ひとことで言うと

  • 割引債(ゼロクーポン債)は、途中で利息を支払わず、額面より安い価格で発行・売買され、満期に額面で償還される債券です。
  • 投資家の収益は、購入価格と額面の差(償還差益)だけです。
  • キャッシュフローが満期の1回だけなので、価格と利回りの関係がもっとも単純で、スポットレートの考え方の土台になります。

この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「割引債の仕組み」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/債券分析
大分類 (1) 債券の種類・特性と債券市場の仕組み
協会の学習ポイント 割引債の仕組み(キャッシュフローと利回り)を理解する。

割引債とは

割引債は、クーポン(利息)がない代わりに、額面から利息相当分を「割り引いた」価格で買える債券です。たとえば額面100円の割引債を95円で買えば、満期に100円を受け取り、差額の5円が収益になります。日本では国庫短期証券(短期の国債)が代表例で、海外では利付国債の元本部分と利息部分を切り離して別々に売買するストリップス債も割引債にあたります。

キャッシュフローは満期の1回だけ

利付債は毎期クーポンを受け取るため、途中で受け取ったお金をどの金利で運用できるか(再投資)の問題が生じます。これに対して割引債は、購入時の支払い満期の額面受取りの2時点しかキャッシュフローがありません。そのため、満期まで保有すれば、購入時点の利回りがそのまま実現し、再投資リスクがありません

価格と利回りの関係

割引債の価格は、額面を利回りで割り引いた現在価値です。利回りが高いほど、また残存期間が長いほど、価格は額面から大きく下がります。逆に、同じ価格なら残存期間が長いほど利回りは低くなります。満期が近づくにつれて、価格は徐々に額面に近づいていきます。

単利と複利

1年を超える割引債の利回りは、通常は複利で考えます。一方、償還差益を年数で単純に割った単利で表示する場合もあります。試験ではどちらで計算するかが指定されるので、問題文をよく確認しましょう。

押さえておきたい公式

P = F ÷ (1 + r)n割引債の価格(複利)
r = (F ÷ P)1/n − 1複利利回り
r = (F − P) ÷ P ÷ n単利利回り(償還差益を購入価格と年数で割る)
記号 意味
P 割引債の価格
F 額面(償還価格)
r 利回り(年率)
n 残存年数

具体例で確認

例1:残存1年の割引債

1年後に100円が償還される割引債を95円で購入します。

  1. 償還差益:100 − 95 = 5円
  2. 利回り:5 ÷ 95 ≒ 5.26%

額面に対する割引率(5%)ではなく、購入価格95円に対する収益率で計算する点に注意しましょう。

例2:残存3年の割引債

3年後に100円が償還される割引債を90円で購入します。

  1. 複利利回り:(100 ÷ 90)1/3 − 1 ≒ 3.57%
  2. 単利利回り:(100 − 90) ÷ 90 ÷ 3 ≒ 3.70%

複利では利息にも利息がつく前提なので、同じ価格でも単利より低い利回りになります。

試験で問われやすいポイント

  • 価格 = 額面 ÷ (1+r)n を使った価格・利回りの計算が問われやすいです。
  • 利回りは購入価格に対する収益率で、額面に対する割引額の比率とは異なる点がひっかけになりやすいです。
  • 割引債は満期保有なら再投資リスクがないことが、利付債との違いとして問われやすいです。
  • 単利と複利のどちらで計算するかで答えが変わるため、問題文の指定を確認しましょう。
  • 同じ残存期間なら、割引債は利付債より金利変動に対する価格の変化が大きい(デュレーションが残存期間に等しい)ことにもつながります。

要点まとめ

  • 割引債=クーポンなし、額面より安く買って満期に額面を受け取る
  • 価格は P = F ÷ (1+r)n、利回りは (F÷P)1/n − 1
  • キャッシュフローは満期の1回だけで、再投資リスクがない
  • 単利と複利の違いと、購入価格ベースで計算する点に注意

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。