ひとことで言うと

  • ポリシー・アセットミックス(政策アセットミックス)とは、投資政策にもとづいて決める、長期的に維持する基本の資産配分です。
  • 資産クラスごとの期待リターン・リスク・相関を推計し、効率的な組み合わせの中から、投資家の目標リターンとリスク許容度に合うものを選んで決めます。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「ポリシー・アセットミックス」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (2) 投資政策とアセット・アロケーション
協会の学習ポイント 投資政策に基づくポリシー・アセットミックスの策定プロセスについて理解する。

ポリシー・アセットミックスとは

ポリシー・アセットミックスは、「国内株式○%、国内債券○%、外国株式○%…」というように、長期的に目指す資産クラスの基本配分を定めたものです。年金基金などでは「基本ポートフォリオ」とも呼ばれます。長期のポートフォリオのリターンの変動は、個別銘柄の選択や売買のタイミングよりも、この資産配分によって大部分が説明されるという実証研究がよく知られており、運用の成果を左右する最も重要な意思決定と位置づけられています。

策定のプロセス

  1. 投資政策の確認:目標リターン、リスク許容度、流動性・投資期間などの制約条件を明確にします。
  2. 資産クラスの選定:国内外の株式・債券など、投資対象とする資産クラスを決めます。
  3. 期待値の推計:各資産クラスの期待リターン、リスク(標準偏差)、資産間の相関係数を推計します。
  4. 最適化:平均・分散アプローチなどにより効率的フロンティアを求めます。
  5. 選択と検証:効率的フロンティア上から、目標リターンを満たしリスク許容度内に収まる配分を選びます。前提を変えたときの結果の変化(感応度)や、下振れ時の損失なども確認します。
  6. 決定と運用:配分比率と、そこからの許容乖離幅を定め、定期的に見直します。

実務上の注意点

平均・分散による最適化は、期待リターンなどの推計値のわずかな違いで結果が大きく変わり、特定の資産に偏った配分が出やすいという弱点があります。そのため、資産ごとの上限・下限などの制約を加えたり、複数のシナリオで結果を確かめたりして、安定した配分になるよう工夫します。

押さえておきたい公式

E(RP) = w1E(R1) + w2E(R2)ポートフォリオの期待リターン(加重平均)
σP2 = w12σ12 + w22σ22 + 2w1w2ρ12σ1σ2ポートフォリオの分散(相関係数ρを含む)

具体例で確認

国内株式(期待リターン6%、標準偏差18%)と国内債券(期待リターン1%、標準偏差3%)、相関係数0.1とします。目標リターンは2.5%以上、ただし「期待リターン − 2σ」で見た下振れを −10%以内に抑えたいとします。

  • 株式40%・債券60%:期待リターン 0.4 × 6 + 0.6 × 1 = 3.0%。分散 = 7.22 + 1.82 + 2 × 0.4 × 0.6 × 0.1 × 18 × 3 ≒ 57.67 より σ ≒ 7.59%。下振れ = 3.0 − 2 × 7.59 ≒ −12.2%で許容範囲を超えます。
  • 株式30%・債券70%:期待リターン 2.5%。分散 ≒ 35.84 より σ ≒ 5.99%。下振れ ≒ −9.5%で条件を満たします。

この条件では、株式30%・債券70%が目標リターンとリスク許容度の両方を満たす配分になります。

試験で問われやすいポイント

  • ポリシー・アセットミックスは長期の基本配分であり、短期の相場見通しで配分を変える戦術的な資産配分とは区別されます。
  • 策定の順序(投資政策 → 資産クラス選定 → 期待値推計 → 最適化 → 選択・検証)。
  • 長期のリターン変動の大部分は資産配分で説明されるという考え方。
  • 2資産ポートフォリオの期待リターンと標準偏差の計算。分散の共分散項を忘れないようにしましょう。
  • 平均・分散最適化は推計誤差に敏感で、極端な配分になりやすいという弱点。

要点まとめ

  • ポリシー・アセットミックスは投資政策にもとづく長期の基本資産配分。
  • 期待リターン・リスク・相関を推計し、効率的フロンティア上から選ぶ。
  • 目標リターンとリスク許容度の両方を満たすかで判断する。
  • 推計誤差への感応度を確認し、許容乖離幅を定めて運用する。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。