所有期間利回りとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・債券分析
ひとことで言うと
- 所有期間利回りは、債券を買ってから満期前に売却するまでの間に、実際に得られた収益を利回りで表したものです。
- 収益は「クーポン」「クーポンの再投資収益」「売却時の価格変動(売却損益)」の3つから生まれます。
- 金利が上がると売却価格は下がる一方で再投資収益は増え、金利が下がるとその逆になるため、将来の金利シナリオごとに利回りを計算して比べます。
この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「金利シナリオと所有期間利回り」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 債券のリターンと金利リスクの分析 |
| 協会の学習ポイント | 将来の金利シナリオと所有期間利回りの関係を理解する。 |
所有期間利回りとは
最終利回りとの違い
最終利回りは、債券を満期まで保有し、受け取ったクーポンを同じ利回りで再投資できると仮定したときの利回りです。しかし実際には、満期前に売却することもあれば、金利が変わってクーポンを同じ利回りで再投資できないこともあります。そこで、実際の投資期間(所有期間)に得られる収益を測るのが所有期間利回りです。
2つの逆向きの効果
購入後に金利が変化すると、所有期間利回りには逆向きの2つの効果が働きます。
- 価格変動の効果:金利が上がると売却時の債券価格が下がり、売却損が生じます(金利低下なら売却益)。
- 再投資の効果:金利が上がると、受け取ったクーポンをより高い金利で運用できるので再投資収益が増えます(金利低下なら減少)。
所有期間が短いうちは価格変動の効果が大きく、所有期間が長くなるほど再投資の効果の比重が高まります。将来の金利がどう動くかのシナリオを複数想定し、それぞれの所有期間利回りを計算することで、債券投資の結果の幅を把握できます。
単利と複利
日本では、所有期間利回りを「年間のクーポン + 売却損益の年平均」を購入価格で割る単利の形で表すことも一般的です。一方、クーポンの再投資まで考える場合は、最終的な受取総額と購入価格から複利の形で年率を求めます。どちらで計算するかは問題の指示を確認しましょう。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| C | 年間のクーポン |
| PB | 購入価格 |
| PS | 売却価格 |
| n | 所有期間(年) |
具体例で確認
クーポン3%(年1回)、残存5年の債券を額面100円(利回り3%)で購入し、2年後に売却するとします。購入直後に金利(全年限)が次の水準に変わり、その後は変わらないと仮定します。1年目のクーポンは売却時まで1年間、新しい金利で再投資します。
| 金利シナリオ | 売却価格(残存3年) | クーポン+再投資 | 所有期間利回り(複利・年率) |
|---|---|---|---|
| 2%に低下 | 102.88円 | 6.06円 | 約4.38% |
| 3%で横ばい | 100.00円 | 6.09円 | 3.00% |
| 4%に上昇 | 97.22円 | 6.12円 | 約1.66% |
たとえば4%に上昇したケースでは、受取総額は 97.22 + 6.12 ≒ 103.34円で、(103.34 ÷ 100)1/2 − 1 ≒ 1.66%になります。所有期間が2年と短いため、再投資収益の増加(+0.03円)よりも売却価格の下落(−2.78円)の影響がずっと大きく、金利上昇で所有期間利回りが下がっています。
試験で問われやすいポイント
- 金利上昇時は「売却価格↓・再投資収益↑」、金利低下時は「売却価格↑・再投資収益↓」という逆向きの効果の整理。
- 所有期間が短いと価格変動の効果が、長いと再投資の効果が支配的になること。
- シナリオごとに売却価格と再投資収益を求め、所有期間利回りを計算する問題。単利か複利か、再投資を考えるかどうかの前提を確認しましょう。
- 満期まで保有すれば価格変動の効果はなくなり、再投資金利だけが結果を左右すること。
- 所有期間をデュレーションに合わせると2つの効果がおおむね打ち消し合う、という次の論点とのつながり。
要点まとめ
- 所有期間利回りは、満期前売却も含めた実際の投資期間の利回り。
- 収益源はクーポン、再投資収益、売却損益の3つ。
- 金利変化は価格と再投資収益に逆向きに効く。
- 金利シナリオごとに計算して、結果の幅を把握する。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
