同時確率分布と周辺分布とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 2つの確率変数X、Yの値の組み合わせごとに確率を割り当てたものを同時確率分布(結合分布)といいます。
- 同時分布から一方の変数について確率を合計すると、その変数だけの分布である周辺分布が得られます。
- 同時分布からは、条件付き分布・独立かどうか・共分散や相関係数もわかります。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「2つの確率変数の確率分布」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 確率変数 |
| 協会の学習ポイント | 確率変数が2つある場合の確率分布について理解する。 |
同時確率分布と周辺分布とは
同時確率分布
株式Aのリターンと株式Bのリターンのように、2つの確率変数を同時に考えたいことはよくあります。X=x、Y=yとなる確率P(X=x, Y=y)を、すべての組み合わせについて示したものが同時確率分布です。離散型なら、行にXの値、列にYの値をとった表で表すのが一般的で、表の中の確率をすべて足すと1になります。
周辺分布
同時分布の表で、ある行の確率を横に合計するとP(X=x)が得られます。Yがどんな値でもよいとして足し合わせたもので、これをXの周辺分布といいます。同様に列ごとに縦に合計するとYの周辺分布になります。表の余白(周辺)に書くことからこう呼ばれます。周辺分布から、それぞれの期待値や分散を計算できます。
条件付き分布と独立
同時確率を周辺確率で割ると、条件付き分布P(Y=y|X=x)が得られます。すべての組み合わせでP(X=x, Y=y)=P(X=x)×P(Y=y)が成り立つとき、XとYは独立です。1つでも成り立たない組み合わせがあれば独立ではありません。
共分散との関係
同時分布を使えば、積XYの期待値E(XY)を計算でき、共分散はCov(X, Y)=E(XY)−E(X)E(Y)で求められます。XとYが独立なら共分散は0になります。ただし、共分散が0でも独立とは限らない点に注意が必要です(相関は直線的な関係しかとらえないため)。
押さえておきたい公式
具体例で確認
株式Aが上昇したらX=1、下落したらX=0、株式Bについても同様にYを定めます。同時分布は次のとおりです。
| Y=1(B上昇) | Y=0(B下落) | Xの周辺分布 | |
|---|---|---|---|
| X=1(A上昇) | 0.4 | 0.2 | 0.6 |
| X=0(A下落) | 0.1 | 0.3 | 0.4 |
| Yの周辺分布 | 0.5 | 0.5 | 1.0 |
- 周辺分布:P(X=1)=0.4+0.2=0.6、P(Y=1)=0.4+0.1=0.5
- 条件付き確率:Aが上昇したときBも上昇する確率は0.4÷0.6≒0.667
- 独立の判定:P(X=1)×P(Y=1)=0.3で、同時確率0.4と異なるので独立ではない
- 共分散:E(XY)=1×1×0.4=0.4なので、Cov=0.4−0.6×0.5=0.1
- 相関係数:V(X)=0.6×0.4=0.24、V(Y)=0.5×0.5=0.25より、0.1÷√(0.24×0.25)≒0.41
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「確率変数の期待値・標準偏差・相関係数・条件付き期待値・2変数の確率分布を理解し、ポートフォリオに応用できる」)。
試験で問われやすいポイント
- 同時分布の表から周辺分布(行・列の合計)を求める計算。
- 条件付き確率は同時確率を周辺確率で割って求めること。
- 独立の判定は、すべてのマスで「同時確率=周辺確率の積」が成り立つかで行うこと。
- 共分散=E(XY)−E(X)E(Y)の使い方と、「共分散0なら独立」は一般には誤りであること。
要点まとめ
- 同時分布は2つの確率変数の値の組み合わせごとの確率。
- 周辺分布は同時分布を一方の変数について合計したもの。
- 独立ならすべての組み合わせで同時確率=周辺確率の積。
- 同時分布から共分散・相関係数を計算できる。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
