分散・標準偏差とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- データがどれだけばらついているかを表す代表的な統計量が、範囲・平均偏差・分散・標準偏差・変動係数です。
- 分散は「平均からの差(偏差)の2乗の平均」、標準偏差は分散の平方根で、元のデータと同じ単位になります。
- ファイナンスでは、リターンの標準偏差(ボラティリティ)がリスクの尺度として使われます。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「散らばりを表す統計量」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (3) 統計の基礎 |
| 協会の学習ポイント | データの分布の散らばりを表す統計量について理解し計算ができる。 |
分散・標準偏差とは
平均が同じでも、データがきれいに平均の近くに集まっている場合と、大きくばらついている場合があります。投資でいえば、平均リターンが同じ5%でも、毎年ほぼ5%の資産と、+30%や−20%を行き来する資産とではリスクがまったく違います。この「ばらつき」を数字で表すのが散らばりの統計量です。
範囲と平均偏差
範囲(レンジ)は最大値−最小値で、最も簡単な指標ですが、両端の2つの値しか使わないため外れ値の影響を強く受けます。平均偏差は、各データと平均との差(偏差)の絶対値を平均したものです。偏差をそのまま平均するとプラスとマイナスが打ち消し合って必ず0になるため、絶対値をとります。
分散と標準偏差
分散は、偏差を2乗して平均したものです。2乗することで符号の問題がなくなり、大きく外れたデータほど重く評価されます。ただし単位も2乗になる(%なら%2)ため、平方根をとって元の単位に戻したものが標準偏差です。データが正規分布に近ければ、平均±1標準偏差の範囲に約68%、±2標準偏差の範囲に約95%のデータが入ります。
n で割るか、n − 1 で割るか
手元のデータ全体(母集団)の分散を求めるときはデータ数nで割ります。一方、標本から母集団の分散を推定するときはn − 1で割った不偏分散を使います。試験ではどちらを求めているのかを必ず確認しましょう。
変動係数
変動係数は標準偏差を平均で割ったもので、平均の水準が異なるデータ同士のばらつきを比べるときに使います。単位のない相対的な指標です。
押さえておきたい公式
具体例で確認
データ {4, 6, 8, 10, 12} について計算します。
- 平均:40 ÷ 5 = 8、範囲:12 − 4 = 8
- 偏差:−4, −2, 0, 2, 4 → 平均偏差:(4 + 2 + 0 + 2 + 4) ÷ 5 = 2.4
- 偏差の2乗:16, 4, 0, 4, 16(合計40)
- 分散(nで割る):40 ÷ 5 = 8、標準偏差:√8 ≒ 2.83
- 不偏分散(n − 1で割る):40 ÷ 4 = 10、その平方根:√10 ≒ 3.16
- 変動係数:2.83 ÷ 8 ≒ 0.35
別の形でも確認できます。x2の平均は (16 + 36 + 64 + 100 + 144) ÷ 5 = 72 なので、分散 = 72 − 82 = 8 となり、一致します。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「データの分布の散らばりを表す統計量を理解し計算できる」)。
試験で問われやすいポイント
- 分散・標準偏差を手順どおりに計算できるかが基本として問われます。
- nで割るかn − 1で割るか(母集団の分散か不偏分散か)の区別がひっかけになりやすいです。
- すべてのデータにaを足しても分散は変わらない、b倍すると分散はb2倍・標準偏差は|b|倍になる、という性質が問われやすいです。
- 範囲は外れ値に弱い、変動係数は平均の異なるデータの比較に使う、といった指標ごとの特徴を整理しておきましょう。
要点まとめ
- 散らばりの指標には範囲・平均偏差・分散・標準偏差・変動係数がある
- 分散は偏差の2乗の平均、標準偏差はその平方根
- 標本から母分散を推定するときはn−1で割る不偏分散を使う
- リターンの標準偏差は投資のリスクの尺度になる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
