ひとことで言うと

  • 機関投資家の運用は、運用方針の策定 → 資産配分と運用体制の設計 → 運用機関の選定 → モニタリングと評価という流れで進みます。
  • 年金基金などは運用を外部の運用機関に委託することが多く、どの運用機関にどう任せるか(マネジャー・ストラクチャー)と、その管理が重要になります。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「機関投資家の運用プロセス」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (4) 機関投資家の資産運用
協会の学習ポイント 機関投資家におけるポートフォリオ運用プロセスの概要を理解する。

機関投資家の運用プロセスとは

機関投資家の運用も、基本的には「計画 → 実行 → フィードバック」というポートフォリオ・マネジメント・プロセスに沿って進みます。ただし、組織として多額の資金を運用し、受益者に対して受託者責任を負うため、各段階での意思決定や役割分担を明確にし、文書に残して説明できるようにしておくことが特に重視されます。

① 運用方針の策定

まず、受益者の目的や負債の性格、リスク許容度、制約条件を踏まえて運用の基本方針を定め、長期の基本資産配分(政策アセットミックス)を決めます。年金基金の場合、給付債務や掛金の見通しなどが出発点になります。

② 運用体制(マネジャー・ストラクチャー)の設計

各資産クラスを、市場指数への連動を目指すパッシブ運用と、指数を上回ることを目指すアクティブ運用にどう振り分けるか、どのような運用スタイルの運用機関を何社組み合わせるかを決めます。低コストのパッシブ運用を中心(コア)に据え、一部をアクティブ運用(サテライト)に任せるコア・サテライト戦略はその代表例です。自ら運用する(自家運用)か外部に委託するかも、この段階で検討します。

③ 運用機関の選定

運用機関は、過去の成績という定量面だけでなく、投資哲学、組織・人材、運用プロセス、パフォーマンスといった定性面も合わせて評価します。過去の成績が良かったことは、将来も良い成績が続くことを保証しないためです。選定後は、運用ガイドライン(ベンチマーク、許容されるリスクの範囲、投資制限など)を示して運用を委託します。

④ モニタリングと評価

運用開始後は、ガイドラインが守られているか、運用スタイルが変わっていないか、ベンチマークに対して成績はどうかを継続的に確認します。評価の結果によっては、運用機関の入れ替えや配分の見直しを行い、必要に応じて基本方針そのものも見直します。

整理しておきたいポイント

段階 主な内容 キーワード
運用方針の策定 目的・制約の整理、基本資産配分の決定 基本方針、政策アセットミックス
運用体制の設計 パッシブ・アクティブの配分、運用機関の組み合わせ マネジャー・ストラクチャー、コア・サテライト
運用機関の選定 定量評価と定性評価、ガイドラインの提示 投資哲学・組織・プロセス・成績
モニタリングと評価 ガイドライン遵守・成績の確認、入れ替え パフォーマンス評価、見直し

具体例で確認

ある年金基金が、国内株式の運用額のうち70%をTOPIX連動のパッシブ運用(運用報酬 年0.05%)、30%を2社のアクティブ運用(運用報酬 年0.5%)に委託するとします。国内株式全体の報酬率は 0.7 × 0.05 + 0.3 × 0.5 = 年0.185%で、全額をアクティブ運用に任せる場合より大幅に低く抑えられます。基金は、アクティブ運用の2社がそれぞれの運用スタイルを守っているか、報酬に見合う超過リターンをあげているかを定期的に確認し、期待に届かない状態が続けば入れ替えを検討します。

試験で問われやすいポイント

  • 運用プロセスの順序と、各段階で何を決めるか(基本資産配分は運用方針の段階、運用機関の入れ替えは評価の段階)。
  • 運用機関の選定では、過去の成績だけでなく投資哲学・組織・運用プロセスなどの定性評価も重視する点。
  • コア・サテライト戦略の考え方と、パッシブ運用・アクティブ運用の役割の違い。
  • 運用ガイドラインを示して委託し、遵守状況やスタイルの変化をモニタリングする点。

要点まとめ

  • 機関投資家の運用は方針策定・体制設計・運用機関選定・モニタリングの流れで進む。
  • マネジャー・ストラクチャーでパッシブとアクティブの組み合わせを決める。
  • 運用機関は定量・定性の両面から評価して選ぶ。
  • 継続的なモニタリングと評価で入れ替えや見直しを行う。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。