ひとことで言うと

  • リスク許容度とは、投資家がどれだけの損失や値動きを受け入れられるかの度合いで、リスクを取る能力(客観的な余力)とリスクを取る意思(心理的な姿勢)の両面から判断します。
  • 個人のリスクを取る能力は、年齢や家族構成、収入、資産といったライフサイクルの段階によって大きく変わります。
  • 一般に、若く投資期間が長い時期ほどリスク許容度は高く、退職が近づき資産を取り崩す時期になるほど低くなると考えられています。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「リスク許容度とライフサイクル」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (5) 個人投資家の資産運用
協会の学習ポイント 個人投資家のリスク許容度やライフサイクルとの関係を理解する。

ライフサイクルとリスク許容度とは

個人投資家の資産配分を考えるときの出発点がリスク許容度です。リスク許容度は、次の2つを合わせて判断します。

  • リスクを取る能力(ability):投資期間の長さ、収入の安定性、資産の大きさ、支出の予定など、損失が出ても生活や目標に支障が出ないかという客観的な余力
  • リスクを取る意思(willingness):値下がりに耐えられるかという投資家本人の心理的な姿勢や考え方

両者が食い違う場合、たとえば能力は高いのに本人が非常に慎重な場合や、能力が低いのに本人は積極的な場合には、低い方に合わせるか、投資家への説明を通じて調整するのが基本です。

ライフサイクルとリスクを取る能力

人生の段階によって、資産や収入、将来の支出予定は大きく変わります。若い時期は金融資産は少ないものの、将来の労働所得(人的資本)が大きく、投資期間も長いため、一時的な値下がりから回復する時間があります。そのためリスクを取る能力は高いと考えられます。

中年期には収入が増えて資産形成が進む一方、住宅購入や子どもの教育など大きな支出も重なります。退職が近づくと人的資本が小さくなり、老後資金を取り崩す時期が迫るため、大きな損失を取り戻す時間がありません。この時期はリスクを取る能力が低下します。ただし、退職後も長い老後が続くため、インフレや長生きに備えて一定のリスク資産を持ち続けることも考えられます。

整理しておきたいポイント

段階 主な特徴 リスク許容度の目安
資産形成期(若年期) 金融資産は少ないが人的資本が大きく、投資期間が長い 高い
資産充実期(中年期) 収入・資産が増える一方、住宅や教育の支出も多い 中程度(個別事情で差が大きい)
退職前後(移行期) 人的資本が小さくなり、取り崩しが近い 低下する
取り崩し期(老後) 資産を取り崩して生活。長生き・インフレへの備えも必要 低いが、一定のリスク資産も検討

具体例で確認

確定拠出年金で利用されることの多いターゲット・デート・ファンドは、ライフサイクルの考え方を商品にしたものです。たとえば「2060年」を目標年とするファンドは、目標年まで期間が長い今は株式の比率を高くし、目標年が近づくにつれて債券などの比率を自動的に高めていきます。この資産配分の移り変わりはグライドパスと呼ばれます。

ただし、同じ年齢でも、収入が安定しているか、ほかに大きな資産があるか、近く大きな支出の予定があるかによってリスクを取る能力は異なります。年齢だけで一律に資産配分を決めるのではなく、個々の事情と本人の意思を合わせて判断することが大切です。

試験で問われやすいポイント

  • リスク許容度はリスクを取る能力リスクを取る意思の両面から判断すること、そして両者がずれた場合は原則として低い方に合わせることが問われやすいです。
  • 若いほどリスク許容度が高い理由(投資期間が長い、人的資本が大きい)を説明できるようにしましょう。
  • 退職が近づくと損失を取り戻す時間がなくなるため、リスクを取る能力が低下するという方向を押さえましょう。
  • 老後でも長生きやインフレに備えてリスク資産をゼロにしない考え方がある点がひっかけになりやすいです。
  • ターゲット・デート・ファンドのグライドパス(時間とともにリスク資産比率を下げる)の意味に注意しましょう。

要点まとめ

  • リスク許容度=リスクを取る能力+リスクを取る意思の両面で判断する
  • 若い時期は投資期間が長く人的資本も大きいため、リスク許容度が高い
  • 退職が近づくほどリスクを取る能力は低下する
  • 年齢だけでなく、収入・資産・支出予定・本人の意思など個別事情も考慮する

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。