ひとことで言うと

  • ベンチマークは、運用の目標や成績評価の物差しとなる基準で、多くの場合は株式や債券の市場指数が使われます。
  • 投資政策書(IPS)は、運用の目的・制約・資産配分・ベンチマーク・評価方法などを文書にまとめたものです。
  • 市場指数は計算方法(時価総額加重・価格加重など)によって性格が異なる点も押さえます。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「ベンチマークとIPS」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (2) 投資政策とアセット・アロケーション
協会の学習ポイント 投資政策におけるベンチマークや市場指数の役割、種類、利用方法と投資政策書(IPS)の策定項目について理解する。

投資政策書(IPS)とベンチマークとは

投資政策を実際の運用に生かすには、関係者が共有できる形で書面にしておくことが大切です。これが投資政策書(IPS:Investment Policy Statement)です。IPSがあることで、運用を任された人は何を目指し、何をしてはいけないのかが明確になり、委託者は運用が方針どおりに行われているかを確認できます。市場が大きく動いたときに、感情的な判断で方針を変えてしまうことを防ぐ役割もあります。

IPSに記載する主な項目

  • 運用の目的(リターン目標とリスク許容度)
  • 制約条件(流動性、投資期間、税制、法規制、個別事情)
  • 基本資産配分(ポリシー・アセットミックス)と許容乖離幅
  • 各資産クラスのベンチマーク
  • リバランスの方針、運用機関の選定・評価の方法、報告の頻度、関係者の役割分担、IPS自体の見直し手続き

ベンチマークと市場指数の役割

ベンチマークは、①資産クラスの代表として期待リターン・リスクを推計する材料、②パッシブ運用で連動を目指す対象、③アクティブ運用の成績を比べる物差し、として使われます。適切なベンチマークは、運用開始前に定められていること、構成銘柄やウエイトが明確であること、実際に投資可能であること、運用スタイルに合っていることなどが求められます。

市場指数の種類

株価指数には、構成銘柄の時価総額に応じてウエイトを付ける時価総額加重型(TOPIXなど)、株価の水準に応じた価格加重型(日経平均株価など)、各銘柄を同じ金額ずつ持つ等金額加重型などがあります。また、配当を含めて計算する配当込み指数と、価格だけの指数の違いも、評価の際には重要です。

整理しておきたいポイント

指数のタイプ ウエイトの決まり方 特徴
時価総額加重型 時価総額に比例 市場全体の動きを表し、売買なしで連動しやすい(株価変動で自動調整)
価格加重型 株価の水準に比例 株価の高い銘柄(値がさ株)の影響が大きい
等金額加重型 全銘柄同じ 小型株の影響が相対的に大きく、維持にはリバランスが必要

具体例で確認

2銘柄だけの市場を考えます。A社は株価1,000円・発行株数100株(時価総額10万円)、B社は株価100円・発行株数10,000株(時価総額100万円)です。A社の株価だけが10%上がって1,100円になりました。

  • 価格加重型(株価の合計で計算):(1,100 + 100)÷(1,000 + 100)− 1 ≒ +9.09%
  • 時価総額加重型:時価総額の合計が110万円から111万円になるので、111 ÷ 110 − 1 ≒ +0.91%

同じ市場でも、指数の作り方によって動き方が大きく異なります。価格加重型では値がさ株の影響が強く出ることがわかります。ベンチマークを選ぶときは、運用の中身と合った計算方法の指数を選ぶ必要があります。

試験で問われやすいポイント

  • IPSの記載項目(目的・制約条件・資産配分・ベンチマーク・リバランス方針・評価方法など)と、IPSを作る意義。
  • ベンチマークの3つの使い道(期待値の推計、パッシブ運用の対象、成績評価の物差し)。
  • 時価総額加重型・価格加重型・等金額加重型の違いと、どの銘柄の影響が大きくなるか。
  • 良いベンチマークの条件(事前に決定、明確、投資可能、運用スタイルとの整合)。
  • 配当込み指数と価格指数を混同すると、成績比較が不公平になる点。

要点まとめ

  • IPSは運用の目的・制約・資産配分・ベンチマーク・評価方法を定めた文書。
  • ベンチマークは期待値の推計、パッシブ運用の対象、成績評価の物差しとして使う。
  • 市場指数は時価総額加重・価格加重・等金額加重などで性格が異なる。
  • ベンチマークは事前に定め、投資可能で運用スタイルに合ったものを選ぶ。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。