資産クラスと期待リターンの推計とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- 資産クラスとは、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券のように、値動きの性質が似た資産をまとめたグループです。
- 資産配分を決めるには、各資産クラスの期待リターン・リスク・相関を推計する必要があります。
- 推計方法には、過去データを使う方法、リスクフリー・レートにリスク・プレミアムを積み上げる方法、利回りや成長率から求める方法などがあります。
この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「資産クラスと期待値の推計」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (2) 投資政策とアセット・アロケーション |
| 協会の学習ポイント | 資産クラスの分類やその期待リターン・リスクの推計方法の概要について理解する。 |
資産クラスと期待リターンの推計とは
資産配分は、個々の銘柄ではなく資産クラスという単位で考えます。資産クラスをうまく分けるには、同じクラスに入る資産どうしは性質が似ていて、異なるクラスとは重なりがないこと、ほかのクラスと組み合わせたときに分散効果が期待できること、十分な市場規模があり実際に投資できることなどが求められます。伝統的な資産クラスは国内外の株式・債券と短期資産で、不動産やプライベート・エクイティなどはオルタナティブ資産と呼ばれます。
過去データにもとづく方法(ヒストリカル法)
過去のリターンの平均・標準偏差・相関係数をそのまま将来の推計値として使う方法です。わかりやすい反面、どの期間のデータを使うかで結果が大きく変わり、現在の金利水準などの環境を反映しにくいという欠点があります。特に期待リターンは推計の誤差が大きくなりやすく、リスクや相関は比較的安定しているといわれます。
ビルディング・ブロック法
現在の安全利子率(リスクフリー・レート)に、各資産クラスが負うリスクに見合ったリスク・プレミアムを積み上げて期待リターンを求める方法です。現在の金利環境を反映できるのが長所です。
利回り・成長率からの推計とその他の方法
債券であれば現在の最終利回りが期待リターンの目安になります。株式では、配当利回りに配当の成長率を加える方法(配当割引モデルの考え方)が使われます。このほか、CAPMなど均衡モデルから逆算する方法や、景気のシナリオごとのリターンを確率で加重平均するシナリオ法もあります。
押さえておきたい公式
具体例で確認
① ヒストリカル法:ある資産クラスの過去5年のリターンが +20%、−10%、+15%、−5%、+10% だったとします。
- 算術平均:(20 − 10 + 15 − 5 + 10)÷ 5 = 6.0%
- 幾何平均:(1.20 × 0.90 × 1.15 × 0.95 × 1.10)1/5 − 1 ≒ 5.35%
- 標準偏差(標本、n−1で割る):≒ 12.9%
② ビルディング・ブロック法と配当割引モデル:安全利子率1%、株式のリスク・プレミアム5%なら期待リターンは 6%。配当利回り2%、配当成長率3.5%と見込むなら 2 + 3.5 = 5.5%となります。方法によって結果が違うため、複数の方法を比べて妥当性を確かめるのが実務的です。
試験で問われやすいポイント
- 資産クラスの分け方の条件(同質性、相互に重ならないこと、分散効果、投資可能性)。
- ヒストリカル法の長所・短所。特に「推計期間によって結果が変わる」「現在の環境を反映しにくい」点。
- ビルディング・ブロック法や「配当利回り+成長率」による期待リターンの計算。
- 算術平均と幾何平均の違い。複数期間の実績としての平均成長率は幾何平均で、ばらつきが大きいほど両者の差は広がります。
- 期待リターンの推計誤差はリスク・相関よりも大きくなりやすいという点。
要点まとめ
- 資産クラスは性質の似た資産のグループで、資産配分の単位になる。
- 期待リターン・リスク・相関の推計が資産配分の前提になる。
- 推計方法はヒストリカル法、ビルディング・ブロック法、利回り・成長率による方法など。
- 方法ごとの長所・短所を理解し、複数の方法で確かめる。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
