分散分析(ANOVA)とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 分散分析(ANOVA)は、Yのばらつき(全変動)を回帰で説明できる部分と説明できない残差の部分に分けて比べる方法です。
- それぞれを自由度で割った平均平方の比F = MSR ÷ MSEを計算し、F分布を使って回帰全体が有意かどうかを検定します。
- 単回帰では、F値は傾きのt値の二乗に一致し、両者の結論は同じになります。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「分散分析と単回帰」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (7) 回帰分析(単回帰) |
| 協会の学習ポイント | 分散分析と単回帰分析への適用について理解する。 |
分散分析と単回帰とは
回帰分析では、Yの平均からのばらつき全体(全変動SST)が、回帰直線によって説明される回帰変動SSRと、回帰直線からのずれである残差変動SSEに分解されます。分散分析は、この分解を表(分散分析表)に整理し、「回帰で説明できた部分が、偶然のばらつきと比べて十分に大きいか」を判断する方法です。
自由度と平均平方
変動の大きさを公平に比べるため、それぞれを自由度で割って平均平方を求めます。単回帰では、回帰変動の自由度は説明変数の数である1、残差変動の自由度はn−2、全変動の自由度はn−1です。残差の平均平方MSEは誤差項の分散の推定値で、その平方根が回帰の標準誤差になります。
F検定
帰無仮説を「回帰は説明力を持たない(単回帰では傾きb=0)」とすると、F = MSR ÷ MSEは自由度(1, n−2)のF分布に従います。F値が臨界値を超えれば、回帰は有意と判断します。F値は決定係数R2とも結びついており、R2が大きいほどF値も大きくなります。
単回帰では、F検定は傾きのt検定と同じことを調べており、F = t2が成り立ちます。説明変数が複数ある重回帰では、F検定は「すべての傾きが同時にゼロか」を調べる検定として、個々のt検定とは別の役割を持ちます。
押さえておきたい公式
| 要因 | 変動(平方和) | 自由度 | 平均平方 |
|---|---|---|---|
| 回帰 | SSR = Σ(Ŷi − ȳ)2 | 1 | MSR = SSR ÷ 1 |
| 残差 | SSE = Σ(Yi − Ŷi)2 | n − 2 | MSE = SSE ÷ (n − 2) |
| 全体 | SST = Σ(Yi − ȳ)2 | n − 1 | — |
具体例で確認
データ(X, Y)=(1, 2)、(2, 4)、(3, 5)、(4, 4)、(5, 5)の単回帰(Ŷ = 2.2 + 0.6X)で、SST = 6、SSR = 3.6、SSE = 2.4でした(n=5)。
- MSR = 3.6 ÷ 1 = 3.6、MSE = 2.4 ÷ (5 − 2) = 0.8
- F = 3.6 ÷ 0.8 = 4.5
- 決定係数からも:0.6 ÷ 0.4 × 3 = 4.5
- 自由度(1, 3)のF分布の上側5%点は約10.13なので、4.5 < 10.13で回帰は5%水準で有意とはいえません。
傾きのt値は約2.121で、その二乗は4.5とF値に一致します。R2=0.6とそれなりの当てはまりでも、データが5組しかないと有意にならないことがわかります。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「無相関検定・分散分析への応用・単回帰分析の仮説検定を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- SST=SSR+SSEの分解と、分散分析表の空欄を埋める問題が考えられます。
- 単回帰の自由度(回帰1、残差n−2、全体n−1)の組み合わせが問われやすいです。
- F値はMSR÷MSEであり、SSR÷SSEのように平方和のまま割るミスに注意しましょう。
- 単回帰ではF=t2となり、F検定と傾きのt検定の結論が一致する点が狙われやすいです。
- F値とR2の関係から、一方を他方に換算する計算にも備えておきましょう。
要点まとめ
- 分散分析は全変動を回帰変動と残差変動に分けて比べる
- 単回帰の自由度は回帰1、残差n−2、全体n−1
- F=MSR÷MSEで回帰全体の有意性を検定する
- 単回帰ではF=t2で、傾きのt検定と同じ結論になる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
