Learning Module 2「Investors and Other Stakeholders(投資家とその他のステークホルダー)」は、債権者と株主の請求権と動機の比較、企業のステークホルダーの種類とその利害の違い、投資家が考慮する企業発行体の環境・社会・ガバナンス(ESG)要因を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM2のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM2には3つのLOSがあります。

  1. LOS 1:貸し手(債権者)と株主の金融上の請求権と動機を比較するcompare the financial claims and motivations of lenders and shareholders
  2. LOS 2:企業のステークホルダー・グループを説明し、その利害を比較するdescribe a company’s stakeholder groups and compare their interests
  3. LOS 3:投資家が考慮する企業発行体の環境・社会・ガバナンス要因を説明するdescribe environmental, social, and governance factors of corporate issuers considered by investors

LM2のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 企業発行体は負債と株式で資金を調達する。負債は期限があり、利息と元本の支払いが事前に約束され、債権者は株主より優先して請求権を持つ
  • 株式は恒久的な資金で、返済や分配の約束はなく、キャッシュフローと資産に対する残余請求権
  • 発行体から見ると負債のほうがリスクが高く、投資家から見ると株式のほうがリスクが高い。資本構成に占める負債の割合はリターンとキャッシュフローのリスクの両方に影響する
  • 債権者の受取りは約束された利息と元本に限られるのに対し、株主の受取りは理論上無制限であり、両者の間に利益相反が生じ得る
  • ステークホルダーには、債権者・株主のほか、取締役会、経営陣、従業員、顧客、サプライヤー、政府、社会全体、環境が含まれる
  • ステークホルダー理論は、株主理論よりも企業の意思決定で考慮する対象を広げる
  • ESG要因は企業価値に影響し、リスクと機会の両方をもたらすため、投資家とアナリストにとって重要性が増している

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:債権者と株主の請求権と動機

債権者は約束された利息と元本を優先的に受け取る一方、上振れの利益はありません。株主は残余請求権を持ち、下振れは出資額まで、上振れは理論上無制限です。この受取りの違いがリスク選好の違いと利益相反を生みます。

  • 負債:期限あり、元利払いの約束、優先弁済
  • 株式:恒久的な資金、支払いの約束なし、残余請求権
  • 発行体から見ると負債のほうがリスクが高く、投資家から見ると株式のほうがリスクが高い
  • 株主はリスクの高いプロジェクトや高い負債比率を好みやすい
  • 債権者はリスクの低い事業運営と安定したキャッシュフローを好む
  • 負債の増加は株主の期待リターンとリスクの両方を高める

LOS 2:ステークホルダーとその利害

企業のステークホルダーには、株主・債権者のほか取締役会、経営陣、従業員、顧客、サプライヤー、政府などが含まれます。株主理論は株主価値の最大化に焦点を当て、ステークホルダー理論はより広い利害関係者を考慮します。

  • 取締役会:株主の利益のために経営を監督
  • 経営陣:報酬・雇用の安定・権限に関心
  • 従業員:賃金、雇用の安定、職場環境
  • 顧客:製品の品質・安全性・価格、サプライヤー:期日どおりの支払いと長期的な関係
  • 政府・規制当局:税収、法令遵守、経済の安定
  • 債権者:元利払いの確実性と財務の安定性に関心

LOS 3:投資家が考慮するESG要因

ESG要因は、企業のキャッシュフローやリスク、評判を通じて企業価値に影響します。投資家は財務上の重要性(マテリアリティ)のあるESG要因を見極め、リスクと機会の両面から評価します。

  • 環境(E):気候変動、汚染、資源の利用、生物多様性
  • 社会(S):人的資本、製品の安全性、データ・プライバシー、地域社会との関係
  • ガバナンス(G):取締役会の構成、役員報酬、株主の権利、会計・監査
  • 重要性:ESG要因が財務・企業価値に影響するかどうか
  • ESG要因は規制・訴訟・評判のリスクや、新たな事業機会をもたらす

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