ひとことで言うと

  • 期待値は「値×確率」の合計で求める平均的な結果、標準偏差は期待値からのばらつき(リスク)の大きさです。
  • 相関係数は2つの確率変数の連動性を−1〜+1で表したもので、これらを使って2資産ポートフォリオの期待リターンとリスクを計算します。
  • 相関が低いほどポートフォリオのリスクは小さくなり、これが分散投資の効果です。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「期待値・標準偏差・相関とポートフォリオ」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (4) 確率変数
協会の学習ポイント 確率変数の期待値や標準偏差、相関係数が計算でき、ポートフォリオに応用できる。

期待値・標準偏差・相関係数とは

期待値と標準偏差

確率変数Xがとりうる値xiと、その確率piがわかっているとき、期待値E(X)は「xi×pi」をすべて足したものです。ファイナンスでは期待リターンにあたります。分散は、各値の期待値からの差(偏差)を2乗し、確率で重み付けして合計したもので、その平方根が標準偏差です。標準偏差はリターンと同じ単位(%)になるため、リスクの尺度として使われます。

共分散と相関係数

2つの確率変数X、Yの連動性を表すのが共分散で、「Xの偏差×Yの偏差」を確率で重み付けして合計します。同じ方向に動きやすければプラス、逆方向ならマイナスです。共分散は単位や大きさに左右されるため、2つの標準偏差の積で割って−1〜+1に標準化したものが相関係数です。+1は完全に同じ方向、−1は完全に逆方向、0は直線的な関係がないことを表します。

ポートフォリオへの応用

資産Aに比率w、資産Bに比率1−wを投資するポートフォリオの期待リターンは、各資産の期待リターンの加重平均です。一方、分散は各資産の分散だけでなく共分散の項を含みます。相関係数が+1未満であれば、ポートフォリオの標準偏差は各資産の標準偏差の加重平均より小さくなります。これが分散投資の効果です。

押さえておきたい公式

E(X) = Σ pi xi、 σ2 = Σ pi (xi − E(X))2標準偏差σは分散の平方根
Cov(X, Y) = Σ pi (xi − E(X))(yi − E(Y))、 ρ = Cov(X, Y) ÷ (σX σY)相関係数ρは−1以上+1以下
E(RP) = w E(RA) + (1 − w) E(RB)ポートフォリオの期待リターン
σP2 = w2σA2 + (1 − w)2σB2 + 2w(1 − w)ρσAσBρσAσBは共分散Cov(RA, RB)

具体例で確認

景気のシナリオごとの資産A・Bのリターンが次のようになっているとします。

シナリオ 確率 資産A 資産B
好況 0.3 20% 2%
普通 0.4 10% 6%
不況 0.3 −5% 10%
  • 期待値:E(A)=0.3×20+0.4×10+0.3×(−5)=8.5%、E(B)=0.3×2+0.4×6+0.3×10=6.0%
  • 分散:σA2=0.3×11.52+0.4×1.52+0.3×(−13.5)2=95.25 → σA9.76%。σB2=0.3×(−4)2+0.4×02+0.3×42=9.6 → σB3.10%
  • 共分散:0.3×11.5×(−4)+0.4×1.5×0+0.3×(−13.5)×4=−30
  • 相関係数:−30÷(9.76×3.10)≒−0.99(ほぼ逆方向に動く)
  • A・Bに50%ずつ投資:期待リターン=0.5×8.5+0.5×6.0=7.25%。分散=0.25×95.25+0.25×9.6+2×0.25×(−30)=11.2125 → 標準偏差≒3.35%

標準偏差の単純な加重平均は(9.76+3.10)÷2≒6.43%ですが、相関が強いマイナスのため、ポートフォリオのリスクはその約半分まで下がっています。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「確率変数の期待値・標準偏差・相関係数・条件付き期待値・2変数の確率分布を理解し、ポートフォリオに応用できる」)。

試験で問われやすいポイント

  • 分散は偏差の2乗を確率で重み付けする。確率を掛け忘れたり、平方根をとり忘れたりしないこと。
  • 共分散と相関係数の関係(ρ=Cov÷(σAσB))と、相関係数の範囲が−1〜+1であること。
  • ポートフォリオの期待リターンは加重平均だが、標準偏差は(ρ=1のときを除き)加重平均にならないこと。
  • ポートフォリオの分散の式で、共分散の項に「2」を掛け忘れないこと。
  • 相関係数が低いほど分散投資の効果が大きい、という方向の理解。

要点まとめ

  • 期待値は値×確率の合計、分散は偏差の2乗×確率の合計、標準偏差はその平方根。
  • 相関係数は共分散を標準偏差の積で割った−1〜+1の指標。
  • ポートフォリオの期待リターンは加重平均、分散には共分散の項が入る。
  • 相関が+1未満なら分散投資でリスクが下がる。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。