株式会社制度とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・コーポレート・ファイナンス
ひとことで言うと
- 株式会社は、事業に必要な資金を多数の出資者(株主)から少しずつ集めるためのしくみです。
- 株主は出資額を超えて責任を負わない有限責任で、持分は株式として細かく分けられ、自由に譲渡できます。
- こうした特徴から、出資者が経営を専門の経営者に任せる所有と経営の分離が生まれます。
この記事では、証券アナリスト1次「コーポレート・ファイナンス」の学習ポイントのひとつ「株式会社制度の歴史と特徴」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅱ/コーポレート・ファイナンス |
|---|---|
| 大分類 | (1) 株式会社のしくみ |
| 協会の学習ポイント | 株式会社制度の誕生や変遷、特徴について理解する。 |
株式会社制度とは
株式会社は、会社の持分を均等な単位(株式)に分け、それを多くの人に引き受けてもらうことで大きな資金を集める会社形態です。一人ひとりの出資額は小さくても、数が集まれば鉄道や工場のような巨額の投資が可能になります。株式会社は「大規模な資金を社会から集めて事業を行う」ための制度だといえます。
誕生と変遷
近代的な株式会社の起源としては、17世紀初めに設立されたオランダ東インド会社がよく挙げられます。遠洋航海による貿易は巨額の資金が必要で、しかも船が沈めば大きな損失が出るハイリスクな事業でした。そこで多数の出資者からお金を集め、出資者の責任を出資額に限ることで、リスクを分かち合いながら大事業を可能にしたのです。
その後、産業革命期の鉄道・製造業などの発展とともに株式会社は各国に広がり、証券取引所で株式が売買されるようになりました。日本では明治期の商法によって株式会社が制度化され、2005年に会社法が制定(2006年施行)されて現在のルールの土台になっています。会社法では最低資本金制度の撤廃や、有限会社の新設廃止などの見直しが行われました。
株式会社の主な特徴
株式会社の特徴は、①株主の有限責任、②株式の譲渡自由(原則)、③資本の細分化(株式)、④所有と経営の分離、⑤会社自体が権利義務の主体となる法人格、の5点に整理すると覚えやすいです。有限責任があるから見知らぬ多数の人が安心して出資でき、譲渡自由があるから出資者はいつでも投資を回収でき、その結果として株主が入れ替わっても会社は存続します。
一方、株主が多数に分散すると、一人ひとりが経営に関わるのは現実的ではありません。そこで経営は取締役などの専門家に任され、所有と経営の分離が生じます。これは専門的な経営を可能にする反面、経営者が株主の利益に沿って行動しないエージェンシー問題の出発点にもなります。
整理しておきたいポイント
会社法上の会社は、株式会社と持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)に分かれます。出資者の責任の範囲に注目して比べてみましょう。
| 会社形態 | 出資者の責任 | 特徴 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 全員が有限責任 | 持分は株式で譲渡しやすく、所有と経営が分離しやすい |
| 合名会社 | 全員が無限責任 | 出資者が自ら経営するのが原則 |
| 合資会社 | 無限責任社員と有限責任社員 | 2種類の出資者が混在する |
| 合同会社 | 全員が有限責任 | 内部の決め方の自由度が高く、出資者が経営するのが原則 |
具体例で確認
ある会社が100億円の新工場を建てたいとします。一人の資産家が全額を出すのは難しく、しかも失敗すれば個人の財産まで失うとなれば出資をためらうでしょう。株式会社なら、1株1,000円の株式を1,000万株発行し、多数の投資家に少しずつ引き受けてもらえます。仮に事業が失敗して会社が倒産しても、株主が失うのは払い込んだ出資金までで、会社の借金を個人が肩代わりする必要はありません。また、途中で資金が必要になった株主は、株式を他の投資家に売って資金を回収できます。
ただし、有限責任には裏側もあります。株主の責任が限られる分、会社にお金を貸す債権者は会社の財産だけを頼りにすることになります。そのため会社法には、配当できる金額を制限する規制(分配可能額)など、債権者を守るためのルールが置かれています。
試験で問われやすいポイント
- 株式会社の特徴(有限責任・株式の譲渡自由・資本の細分化・所有と経営の分離)を正しく選べるかが問われやすいです。
- 有限責任の意味は「出資額までしか責任を負わない」ことで、「責任を負わない」ではない点に注意しましょう。
- 合名会社(全員無限責任)・合資会社(無限と有限の混在)・合同会社(全員有限責任)との責任の違いが混同しやすいポイントです。
- 有限責任によって債権者のリスクが高まるため、債権者保護の規制がある、というつながりも押さえておきましょう。
- 所有と経営の分離がエージェンシー問題やコーポレートガバナンスの議論につながる流れが問われやすいです。
要点まとめ
- 株式会社は、多数の出資者から大きな資金を集めるための制度
- 起源としてはオランダ東インド会社がよく挙げられる
- 特徴は有限責任・株式の譲渡自由・資本の細分化・所有と経営の分離
- 有限責任の裏側として、債権者保護のルールが置かれている
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
