結論:証券市場の基礎知識は「お金の流れ方」と「投資者を守る仕組み」、そして「ESG・サステナブルファイナンス」の用語問題です。計算はなく、言葉の入れ替えで落とさないことが勝負です。
- 証券会社を通じた株式・債券での資金調達は直接金融、銀行預金を通じた融資は間接金融。リスクを最終的に負うのは、直接金融では投資者です
- 新しく証券が発行される場が発行市場、発行済みの証券が売買される場が流通市場
- 証券会社が破綻したときの最後の砦は投資者保護基金(1顧客1,000万円まで)。銀行預金は預金保険(元本1,000万円+利息)
- スチュワードシップ・コードは機関投資家向け(2025年6月に第三次改訂)、コーポレートガバナンス・コードは上場会社向け(2026年7月に改訂)。どちらもコンプライ・オア・エクスプレイン
- ESG投資の手法(ネガティブ・スクリーニング、ESGインテグレーション等)と、グリーンボンド・ソーシャルボンド・トランジションボンドの違い、ESGウォッシュを押さえる
一種・二種の出題範囲
一種◯ 出題範囲二種◯ 出題範囲外務員必携 第1巻
この章は一種・二種で範囲が同じです。二種の方も記事全体が対象です。
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直接金融と間接金融:資金の流れ方の違い
経済には、お金が余っている人(資金の出し手=主に家計)と、お金が足りない人(資金の取り手=主に企業や政府)がいます。両者をつなぐのが金融で、つなぎ方は大きく2通りです。
直接金融は、企業が株式や社債を発行し、投資者がそれを買うことで資金が直接わたる仕組みです。証券会社は間に入りますが、あくまで仲介役で、投資した結果の損得は投資者が負います。間接金融は、家計が銀行に預金し、銀行がそのお金を企業に貸し出す仕組みです。貸したお金が返ってこないリスク(信用リスク)は、預金者ではなく銀行が負います。
| 項目 | 直接金融 | 間接金融 |
|---|---|---|
| 代表例 | 株式・社債の発行による資金調達 | 銀行預金を原資とする貸出 |
| 仲介する機関 | 証券会社(資金の流れを仲介するだけ) | 銀行(自らの判断で貸出先を決める) |
| リスクを負う人 | 投資者本人 | 銀行(預金者ではない) |
| 資金の出し手が得るもの | 配当・利子・値上がり益(元本保証なし) | 預金利息(預金保険で一定額まで保護) |
日本は伝統的に間接金融の比重が大きく、家計の金融資産も預貯金に偏ってきました。そこで「貯蓄から投資へ」、近年は「資産運用立国」というスローガンで、直接金融のルートを太くする政策が続いています。2024年に始まった新しいNISAもその一環です。
市場型間接金融
投資信託のように、多くの投資者から集めた資金を専門家が市場で運用する仕組みは、直接金融と間接金融の中間として市場型間接金融と呼ばれます。仲介機関はあるものの、運用成果(リスク)は投資者に帰属するのが特徴です。
発行市場と流通市場
証券市場は、証券が生まれる発行市場(プライマリー・マーケット)と、生まれた証券が転々と売買される流通市場(セカンダリー・マーケット)に分かれます。発行市場には取引所のような「場所」はなく、発行体・引受業者(証券会社)・投資者の間で行われる取引の総称です。
| 項目 | 発行市場 | 流通市場 |
|---|---|---|
| 役割 | 企業・国などが新たに資金を調達する | 投資者が換金したり、新たに投資したりする |
| 主な参加者 | 発行体、引受業者(証券会社)、投資者 | 投資者、証券会社、金融商品取引所など |
| 具体的な場 | 特定の場所はない(抽象的な市場) | 取引所市場、店頭市場、PTSなど |
| 発行体に資金が入るか | 入る | 入らない(投資者どうしの売買) |
両者は切り離せません。流通市場でいつでも公正な価格で売れるからこそ、投資者は発行市場で安心して新しい証券を買えます。逆に、流通市場の価格は発行市場で新しい証券の発行条件を決める目安になります。「流通市場で売買されても発行体の資金は増えない」という点は○×でよく問われます。
発行の方法
- 公募:広く一般の投資者を対象に証券を取得させる方法
- 私募:少数の投資者や適格機関投資家などに限って取得させる方法
- 直接発行:発行体が自ら募集する方法。間接発行:証券会社などの引受業者を通じる方法で、実務はこちらが中心
- 引受け:証券会社が売れ残りのリスクを負って発行を支える業務(売れ残りを引き取る「買取引受け」と、売れ残りだけ引き取る「残額引受け」がある)
金融商品取引業の種類と投資者保護
証券会社などの業務は金融商品取引法(金商法)で「金融商品取引業」と定められ、内閣総理大臣の登録を受けなければ営めません。業務の内容で4種類に分かれます。業者規制の詳しい話は金融商品取引法①業者規制と外務員制度で扱っています。
| 区分 | 主な業務 |
|---|---|
| 第一種金融商品取引業 | 株式・債券など流動性の高い有価証券の売買・仲介・引受け、店頭デリバティブ、有価証券等管理業務など(いわゆる証券会社) |
| 第二種金融商品取引業 | ファンド持分など流動性の低い有価証券の募集・私募の取扱い、有価証券以外を対象とする市場デリバティブ取引など |
| 投資助言・代理業 | 投資顧問契約に基づく投資判断の助言、投資顧問契約・投資一任契約の締結の代理・媒介 |
| 投資運用業 | 投資一任契約や投資信託の運用など、顧客の資産を投資判断に基づいて運用する業務 |
銀行などの金融機関は、原則として有価証券関連業を営めませんが、国債や投資信託の販売など一定の業務は、内閣総理大臣の登録を受けて登録金融機関として行えます。
投資者保護基金と預金保険の違い
ここは数字と対象の入れ替えがねらわれます。まず前提として、証券会社には顧客から預かった有価証券・金銭を自社の財産と分けて管理する分別管理が義務づけられています。分別管理がきちんとされていれば、証券会社が破綻しても顧客の資産は返還されます。投資者保護基金は、分別管理の不備などで返還できなかった場合に補償する「最後のセーフティーネット」です。
| 項目 | 投資者保護基金 | 預金保険制度 |
|---|---|---|
| 守るもの | 証券会社に預けた有価証券・金銭の返還 | 銀行等に預けた預金 |
| 上限 | 顧客1人あたり1,000万円まで | 1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円+その利息等(決済用預金は全額) |
| 加入 | 第一種金融商品取引業者(有価証券関連業を行う証券会社)に加入義務 | 日本国内に本店のある銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫など(ゆうちょ銀行を含む。外国銀行の在日支店は対象外) |
| 保護されないもの | 相場の値下がりによる損失(価格変動はそもそも補償の対象外) | 外貨預金、譲渡性預金など |
決済用預金とは「無利息・要求払い・決済サービスを提供できる」の3要件を満たす預金で、残高にかかわらず全額保護されます。また、銀行で買った投資信託は預金ではないので預金保険の対象外です。銀行は投資者保護基金の会員でもないため、投資信託は受託銀行での分別管理(信託財産の独立性)によって守られます。
自主規制機関の役割
証券市場のルールは、国の法律・監督だけでなく、業界自身が作って守らせる自主規制の二本立てです。現場の実態に合わせた細かなルールを機動的に作れるのが自主規制の強みです。
| 区分 | 根拠・内容 | 代表例 |
|---|---|---|
| 金融商品取引所 | 内閣総理大臣の免許。上場審査・売買審査・考査などを行う | 東京証券取引所(自主規制業務は日本取引所自主規制法人が担う) |
| 認可金融商品取引業協会 | 内閣総理大臣の認可。協会員の規則制定・監査・外務員登録事務など | 日本証券業協会 |
| 認定金融商品取引業協会 | 一般社団法人として内閣総理大臣の認定を受けた団体 | 資産運用業協会(旧投資信託協会・日本投資顧問業協会)、金融先物取引業協会、第二種金融商品取引業協会など |
日本証券業協会は、外務員の登録事務を国(内閣総理大臣)から委任されて行っているほか、外務員資格試験の実施、店頭市場の管理、公社債の売買参考統計値の発表なども担っています。取引所と協会の規則の詳細は金融商品取引法②取引所・自主規制機関・投資者保護基金で確認してください。
証券市場の主要な機関
| 機関 | 役割 |
|---|---|
| 金融庁 | 金融制度の企画立案、金融機関・証券会社の検査・監督 |
| 証券取引等監視委員会 | 金融庁に置かれ、市場の公正を監視。インサイダー取引などの取引調査・犯則調査を行い、勧告や告発をする |
| 金融商品取引所 | 有価証券の売買を集中させ、公正な価格を形成する場を提供 |
| 清算機関(日本証券クリアリング機構) | 売買の当事者の間に入り、決済を保証する(債務引受け) |
| 証券保管振替機構 | 株式・社債などの振替制度(ペーパーレスの権利移転)を運営 |
| 証券金融会社 | 証券会社に信用取引の決済に必要な資金や株券を貸し付ける(貸借取引) |
| 信用格付業者 | 債券などの信用力を記号で示す。金商法の登録制 |
証券市場の歩み(年表)
年号そのものより、「何が自由化・どう変わったか」の順番を押さえましょう。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1878年 | 東京株式取引所・大阪株式取引所が設立される |
| 1948年 | 証券取引法が制定される(米国の制度を参考) |
| 1949年 | 戦後、東京・大阪・名古屋の証券取引所で売買が再開 |
| 1968年 | 証券会社が登録制から免許制へ(証券不況への対応) |
| 1990年代後半 | 日本版ビッグバン(Free・Fair・Global)。1998年に証券会社が免許制から登録制へ戻り、1999年10月に株式の売買委託手数料が完全自由化。取引所集中義務も撤廃 |
| 2007年 | 証券取引法を改組した金融商品取引法が施行 |
| 2013年 | 東京証券取引所グループと大阪証券取引所が統合し、日本取引所グループが発足 |
| 2014年・2015年 | スチュワードシップ・コード(2014年)、コーポレートガバナンス・コード(2015年)策定 |
| 2022年4月 | 東証の市場区分がプライム・スタンダード・グロースの3市場に再編 |
| 2024年 | 新しいNISA制度が開始。金融サービス提供法の改正で顧客の最善の利益を勘案する義務が施行(11月) |
日本版ビッグバンのキーワードは「Free(市場原理が働く自由な市場)・Fair(透明で信頼できる市場)・Global(国際的で時代を先取りする市場)」の3原則です。免許制→登録制、手数料自由化、銀行・証券・保険の相互参入などがまとめて行われました。
スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コード
2つのコードは「車の両輪」と呼ばれます。投資する側(機関投資家)と投資される側(上場会社)の両方に行動原則を示し、建設的な対話を通じて企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すものです。どちらも法律ではなくソフトローで、プリンシプルベース・アプローチ(細かい規則ではなく原則を示す)とコンプライ・オア・エクスプレイン(原則を実施するか、実施しない理由を説明するか)を採っています。
| 項目 | スチュワードシップ・コード | コーポレートガバナンス・コード |
|---|---|---|
| 対象 | 機関投資家(受入れを表明した者) | 上場会社(取引所の上場規程で適用) |
| 策定 | 金融庁の有識者検討会(2014年) | 金融庁と東京証券取引所が事務局の有識者会議の原案をもとに東証が策定(2015年) |
| 最新の改訂 | 2025年6月26日に第三次改訂(2017年・2020年に続く) | 2026年7月に改訂版が確定(2018年・2021年に続く) |
| 構成 | 8つの原則 | 2026年改訂で基本原則が4つに再編。補充原則という区分はなくなり、重要なものは「原則」に格上げ、具体的・例示的な記述は新設の「解釈指針」に整理 |
| 手法 | コンプライ・オア・エクスプレイン | コンプライ・オア・エクスプレイン(解釈指針は対象外) |
スチュワードシップ責任とは、機関投資家が投資先企業との対話(エンゲージメント)などを通じて企業価値の向上を促し、最終受益者(年金の加入者など)の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任のことです。8原則には、方針の策定・公表、利益相反の管理、投資先企業の状況把握、目的を持った対話、議決権行使と結果の公表、顧客・受益者への定期報告、実力の具備、サービス提供者(議決権行使助言会社など)の適切なサービス提供が含まれます。
コーポレートガバナンス・コードは2026年改訂で大きく形が変わりました。改訂後の基本原則は「株主の権利・平等性の確保、株主との対話」「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」「適切な情報開示と透明性の確保」「取締役会等の責務」の4つです。改訂前(2021年版)は5つの基本原則と補充原則の三層構造だったため、古い問題集の「基本原則は5つ」という記述には注意してください。
証券市場を取り巻く環境変化と課題
- 家計の資産形成:預貯金に偏る家計金融資産を投資に振り向けるため、NISAの抜本拡充(2024年)や金融経済教育の推進が進んでいます
- 顧客本位の業務運営:販売会社には、手数料稼ぎではなく顧客の最善の利益を考えた販売が求められます(詳しくはセールス業務の記事)
- 上場会社の企業価値向上:東証は2023年から、資本コストや株価を意識した経営の実現を上場会社に要請しています
- 市場インフラ:株式等の受渡しは約定日から起算して3営業日目(T+2)。システムの高度化、サイバー攻撃への備えも課題です
- サステナビリティ:気候変動などの課題に対して、資本市場を通じた資金供給(サステナブルファイナンス)の役割が大きくなっています
サステナブルファイナンスとESG投資
サステナブルファイナンスとは、持続可能な経済社会を支える金融の総称です。ESG投資は、財務情報に加えて環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の要素を考慮する投資で、2006年に国連が提唱した責任投資原則(PRI)をきっかけに広がりました。日本では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年にPRIに署名したことが転機になっています。
ESG投資の7つのアプローチ
世界持続的投資連合(GSIA)は、ESG投資の手法を次の7つに分類しています。名前と中身の組み合わせがそのまま出題されます。
| 手法 | 内容 |
|---|---|
| ネガティブ・スクリーニング(除外) | 武器・たばこ・石炭など、特定の業種や企業を投資対象から除外する。最も歴史が古い手法 |
| ポジティブ・スクリーニング(ベスト・イン・クラス) | 同業種の中でESG評価の高い企業を選んで投資する |
| 規範に基づくスクリーニング | 国連・ILO・OECDなどの国際的な規範に照らし、基準を満たさない企業を除外する |
| ESGインテグレーション | 従来の財務分析に、ESG要素を体系的に組み込んで投資判断する |
| サステナビリティ・テーマ投資 | 再生可能エネルギー、グリーンビルディングなど、持続可能性に関するテーマに絞って投資する |
| インパクト投資/コミュニティ投資 | 財務的リターンと並んで、社会・環境への具体的なインパクト(効果)を生むことを意図して投資する。効果の測定・報告が求められる |
| エンゲージメント・議決権行使 | 株主として企業と対話したり、議決権を行使したりして、ESGへの取組みを促す |
ひっかけの定番は「ネガティブ」と「ポジティブ」、「インテグレーション」と「インパクト」の入れ替えです。除外=ネガティブ、財務分析に組み込む=インテグレーション、効果を意図して測る=インパクトと覚えましょう。
グリーンボンド・ソーシャルボンド・トランジションボンド
ESG債(日本証券業協会は「SDGs債」と総称)は、調達した資金の使い道(資金使途)や、発行体の目標達成度に着目した債券です。国際的には国際資本市場協会(ICMA)の原則が標準になっており、日本でも環境省や金融庁がガイドラインを出しています。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| グリーンボンド | 資金使途を環境改善効果のある事業(再生可能エネルギー、省エネ建築など)に限定した債券 |
| ソーシャルボンド | 資金使途を社会的課題の解決に資する事業(医療、教育、手ごろな住宅など)に限定した債券 |
| サステナビリティボンド | 資金使途が環境・社会の両方にまたがる債券 |
| サステナビリティ・リンク・ボンド | 資金使途は特定しない。発行体があらかじめ定めた目標(KPIと目標値)の達成状況に応じて、利率などの条件が変わる |
| トランジションボンド | すぐには脱炭素が難しい産業が、低炭素・脱炭素への移行(トランジション)のために資金を調達する債券 |
グリーンボンド原則の核となる要素は、「調達資金の使途」「プロジェクトの評価と選定のプロセス」「調達資金の管理」「レポーティング」の4つです。発行体とは独立した外部機関によるレビュー(セカンド・パーティ・オピニオンなど)の活用も推奨されています。
国もトランジションの資金調達をしています。財務省は、GX推進法に基づくGX経済移行債の一部を、個別銘柄のクライメート・トランジション利付国債として2024年2月から発行しています。償還財源には化石燃料賦課金などが充てられ、2050年度までに償還する計画です。
ESGウォッシュ(グリーンウォッシュ)の問題
ESGウォッシュとは、実態が伴わないのにESGやサステナビリティを看板に掲げ、投資者に実態以上に良く見せることです。環境面に限ればグリーンウォッシュと呼びます。投資者の誤認を招くほか、ESG市場そのものへの信頼を損ないます。
金融庁は2023年3月、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」を改正し、ESG投信(ESGを主要な要素として選定し、そのことを名称や投資戦略に掲げる公募投資信託)について、名称と運用実態の整合性や、目論見書等での開示、運用会社の態勢整備などの着眼点を示しました。販売する側の外務員も、「ESGと名の付く商品だから安心」といった説明をしてはいけません。
証券業界の取組み
日本証券業協会は2018年3月にSDGs宣言、2022年7月にサステナブルファイナンス推進宣言を公表し、SDGs債の普及や情報提供、金融経済教育などに取り組んでいます。企業の開示面では、国際的な基準(ISSB基準)を踏まえた日本のサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)も整備されています。
試験に出るひっかけ(○×問題)
問1. 間接金融では、銀行が貸し出した資金が返済されないリスクを、最終的に預金者が負う。
答え:× 貸出の信用リスクを負うのは銀行です。投資者自身がリスクを負うのは直接金融です。
問2. 流通市場で株式が売買されると、その代金は発行会社の資金調達となる。
答え:× 流通市場は投資者どうしの売買なので、発行体に資金は入りません。資金調達になるのは発行市場です。
問3. 投資者保護基金は、顧客の有価証券の値下がりによる損失を1人1,000万円まで補償する。
答え:× 補償するのは、証券会社の破綻などで預かり資産を返還できない場合です。相場の値下がりは補償しません。
問4. 銀行の窓口で購入した投資信託は、預金保険制度の保護の対象となる。
答え:× 投資信託は預金ではないため、預金保険の対象外です。
問5. 日本版ビッグバンにより、証券会社は登録制から免許制に移行した。
答え:× 逆です。1998年に免許制から登録制に移行しました。免許制になったのは1968年です。
問6. スチュワードシップ・コードは上場会社を対象とし、コーポレートガバナンス・コードは機関投資家を対象とする。
答え:× 対象が逆です。スチュワードシップ・コードが機関投資家向け、コーポレートガバナンス・コードが上場会社向けです。
問7. 財務分析にESG要素を体系的に組み込んで投資判断を行う手法を、インパクト投資という。
答え:× ESGインテグレーションです。インパクト投資は社会・環境への具体的な効果を意図して投資し、その効果を測定する手法です。
問8. サステナビリティ・リンク・ボンドは、調達資金の使途を環境事業に限定した債券である。
答え:× 資金使途は特定されず、発行体のKPI目標の達成状況に応じて条件が変わる債券です。資金使途を環境事業に限定するのはグリーンボンドです。
この章の論点は外務員試験の模擬試験(一種・二種 各3回分・全問解答解説つき)でも出題しています。要点を読んだら、本番形式の問題で理解を確かめてください。
外務員の次に取る資格
第1章で出てくるESGインテグレーションやエンゲージメントは、運用の現場ではアナリストが担う仕事です。企業の財務と非財務情報をどう評価するのかを体系的に学べるのが、証券アナリスト(CMA)やCFA®の試験です。
金融機関で働く人が、外務員の次にどんな資格を目指しているかはこちらでまとめています。
【金融機関×CFA】銀行・証券・保険・アセマネ勤務の方がCFA®試験に挑む理由
よくある質問
Q. 直接金融と間接金融の一番の違いは何ですか?
A. 資金の出し手が最終的なリスクを負うかどうかです。株式や社債に投資する直接金融では投資者本人がリスクを負い、銀行預金を通じた間接金融では貸出先のリスクを銀行が負います。
Q. 証券会社が破綻したら、預けていた株はどうなりますか?
A. 証券会社には顧客資産の分別管理が義務づけられているため、原則として返還されます。分別管理の不備などで返還できない場合は、投資者保護基金が顧客1人あたり1,000万円まで補償します。値下がりによる損失は補償されません。
Q. コーポレートガバナンス・コードの基本原則はいくつですか?
A. 2026年7月の改訂で4つに再編されました(株主の権利・平等性の確保と株主との対話、株主以外のステークホルダーとの協働、情報開示と透明性の確保、取締役会等の責務)。改訂前は5つだったので、古い教材の記述に注意してください。
Q. グリーンボンドとトランジションボンドはどう違いますか?
A. グリーンボンドは資金使途を環境改善効果のある事業に限定した債券です。トランジションボンドは、すぐに脱炭素化が難しい産業が低炭素・脱炭素への移行のために資金を調達する債券です。
参考(2026年9月確認):金融庁「スチュワードシップ・コード(第三次改訂版)の確定について」「コーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版)の確定について」「ESG投信に関する監督指針の一部改正」、日本取引所グループ「コーポレートガバナンス・コード(2026年7月版)」、預金保険機構「預金保険制度の概要」、財務省「クライメート・トランジション利付国債」、日本証券業協会「SDGs宣言/サステナブルファイナンス推進宣言」、GSIA「Global Sustainable Investment Review 2020」、e-Gov法令検索「金融商品取引法」。制度は改正されることがあるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
