ひとことで言うと

  • 無相関検定は、標本から計算した相関係数rをもとに、母集団の相関係数ρがゼロといえるかどうかを調べる検定です。
  • 検定統計量t = r√(n−2) ÷ √(1−r2)が、自由度n−2のt分布に従うことを使います。
  • 同じ相関係数でも、標本数nが大きいほど有意になりやすくなります。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「無相関検定」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (7) 回帰分析(単回帰)
協会の学習ポイント 無相関検定について理解する。

無相関検定とは

標本の相関係数は、たとえ母集団の2つの変数にまったく関係がなくても、偶然によって0から離れた値になることがあります。特に標本が少ないと、見かけ上かなり大きな相関が出ることも珍しくありません。そこで、「観測された相関は偶然の範囲か、それとも母集団にも相関があるといえるか」を判断するのが無相関検定です。

帰無仮説はH0:ρ=0(母集団では無相関)、対立仮説は通常H1:ρ≠0(両側検定)です。2つの変数が2変量正規分布に従うという前提のもとで、H0が正しければ検定統計量tは自由度n−2のt分布に従います。|t|が臨界値を超えればH0を棄却し、「統計的に有意な相関がある」と判断します。

検定統計量の性質

t値は、rの絶対値が大きいほど、また標本数nが大きいほど大きくなります。つまり、r=0.3のような弱い相関でも、データが十分多ければ有意になりえます。逆に、「有意である」ことは相関が強いことを意味するわけではなく、「ゼロではないといえる」ことを意味するだけです。

単回帰の傾きの検定との関係

単回帰分析で傾きbがゼロかどうかを調べるt検定の値は、無相関検定のt値と一致します。XとYの相関がゼロであることと、回帰直線の傾きがゼロであることは同じ意味だからです。

押さえておきたい公式

t = r × √(n − 2) ÷ √(1 − r2)H0:ρ=0のもとで自由度n−2のt分布に従う
記号 意味
r 標本の相関係数
ρ 母集団の相関係数
n データの組の数
n − 2 自由度(平均を2つ推定する分だけ減る)

具体例で確認

ある2つの資産の月次リターンを20か月分集め、相関係数r=0.5を得ました。H0:ρ=0、H1:ρ≠0を有意水準5%で検定します。

  1. 検定統計量:t = 0.5 × √18 ÷ √(1 − 0.25) = 0.5 × 4.243 ÷ 0.866 ≒ 2.449
  2. 自由度18のt分布の両側5%臨界値:約2.101
  3. 2.449 > 2.101なので、H0を棄却し、母集団にも相関があると判断します。

同じr=0.5でも、データが10か月分しかなければ、t = 0.5 × √8 ÷ √0.75 ≒ 1.633となり、自由度8の臨界値(約2.306)を下回るため棄却できません。標本数の影響の大きさがわかります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「無相関検定・分散分析への応用・単回帰分析の仮説検定を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 無相関検定の帰無仮説はρ=0であり、rではなく母集団の相関係数についての検定である点が問われやすいです。
  • 検定統計量の式と自由度n−2を押さえ、n−1と取り違えないようにしましょう。
  • 同じrでもnが大きいほど有意になりやすいという方向が狙われやすいです。
  • 「有意=相関が強い」ではないという解釈のひっかけに注意しましょう。
  • 単回帰の傾きのt検定と同じ値になるという関係も確認しておきましょう。

要点まとめ

  • 無相関検定はH0:ρ=0を検定する
  • t=r√(n−2)÷√(1−r2)、自由度n−2のt分布を使う
  • 同じrでもnが大きいほど有意になりやすい
  • 単回帰の傾きのt検定と結論・t値が一致する

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。