【CFA®︎ L1 Derivatives LM8】Pricing and Valuation of Options を要点解説|行使価値・時間価値・マネーネス・オプション価値の決定要因

Learning Module 8「Pricing and Valuation of Options(オプションの価格と価値)」は、オプションの行使価値・マネーネス・時間価値、フォワード・コミットメントとオプションの価格決定における裁定・複製の使い方の違い、そしてオプション価値を決める要因とその影響を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM8のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM8には3つのLOSがあります。
- LOS 1:オプションの行使価値、マネーネス、時間価値を説明するexplain the exercise value, moneyness, and time value of an option
- LOS 2:フォワード・コミットメントと条件付請求権の価格決定における、裁定と複製の概念の使い方を対比するcontrast the use of arbitrage and replication concepts in pricing forward commitments and contingent claims
- LOS 3:オプションの価値を決定する要因を特定し、各要因がオプションの価値にどのように影響するかを説明するidentify the factors that determine the value of an option and describe how each factor affects the value of an option
LM8のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- オプションの価値は行使価値と時間価値から成る。行使価値は直ちに行使できるとした場合の価値、時間価値は時間の経過と原資産価格の変動によって満期時の行使の利益が大きくなる可能性を表す
- マネーネスは原資産価格と行使価格の関係を表し、両者が等しいとアット・ザ・マネー。イン・ザ・マネー(コールは原資産価格が行使価格より上、プットは下)なら行使されやすく、アウト・オブ・ザ・マネーなら行使されにくい
- オプションは非対称なペイオフを持つため無裁定の価格の上限・下限がある。下限は行使価格の現在価値と原資産価格で決まり、上限はコールが原資産価格、プットが行使価格(の現在価値)
- フォワード・コミットメントと同様に、オプションも原資産のロング(コール)またはショート(プット)と現金の借入・貸付の組み合わせで複製するが、原資産の保有量はマネーネスと密接に関係する一部分
- 原資産価格、行使価格、満期までの期間、無リスク金利、原資産価格のボラティリティ、原資産保有に伴うインカムやコストがオプション価値の主な決定要因
- ボラティリティと満期までの期間の変化は、通常プットとコールの価値に同じ方向の影響を与え、行使価格・無リスク金利・インカムやコストの変化はコールとプットに逆方向の影響を与える
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:行使価値・マネーネス・時間価値
オプションの価値は、今すぐ行使した場合の価値である行使価値(exercise value)と、それを超える部分である時間価値(time value)に分けられます。マネーネスは原資産価格と行使価格の位置関係で、行使価値がプラスかどうかを表します。
- オプション価値=行使価値+時間価値
- コールの行使価値:max(0, S − X)、プットの行使価値:max(0, X − S)
- イン・ザ・マネー:コールは S > X、プットは S < X
- アット・ザ・マネー:S = X、アウト・オブ・ザ・マネー:コールは S < X、プットは S > X
- 時間価値は満期に近づくにつれて減少し、満期時にはゼロ
LOS 2:フォワードとオプションの複製の違い
フォワードは原資産を丸ごと1単位保有し無リスク借入を組み合わせる静的なポジションで複製できます。オプションはペイオフが非対称なため、原資産の一部分(ヘッジ比率)と借入・貸付の組み合わせで複製し、その比率はマネーネスに応じて変わります。
- フォワード:原資産ロング+無リスク借入で複製
- コール:原資産の一部ロング+借入で複製
- プット:原資産の一部ショート+貸付で複製
- イン・ザ・マネーほど複製に必要な原資産の比率は大きい
- 無裁定の価格上限・下限:ヨーロピアン・コールの下限 max(0, S₀ − X(1 + r)^−T)、上限 S₀
- ヨーロピアン・プットの下限 max(0, X(1 + r)^−T − S₀)
LOS 3:オプション価値の決定要因
オプションの価値は、原資産価格、行使価格、満期までの期間、無リスク金利、ボラティリティ、原資産保有に伴うインカム・コストで決まります。コールとプットで影響の方向が同じ要因と逆の要因を区別することが重要です。
- 原資産価格の上昇:コール上昇、プット下落
- 行使価格の上昇:コール下落、プット上昇
- 無リスク金利の上昇:コール上昇、プット下落
- ボラティリティの上昇:コール・プットともに上昇
- 満期までの期間の延長:通常はともに上昇(ヨーロピアン・プットでは例外あり)
- インカム(配当等)の増加:コール下落・プット上昇、保有コストの増加はその逆
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