CFA®︎ Level 3「Portfolio Construction(ポートフォリオ構築)」の重要公式24本を、学習単元(Learning Module)ごとに整理しました。公式ごとに数式・記号の意味・使いどころをまとめています。数式が横に長い場合は、横にスクロールしてご覧ください。
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単元(LM)一覧

Portfolio Construction の重要公式(LM別)

LM1 Overview of Equity Portfolio Management(株式ポートフォリオ運用の概要)

1. ハーフィンダール・ハーシュマン指数と実効銘柄数
Herfindahl-Hirschman Index (HHI) & Effective Number of Stocks
ハーフィンダール・ハーシュマン指数(Herfindahl-Hirschman Index):集中度の指標
各銘柄のポートフォリオ・ウェイト
保有銘柄数
実効銘柄数(等金額保有に換算した銘柄数)
使いどころ:各銘柄のウエイトの二乗和で集中度を測り、その逆数で等金額換算の実効銘柄数を求める式。ポートフォリオやベンチマークの銘柄集中度を比較する場面で使う。

LM2 Overview of Fixed-Income Portfolio Management(債券ポートフォリオ運用の概要)

2. ローリング・イールド(クーポン収入+ロールダウン・リターン)
Rolling Yield (Coupon Income + Rolldown Return)
ローリング・イールド(イールドカーブ不変時の期待リターン)
年間クーポン(再投資収入がなければ現在利回りの分子)
現在の債券価格
投資ホライズン末の予想価格(イールドカーブ不変前提)
クーポン収入・ロールダウン・リターン(満期接近による価格変化)
使いどころ:クーポン収入とロールダウン・リターンを合計し、イールドカーブ不変を前提とした債券の期待リターンの基礎部分を求める式。
3. デュレーション+コンベクシティによる価格変化率
Expected Price Change from Duration and Convexity
債券価格の変化率
修正デュレーション(Modified Duration)。オプション付債券はeffective duration
利回り(またはスプレッド)の変化(小数)
コンベクシティ(オプション付債券はeffective convexity)
使いどころ:デュレーションとコンベクシティを用いて、利回りやスプレッドの変化に対する債券価格の変化率を近似する式。
4. 債券トータル期待リターンの分解
Fixed-Income Total Expected Return Decomposition
債券ポートフォリオのトータル期待リターン
クーポン収入+ロールダウン・リターン
ベンチマーク金利見通しによる価格変化 = −修正デュレーション×Δy + ½×コンベクシティ×(Δy)²
クレジットスプレッド見通しによる価格変化(同じ式でΔspreadを使用)
通貨損益(Gains/Losses)の見通し
使いどころ:ローリング・イールドに、利回り・スプレッド変化による価格変化と為替損益の見通しを加え、債券ポートフォリオの期待リターンを求める式。
5. レバレッジド・ポートフォリオ・リターン
Leveraged Portfolio Return
レバレッジド・ポートフォリオの自己資本に対するリターン
投下資金のリターン(invested funds)
借入額(borrowed)
自己資本(equity)
借入コスト(borrowing rate)
使いどころ:借入れを用いた債券ポートフォリオについて、投資リターンと借入コストの差をレバレッジ倍率で上乗せし、自己資本に対するリターンを求める式。

LM3 Asset Allocation to Alternative Investments(オルタナティブ投資へのアロケーション)

6. プライベート投資ファンドの予想NAV(流動性計画)
Expected NAV of a Private Fund (Liquidity Forecasting)
当期末・前期末の純資産価値(NAV = Net Asset Value)
期(年)
ファンドの期待成長率
当期の追加出資(capital contributions)
当期の分配額(distributions)
分配率(成長後NAVに対して適用)
使いどころ:前期の純資産価値(NAV)の成長、キャピタル・コールによる払込み、分配を反映してプライベート・ファンドの将来NAVを予測する式。流動性計画やコミットメント計画で使う。

LM4 An Overview of Private Wealth Management(プライベート・ウェルス・マネジメントの概要)

7. 人的資本(将来労働所得の現在価値)
Human Capital (Present Value of Future Labor Income)
現時点の人的資本(Human Capital)の価値
t年まで生存する(s = survival)確率
t−1期の労働所得(賃金 wage)
t年の名目賃金成長率
名目無リスク金利
職業所得のボラティリティに対応するリスクプレミアム
残りの就労年数
使いどころ:将来の労働所得を生存確率で加重し、職業のリスクを反映した割引率で割り引いて人的資本を評価する式。
8. 累進税率表の下での平均税率
Average Tax Rate under a Progressive Schedule
平均税率
ブラケット下限までの税額+(超過額×限界税率)の合計
総課税所得(給与+課税口座の投資収益等)
使いどころ:総税額を課税所得で割り、累進税率の下での平均税率を求める式。限界税率と区別して実際の税負担の水準を把握する場面で使う。
9. 毎年課税での税引後将来価値とタックス・ドラッグ
After-Tax Future Value with Annual (Accrual) Taxation & Tax Drag
毎年課税の場合の税引後将来価値(FV = Future Value)
当初投資額
税引前年間リターン
毎年適用される税率
投資年数
タックス・ドラッグ:税による運用益の目減り割合
無税(税引前)の場合の将来価値 P(1+r)^T
使いどころ:リターンに毎年課税される場合の税引後の将来価値と、税による運用益の目減り割合(タックス・ドラッグ)を求める式。
10. 繰延キャピタルゲイン課税での税引後将来価値
After-Tax Future Value with Deferred Capital Gains Taxation
課税繰延(deferred)の場合の税引後将来価値(FV = Future Value)
当初投資額(取得原価)
税引前年間リターン
投資年数
キャピタルゲイン(capital gains)税率(期末に一括課税)
使いどころ:売却時までキャピタル・ゲイン課税が繰り延べられる投資の税引後の将来価値を求める式。毎年課税の場合との比較に使う。
11. 税引後実質リターン
After-Tax Real (Inflation-Adjusted) Return
税引後(AT = After-Tax)の実質リターン
リターン構成要素(キャピタルゲイン、配当・利子等)ごとのリターン
各構成要素に適用される税率
インフレ率
使いどころ:リターンの構成要素ごとに税率を適用して税引後リターンを合算し、インフレ率で調整して実質の税引後リターンを求める式。
12. 税・インフレ調整後の将来価値係数
After-Tax Inflation-Adjusted Future Value (FVIF)
税・インフレ調整後の将来価値係数(Future Value Interest Factor)
税引前名目リターン
毎年適用される税率(無税なら0)
インフレ率
投資年数
使いどころ:税とインフレの両方を反映した将来価値係数を求める式。実質購買力ベースの累積額や、税による購買力の目減りを評価する場面で使う。
13. 投資可能純資産と経済的純資産
Investable Net Worth / Economic Net Worth
投資可能純資産(NW = Net Worth)
貯蓄口座・課税/税優遇投資口座など投資に使える流動資産(当座預金・自宅・車・事業資産は除く)
クレジットカード債務などの短期負債
使いどころ:流動性のある投資可能資産から短期負債を差し引き、運用に回せる純資産を求める式。個人のバランスシートを整理する場面で使う。
14. ジニ係数
Gini Coefficient
ジニ係数(Gini coefficient)
完全平等線とローレンツ曲線に挟まれた面積
ローレンツ曲線の下側の面積
完全平等
完全不平等
使いどころ:ローレンツ曲線に基づく面積比で所得や富の不平等度を0〜1で表す指標。国や地域の富の分配の偏りを比較する場面で使う。
15. シャープ・レシオ
Sharpe Ratio
シャープ・レシオ(Sharpe ratio)
ポートフォリオの期待リターン
無リスク金利
リターンのボラティリティ(標準偏差)
使いどころ:超過リターンを標準偏差で割ったリスク調整後リターン。複数のポートフォリオのリスクに見合ったリターンの水準を比較する場面で使う。

LM5 Portfolio Management for Institutional Investors(機関投資家のポートフォリオ運用)

16. 価格変動後ウェイトとリバランス許容レンジの比較
Post-Move Asset Weight vs. Rebalancing Band
価格変動後の資産iのウェイト
資産iの当初価値とリターン
ポートフォリオ全体の当初価値とリターン
投資方針書(IPS = Investment Policy Statement)で定めたリバランス上限・下限
使いどころ:価格変動後の資産価値とポートフォリオ全体の価値から新しいウエイトを求め、リバランスの許容レンジを逸脱したかを判定する式。
17. 加重平均期待リターンと支出率+インフレの比較
Weighted Expected Return vs. Spending Rate plus Inflation
ポートフォリオの加重平均期待リターン
各資産クラスの配分ウェイト
各資産クラスの名目期待リターン
資産クラスの数
支出率(実質必要リターン)。年金なら actuarial rate(予定利率)
期待インフレ率
使いどころ:資産配分の加重平均期待リターンが、支出率と期待インフレ率の合計を満たすかを確認する式。大学基金や財団の配分の妥当性を評価する場面で使う。
18. 自己資本の修正デュレーション(銀行・保険のALM)
Modified Duration of Equity Capital (Leveraged Balance Sheet)
自己資本(Equity)・資産(Assets)・負債(Liabilities)の修正デュレーション
資産・自己資本の金額
資産/自己資本(=自己資本比率の逆数)。A/E−1 = L/E
資産利回り1単位の変化に対する負債利回りの変化率
負債の利回り変化
資産ポートフォリオの利回り変化
自己資本価値の変化率
使いどころ:資産・負債のデュレーションとレバレッジから自己資本のデュレーションを求め、金利変化による自己資本価値の変化を推定する式。銀行や保険会社の資産負債管理で使う。

LM6 Trading Costs and Electronic Markets(取引コストと電子市場)

この単元の要点解説:LM6 取引コストと電子市場
19. 明示的取引コスト
Explicit Trading Costs
明示的取引コスト
売買委託手数料
取引税(transaction taxes)
取引所手数料
規制関連手数料
使いどころ:売買手数料、取引税、取引所手数料など、直接確認できる取引コストを合計する式。取引コストのうち明示的な部分を把握する場面で使う。
20. インサイド・スプレッドとミッドクォート
Inside (Market) Bid-Ask Spread & Midquote
インサイド・スプレッド(市場全体の最良気配の差)
最も低い売り気配(best ask)
最も高い買い気配(best bid)
ミッドクォート(仲値)
買い気配・売り気配(ここでは最良気配)
使いどころ:市場全体の最良売気配と最良買気配の差をインサイド・スプレッド、両者の平均を仲値として求める式。取引コスト推定の基準値として使う。
21. 板を消化する大口注文の平均約定価格
Average Fill Price when Walking the Order Book
平均約定価格(数量加重)
1番目・2番目…の気配で約定した株数
1番目・2番目…の気配価格
使いどころ:注文が複数の気配価格にまたがって約定したときの数量加重の平均約定価格を求める式。大口注文の執行価格を把握する場面で使う。
22. 実効スプレッドとミッドクォート基準の取引コスト
Effective Spread & Midquote Transaction Cost
買い注文・売り注文の実効スプレッド
約定価格
発注時点のミッドクォート(仲値)= (bid + ask)/2
使いどころ:約定価格と取引直前の仲値の差を2倍して、1回の取引で実際に負担したスプレッドを求める式。価格改善の有無の確認にも使う。
23. VWAP基準の取引コスト推定
VWAP Transaction Cost Estimate
出来高加重平均価格(Volume-Weighted Average Price)
売り・買いのVWAP基準取引コスト
当日の市場(market)全取引(他者の取引も含む)のVWAP
自己の約定のVWAP
自己の売買株数
使いどころ:自らの約定の出来高加重平均価格(VWAP)を市場全体のVWAPと比べ、取引コストを推定する式。
24. マーケット・インパクトと機会費用(暗黙的コスト)
Market Impact and Opportunity Cost (Implicit Costs)
マーケット・インパクト
後続トレード(t番目)の約定価格(買いの場合、先行トレードが価格を押し上げる)
先行トレード(t−1番目)の約定価格
機会費用(未執行による損失)
執行可能だった価格(未約定の売り指値なら当時のbest bid)
未執行のまま迎えた終値
使いどころ:分割執行時の約定価格の変化からマーケット・インパクトを、未約定の注文について執行可能だった価格と終値の差から機会費用を求める式。

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