ひとことで言うと

  • シャープ・レシオは超過リターンを標準偏差(総リスク)で割った指標、トレーナー・レシオは超過リターンをベータ(市場リスク)で割った指標です。
  • ジェンセンのアルファは、実際のリターンがCAPMから求めた期待リターンをどれだけ上回ったかを表します。
  • ファンドが投資家の資産の全部か一部かによって、使うべき指標が変わります。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「シャープ・トレーナー・ジェンセン」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (1) 現代ポートフォリオ理論
協会の学習ポイント シャープ・レシオ、トレーナー・レシオ、ジェンセンのアルファの算出方法とその解釈を理解する。

シャープ・レシオ、トレーナー・レシオ、ジェンセンのαとは

運用成績を比べるときに、リターンの大きさだけを見ると、リスクを大きくとったファンドほど有利に見えてしまいます。そこで、負ったリスクの大きさを考慮して成績を評価するリスク調整後パフォーマンス指標が使われます。代表的なものが、シャープ・レシオ、トレーナー・レシオ、ジェンセンのアルファの3つです。

シャープ・レシオ

ファンドのリターンから安全利子率を引いた超過リターンを、ファンドの標準偏差で割ったものです。総リスク1単位あたりの超過リターンを表し、大きいほど効率的な運用といえます。資本市場線(CML)の傾きと同じ形をしており、市場ポートフォリオのシャープ・レシオを上回れば、ファンドはCMLより上にあることになります。投資家の資産の大部分をそのファンドで運用する場合に適しています。

トレーナー・レシオ

超過リターンをファンドのベータで割ったものです。市場リスク1単位あたりの超過リターンを表し、証券市場線(SML)の傾きと比べることができます。非市場リスクは他の資産と組み合わせれば分散されるという前提なので、そのファンドが十分に分散されたポートフォリオの一部である場合に適しています。

ジェンセンのアルファ

ファンドの実際のリターンから、そのベータに見合ったCAPMの期待リターンを引いたものです。プラスならSMLより上、つまりリスクに見合う以上のリターンをあげたことを意味します。単位が%なので直感的にわかりやすい一方、比率ではないため、ベータが異なるファンド間の比較にはトレーナー・レシオのほうが適する場面もあります。

押さえておきたい公式

シャープ・レシオ = (Rp − rf) ÷ σp総リスク(標準偏差)1単位あたりの超過リターン
トレーナー・レシオ = (Rp − rf) ÷ βp市場リスク(ベータ)1単位あたりの超過リターン
ジェンセンのα = Rp − {rf + βp × (RM − rf)}CAPMの期待リターンを上回った部分

具体例で確認

安全利子率1%、市場ポートフォリオのリターン7%・標準偏差15%(ベータ1)として、2つのファンドを比べます。

項目 ファンドA ファンドB 市場
リターン・標準偏差・ベータ 9%・16%・1.2 7%・10%・0.8 7%・15%・1.0
シャープ・レシオ 8 ÷ 16 = 0.50 6 ÷ 10 = 0.60 6 ÷ 15 = 0.40
トレーナー・レシオ 8 ÷ 1.2 ≒ 6.67 6 ÷ 0.8 = 7.50 6 ÷ 1.0 = 6.00
ジェンセンのα 9 − (1 + 1.2 × 6) = 0.8% 7 − (1 + 0.8 × 6) = 1.2% 0%

リターンだけを見るとAが上ですが、3つの指標ではいずれもBが上回っています。どちらのファンドも市場を上回っており、リスクに見合う以上の成績をあげたといえます。

試験で問われやすいポイント

  • 分母の違い(シャープ=標準偏差、トレーナー=ベータ)が最も問われやすく、取り違えを誘うひっかけに注意しましょう。
  • ファンドが資産の全部(シャープ)か一部(トレーナー)かという使い分けがよく問われます。
  • ジェンセンのαでは、CAPMの式にファンドのベータと実際の市場リターンを入れて計算します。
  • 3指標の計算を並べて順位を比較させる問題に慣れておきましょう。指標によって順位が逆転することもあります。
  • シャープ・レシオはCMLの傾き、トレーナー・レシオやαはSMLと結びつけて理解しましょう。

要点まとめ

  • シャープ・レシオ=超過リターン ÷ 標準偏差(全資産を運用する場合に適する)
  • トレーナー・レシオ=超過リターン ÷ ベータ(分散されたポートフォリオの一部に適する)
  • ジェンセンのα=実際のリターン − CAPMの期待リターン
  • いずれもリスクを考慮して運用成績を比べるための指標

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。