、経営陣、利益予想などを丹念に調べ、株価が本来の価値より割安な銘柄を1つずつ選んでいきます。マクロ経済や産業の見通しよりも、企業固有の要因を重視するのが特徴です。結果として、ポートフォリオの業種構成は銘柄選択の「積み上げの結果」として決まります。

実務では組み合わせて使う

実際の運用や調査では、両方を組み合わせることがよくあります。たとえば、ストラテジストがトップダウンでマクロや業種の見通しを示し、セクター担当のアナリストがボトムアップで個別企業を分析する、といった役割分担です。どちらか一方だけでは、マクロ環境の大きな変化を見落としたり、個別企業の実力を見誤ったりするおそれがあるためです。

整理しておきたいポイント

比較の観点 トップダウン分析 ボトムアップ分析
分析の順序 マクロ経済 → 産業 → 個別企業 個別企業 → (産業・市場全体)
重視する情報 景気・金利・為替などのマクロ要因、産業の動向 企業の競争力・財務・経営・利益予想
強み 大きな経済環境の変化を運用に反映しやすい 個別企業の割安さや独自の強みを見つけやすい
注意点 マクロ予想が外れると全体の判断がずれやすい マクロ環境の変化や業種の偏りを見落としやすい
業種配分の決まり方 先に業種配分を決め、その中で銘柄を選ぶ 銘柄選択を積み上げた結果として決まる

具体例で確認

2人のファンドマネージャーが、同じ国内株式ファンドを運用する場面を考えてみましょう。

  • Aさん(トップダウン):「今後は景気回復と円安が進む」と予想し、輸出比率の高い機械や自動車の比率を高めることを先に決めます。そのうえで、各業種の中から競争力の高い企業を選びます。
  • Bさん(ボトムアップ):業種にはこだわらず、一社ずつ業績予想と理論価値を計算し、株価が割安な企業を選びます。結果的に、ポートフォリオの業種構成はベンチマークと大きく異なることもあります。

景気予想が当たればAさんの運用が有利になりやすく、個別企業の見極めが的確ならBさんの運用が有利になりやすい、というように、成果の源泉が違う点がポイントです。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「産業分析と企業分析の関連、トップダウン分析とボトムアップ分析を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • トップダウンは「マクロ→産業→企業」、ボトムアップは「企業から積み上げ」という分析の順序が問われやすいです。
  • ボトムアップ分析でも産業やマクロを全く無視するわけではない、という表現のひっかけに注意しましょう。
  • トップダウンはマクロ予想の精度に、ボトムアップは個別企業分析の精度に成果が左右される、という違いが狙われやすいです。
  • 業種配分が「先に決まる」のか「結果として決まる」のかは混同しやすいポイントです。

要点まとめ

  • トップダウン:マクロ経済→産業→個別企業の順に絞り込む
  • ボトムアップ:個別企業の分析から銘柄を積み上げる
  • 重視する情報と成果の源泉が異なる
  • 実務では両方を組み合わせて使うことが多い

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。