株式の発行市場と流通市場とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・株式分析
ひとことで言うと
- 発行市場は、企業が新しく株式を発行し、投資家から資金を集める市場です(プライマリー・マーケット)。
- 流通市場は、すでに発行された株式を投資家どうしで売買する市場です(セカンダリー・マーケット)。
- 発行市場では資金が企業に入りますが、流通市場の売買では企業に新たな資金は入りません。
この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅰ「株式分析」の学習ポイントのひとつ「発行市場と流通市場」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/株式分析 |
|---|---|
| 大分類 | (1) 資本市場の仕組みと株式投資 |
| 協会の学習ポイント | 株式発行市場と株式流通市場について理解する。 |
株式の発行市場と流通市場とは
株式市場というと、証券取引所で株価が刻々と動く様子を思い浮かべる方が多いでしょう。しかしそれは市場の一面にすぎません。株式市場は、株式が生まれる場(発行市場)と、生まれた株式が持ち主を変えていく場(流通市場)の2つに分けて考えます。
発行市場(プライマリー・マーケット)
発行市場は、企業が新株を発行して資金を調達する場です。取引所のような特定の建物や場所があるわけではなく、発行する企業、引受を行う証券会社、株式を取得する投資家の間で行われる取引の総称です。
主な発行の方法には、次のようなものがあります。
- 公募:広く一般の投資家に新株の取得を募る方法です。未上場企業が上場にあわせて株式を売り出すIPO(新規株式公開)や、上場企業の公募増資がこれにあたります。
- 株主割当:既存の株主に、持ち株数に応じて新株を引き受ける権利を与える方法です。新株予約権を株主に無償で割り当てるライツ・オファリングもこの考え方に近い方法です。
- 第三者割当:取引先や提携先など、特定の相手に新株を割り当てる方法です。既存株主の持ち分比率が低下(希薄化)するため、発行価格の妥当性が重要になります。
公募では、証券会社が発行体と投資家の間に入り、発行する株式をいったん買い取って投資家に販売する引受を行うのが一般的です。売れ残りのリスクを証券会社が負う点が特徴です。
流通市場(セカンダリー・マーケット)
流通市場は、すでに発行された株式を投資家どうしが売買する場です。中心となるのは証券取引所で、上場している株式は取引所のルールのもとで売買されます。取引所以外でも、証券会社が運営する私設取引システム(PTS)などで売買が行われることがあります。
流通市場での売買は投資家どうしのお金のやり取りなので、株価が上がっても下がっても、発行した企業に直接お金が入ったり出たりすることはありません。
整理しておきたいポイント
| 比較の観点 | 発行市場 | 流通市場 |
|---|---|---|
| 別名 | プライマリー・マーケット | セカンダリー・マーケット |
| 取引される株式 | 新たに発行される株式 | すでに発行された株式 |
| お金の流れ | 投資家 → 発行企業 | 投資家 → 投資家 |
| 主な担い手 | 発行企業、引受を行う証券会社、投資家 | 証券取引所、証券会社、投資家 |
| 具体例 | IPO、公募増資、株主割当、第三者割当 | 取引所での日々の売買、PTSでの売買 |
具体例で確認
未上場のY社が、上場にあわせて新株を1株2,000円で発行し、100億円を調達したとします。
- 発行市場の取引:投資家は証券会社を通じてY社の新株を2,000円で取得し、その代金(手数料等を除く)がY社に入ります。Y社はこの資金を工場の建設などに使えます。
- 流通市場の取引:上場後、Y社株は取引所で売買され、株価が3,000円に上がったとします。このとき、2,000円で取得した投資家が3,000円で別の投資家に売っても、代金は売り手の投資家に入るだけで、Y社の手元資金は増えません。
ただし、株価が高く評価されていれば、Y社が将来増資をするときに有利な価格で資金を集めやすくなります。流通市場の株価は、企業の資金調達コストに間接的に影響するのです。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「株式発行市場と株式流通市場について理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 発行市場では資金が企業に入り、流通市場の売買では企業に資金が入らない、というお金の流れの違いが問われやすいです。
- 公募・株主割当・第三者割当の区別。特に第三者割当による既存株主の持ち分の希薄化は狙われやすい論点です。
- 発行市場は取引所のような具体的な「場所」を持たない抽象的な市場である点を混同しやすいです。
- 引受では証券会社が売れ残りのリスクを負う点。販売を代行するだけの「募集の取扱い」との違いにも注意しましょう。
- 流通市場の株価は、企業の将来の資金調達条件に影響するという両市場のつながりもあわせて押さえておきましょう。
要点まとめ
- 発行市場は株式が生まれる場、流通市場は株式が売買される場。
- 企業に資金が入るのは発行市場の取引。
- 発行の方法には公募(IPO・公募増資)、株主割当、第三者割当がある。
- 流通市場の中心は証券取引所。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
