標本平均・標本分散・標本標準偏差とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 標本平均は標本の値の合計を標本数nで割った値です。
- 標本分散は平均からの偏差の2乗の合計をn − 1で割って求めるのが一般的です(不偏分散)。
- 標本標準偏差は標本分散の平方根で、元のデータと同じ単位でばらつきを表します。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「標本の平均・分散・標準偏差」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (6) 推定と検定 |
| 協会の学習ポイント | 標本の平均と分散、標準偏差について計算できる。 |
標本平均・標本分散・標本標準偏差とは
推計統計では、標本から計算した統計量を使って母集団の平均や分散を見積もります。その出発点になるのが、標本の平均・分散・標準偏差です。計算自体はシンプルですが、分散をnで割るかn − 1で割るかという点がよく問われます。
標本平均
標本平均x̄は、n個の観測値x1、x2、…、xnの合計をnで割った値です。標本平均の期待値は母平均μに等しく、母平均の代表的な推定量として使われます。
標本分散と自由度n − 1
標本分散s2は、各観測値の標本平均からの偏差(xi − x̄)を2乗して合計し、n − 1で割って求めます。n − 1で割るのは、母平均μの代わりに標本平均x̄を使うと、偏差の2乗和が本来より小さめに出てしまうからです。x̄はそのデータにもっとも近くなるように決まる値なので、真の平均μからの偏差より小さくなりがちです。n − 1で割ることで、この偏りを補正し、期待値が母分散σ2に一致する不偏分散になります。
n − 1は自由度とも呼ばれます。偏差の合計は必ず0になるため、n個の偏差のうち自由に動けるのはn − 1個だけ、という意味です。
なお、手元のデータを母集団そのものとみなしてばらつきを記述するときは、nで割った値(母分散の公式)を使います。問題文がどちらを求めているかを確認しましょう。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| xi | i番目の観測値 |
| n | 標本の大きさ |
| n − 1 | 自由度 |
具体例で確認
ある株式の過去5年間の年間収益率が、4%、−2%、6%、8%、4%だったとします。
- 標本平均:(4 − 2 + 6 + 8 + 4) ÷ 5 = 20 ÷ 5 = 4%
- 偏差:0、−6、2、4、0
- 偏差の2乗和:0 + 36 + 4 + 16 + 0 = 56
- 標本分散:56 ÷ (5 − 1) = 14(単位は%2)
- 標本標準偏差:√14 ≒ 3.74%
もしnの5で割ると、分散は56 ÷ 5 = 11.2、標準偏差は約3.35%となり、n − 1で割った場合より小さくなります。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「標本平均・分散・標準偏差の計算と大数の法則・中心極限定理を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 標本分散はn − 1で割る(不偏分散)ことと、その理由が問われやすいです。
- nで割るかn − 1で割るかで答えが変わるため、問題文の指示をよく確認しましょう。
- 偏差の合計は必ず0になるという性質と、自由度n − 1の意味を押さえましょう。
- 分散の単位は元のデータの2乗、標準偏差は元のデータと同じ単位である点に注意しましょう。
- 小さなデータで平均→偏差→2乗和→分散→標準偏差と進む計算手順を正確にこなせるようにしておきましょう。
要点まとめ
- 標本平均=合計 ÷ n
- 標本分散=偏差の2乗和 ÷ (n − 1)(不偏分散)
- n − 1で割るのはx̄を使うことによる過小評価を補正するため
- 標本標準偏差は標本分散の平方根
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
